異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
上 下
59 / 264
3章

59 巨大猪と逃走

しおりを挟む
 PKたちの戦利品を確認したが、大したものは無かった。


「ハズレかぁ・・・」

「ハズレとか言わないであげて」


 ミレアは残念がっているが、元より期待していたわけではあるまいに。


「さ、昼にならない内に境界地帯を抜けよう」

「はーい」




 僕たちは一時間後、境界地帯を抜けることに成功した。


《熟練度が一定に達し【気配察知】スキルがLv15になりました》
《熟練度が一定に達し【大発見】スキルがLv12になりました》
《熟練度が一定に達し【疾駆】スキルがLv13になりました》


 そして、目の前に広がるのは、雄大な大草原。
 エリア全体が草原なのかもしれないが、だとしたらかなり広いことになる。
 風が気持ちよく、草の匂いが優しく、寝転がって空を見上げたい気分だ。


「ねえアスト兄!後であっちの丘になってる場所で昼食休憩にしよう!」

「了解。寝転がったら気持ちよさそうだな・・・」

「やっぱりアスト兄もそう思うよね!」


 おっと、ミレアも同じ思いだったようだ。血は繋がっていなくとも、やはり僕たちは兄妹なんだな。
 ゲームがやたらとリアルに近いことも原因かもしれないが。


「さて、このエリアの情報は・・・・・・殆ど無いな」

「まだ解放されてすぐだからね・・・」


 それと、料理騒動でもたついたからか。

 現れる魔物は、ファングボアーだけで、その他の目撃情報は殆ど無い。
 鷹らしき魔物が飛んでいるのは目撃されたが、交戦はなし。
 エリアの九割が草原で、南は川があって進めない。
 中央にある町には結界があって入れない。

 これだけあれば十分と言えるかもしれないが・・・。

 そういう訳で、殆ど探索されていない草原の探索を始めた。










《熟練度が一定に達し【解体】スキルがLv15になりました》
《熟練度が一定に達し【見切り】スキルがLv17になりました》


「イエローステップ!トリプルスラッシュ!シャドウムーブ!」

「「アクアエクスプロージョン!」」

「エアリアルエクスプロージョン!」

「ブギィィィッ!?」


 ファングボアの群れに居た最後の個体を倒し終えた。


《熟練度が一定に達し【中級剣術】スキルがLv19になりました》
《熟練度が一定に達し【反応】スキルがLv14になりました》


「ファングボアーの群れを撃破っ!」

「なんというか、猪の群れって大変なんだな・・・」


 こう、ひたすらに突進してくるから、避けてばかりだった。

 と、そろそろ昼食の時間だな。空腹度パラメーターも上昇し始めたし。


「ミレア、そろそろ昼食に・・・ん?」

「今日の昼食は何かな・・・およ?」


 今地面が揺れなかったか?気のせいというにはミレアも感じたみたいだし。
 もう一度集中して感じてみようかな。


 ・・・ドドッドドドドッ!!


 うん、間違いなく足音が聞こえたし、振動もある。
 巨体が走るような、そんな感じ。

 僕とミレアは、一斉に同じ方向を向いた。

 すると、遠くから何かが近づいてくるのが分かった。
 はじめは豆粒程度の大きさだったのに、直ぐに巨大なシルエットになった。


「猪、だな・・・」

「滅茶苦茶大きいけど、猪だね・・・」


 恐らく猪だと思うのだ。
 だが、その高さが自分たちの二倍以上あるとなれば、心穏やかでは居られない。
 やがて、猪に追いかけられている白髪女性の姿も確認できた。


「ミレア、分かってるな?」

「うん。分かってるよアスト兄」


 僕とミレアは視線を交わすと・・・




 ・・・一目散に逃げだした。

 あんな巨体の相手とか無理だから。どうやって倒すんだよ。





「猪、速っ!?」

「あの巨体でこの速度は反則だよ!」

「私もそう思いますっ!!」


 意外な足の速さで僕とミレアのすぐ後ろまで追いついてきた白髪女性。
 ちょっと失礼して解析。



 名前 ブランシュ

 種族 人間 Lv13
 第一職業 光明魔法士 Lv4
 第二職業 雷撃魔法士 Lv1



 結構強かったし、職業も意外といえば意外だな。
 なんで魔法士なのに、こんなに足が速いんだろうか。


「逃げながらで悪いが、一体どうしてこうなった?」

「それがっ、臨時パーティーを組んだ人たちが無謀にも勝手に挑戦を・・・!」


 今のだけで言いたいことは何となく分かった。
 ブランシュに責任が薄そうなことも分かった。
 喫緊の問題は、猪がどこまでも追って来そうなことか。

 しかし、このまま逃げていると他のプレイヤーを引きつぶしそうだな・・・。

 なんて言ってる傍から、進む先にプレイヤーが。
 これは立派なトレイン行為になる、のか?
 少し違う気もするが、実態は大して変わるまい。
 とりあえず解析。



 名前 ディアス 

 種族 人間 Lv15
 第一職業 中級剣士 Lv6
 第二職業 中級盾士 Lv3



 なんだディアスじゃないか。


「うむ。引きつぶしてよし!」

「いいわけないだろぉぉぉっ!?」


 結果、ディアスも一緒に逃げることになった。

 そして、相も変わらず追いかけっこ。
 いい加減飽きてきたな、これ。


「ミレア、大丈夫か?」

「大丈夫だよ!平均速力には結構振ってあるから!」


 それなら問題なし。


「ディアス、囮になって潰されてくれ」

「嫌に決まってんだろっ!?」

「僕に借りがあった気がするんだけどな・・・剣のことで」

「それを今持ち出しやがるのかっ!?」


 今持ち出さずにいつ持ち出すというのか。
 って、言ってる傍からまた前方にプレイヤーだ。しかも、今度は二人。
 黄緑色の長髪を持つエルフの女性と、茶髪であるドワーフの男性だ。



