上 下
43 / 264
3章

43 ウラードの町開放戦

しおりを挟む
 ミレアとフランが境界地帯にやって来た。

 開口一番、フランが言い放った。


「アスト、ここで会ったが百年目。そう言う日本語を知っているか?」

「・・・私、日本語、分からない」

「嘘を吐くな!そんな誤魔化し方があるかっ!」


 やっぱり誤魔化せなかったか。

 だが、言う程怒っている訳でも無さそうなので一安心だな。


「フランってさ、アスト兄と話す時、言葉遣い変わるよね?」

「む?そうだったか?・・・アストが悪い」


 なにやら、おかしな責任を押し付けられた気がするのだが。
 ひそひそ声なのでよく聴こえなかったのが悔やまれる。


「それじゃあ、少し休憩した後でウラードの町を目指すということでいいか?」

「良いよー!」

「私に異論は無い」


 問題ないようなので決定し、パーティーを組んだ。

 しかし、何故僕がパーティーリーダーなのだろうか?
 ミレアがやった方が良いと思うが。










《熟練度が一定に達し【気配察知】スキルがLv11になりました》
《熟練度が一定に達し【予見】スキルがLv12になりました》
《熟練度が一定に達し【見切り】スキルがLv11になりました》


「アスト兄・・・華麗だね」

「は・・・?」


 それは一体何の話だ。


「だってさ、あんな流れるように綺麗な動き、普通は出来ないよ?」

「全くだな。ログアウトする前に一勝負頼みたいくらいだ」


 戦い方の話だったか。

 確かに中々上手くやれている自信はあるが、華麗というのは言い過ぎだ。
 まだまだ改善すべきところはありそうなものだが。


「うーん・・・・・・あ!流麗、という表現が似合うかもしれないよ!」

「流麗って・・・あまり男には使わない表現じゃないか?」


 まあ、ミレアがわざわざ考えてくれたので、正面から否定はしないが。


「アスト兄が流麗・・・やっぱり似合わないかも?」

「おい」

「冗談だよ!アスト兄は流麗という言葉が似合う!」


 結局どっちなんだ・・・。
 どっちでもいいといえばそれまでなのだが。


「アスト、あそこに見えるのがウラードの町か?」

「そうだぞ。恐らくだが、エリア開放戦になるはずだ」

「そうか・・・。それは楽しみだな」


 ふむ。なるほど。


「やっぱりフランは戦闘狂か」

「違う!私は断じて・・・・・・!」


 フランが何か言っているが、華麗にスルーで。
 ハッキリ言って、先程のセリフを聞いた後では説得力が無い。


 そんな訳で、ウラードの町の門前に到着。
 門に近づくと結界に鍵穴が出来たので、収納から二本の鍵を取り出す。
 ミレアも鍵を取り出している。


「じゃあ、合図を出して同時に鍵を差し込むよ!」