 名前 アラン

 種族 ドワーフ Lv15
 第一職業 中級斧士 Lv6
 第二職業 中級大斧士 Lv1


 名前 セレナ

 種族 エルフ Lv14
 第一職業 氷雪魔法士 Lv5
 第二職業 暴風魔法士 Lv4



 なんか聞いたことのある名前ばっかりだな、今日は。


「おいディアス!なんだあの化け物猪は!?」

「俺に聞くなっ!」

「だったら誰に聞けというのよっ!」

「アストにでも聞きやがれ!」


 僕に押し付けられても困るのだが・・・。


「実は・・・・・・という訳なんだ」

「申し訳ございませんっ!」

「つまり、今は死に戻ってる三人が悪いんだな!?」

「そういうことらしいわねっ!」


 ちゃんと理解してくれてなにより。
 ブランシュは99%被害者だ。
 制止を聞かず、パーティーを抜ける前に三人が猪に攻撃したらしいので。
 ミレアが何も言わない以上、嘘ということはないはずだ。

 さて、これで巨大猪から逃げているのは六名か。
 スタミナを考えて本気で走っていないとはいえ、段々距離が詰まってるな。


《熟練度が一定に達し【疾駆】スキルがLv14になりました》
《マスタースキル【軽業】【瞬発】を確認しました》
《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【縮地】が追加されました》


 ちょっと待て。そんな凄そうな技術なんて覚えてないんですけど!?
 どこが「プレイヤースキルの条件達成スキルを確認しました」だよ!?

 走りながら説明文を見てみると、瞬間的な高速移動が可能らしい。ただし、直線的な動きに限定されるとか。
 良さげなので、1ポイント消費してありがたく取得。

 そして早速使用。


「おっ?」

「「ええっ!?」」

「「「なっ!?」」」


 他の五人よりも少し先行してしまった。
 おまけにAP消費無しとか、便利過ぎじゃないか?

 ・・・いや、直進にしか使えないというデメリットもあるか。壁の前で使ったら酷い目に遭いそうだ。


《熟練度が一定に達し【縮地】スキルがLv2になりました》


 さて、この状況になってやることなど、一つしかあるまい。



「それじゃあ、後はよろしく!」

「アスト兄の鬼っ!!」


 他の面々からも罵詈雑言の嵐(ブランシュを除く)。
 軽い冗談だったのだが・・・。

 スピードを少し落として、五人の元へ戻る。

 戻りながら思いついたんだが、今現在逃げているのは六人で、フルパーティーが組める。
 いっそパーティーを組んで挑んでみるか?


「ミレア!作戦を頼む!」

「あいあいさー!丁度考え終わったところだよ!走りながらだと大変だねっ!」


 割と全力で走りながら考えられるミレアは本当に凄いと思いました。









 名前 アスト

 種族 人間 Lv21
 第一職業 中級剣士 Lv12
 第二職業 火炎魔法士 Lv11
 第三職業 舞踏家 Lv11
 スキルポイント16

 アナザースキル
 加速Lv6  

 マスタースキルⅠ
 剣術Lv10〔Master〕火魔法Lv10〔Master〕
 索敵Lv10〔Master〕発見Lv10〔Master〕
 解析Lv10〔Master〕錬金Lv10〔Master〕
 料理Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅡ
 回避Lv10〔Master〕直感Lv10〔Master〕
 照準Lv10〔Master〕疾走Lv10〔Master〕    
 暗視Lv10〔Master〕予測Lv10〔Master〕
 迎撃Lv10〔Master〕ステップLv10〔Master〕
 軽業Lv10〔Master〕瞬発Lv10〔Master〕
 闇魔法耐性Lv10〔Master〕
 火魔法耐性Lv10〔Master〕
 盲目耐性Lv10〔Master〕 
 視覚強化Lv10〔Master〕
 火傷耐性Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅢ
 影魔法Lv10〔Master〕魔剣術Lv10〔Master〕

 スキル
 中級剣術Lv19 火炎魔法Lv17 解体Lv15
 中級錬金Lv9 気配察知Lv15 大発見Lv12
 分析Lv13 予見Lv19 立体機動Lv15 
 見切りLv17 舞踏Lv17 受け流しLv17
 軌道予測Lv15 反応Lv14 疾駆Lv14 
 中級料理Lv3 縮地Lv2

 称号
 開拓者 冒険者 使徒 越境者Ⅱ 開放者Ⅱ
 ジャイアントキリング

 基礎能力値

 物理攻撃力 18(+18)
 物理防御力 16(+21)
 魔法攻撃力 18(+ 8)
 魔法防御力 22(+ 8)
 平均速力  16(+20)

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...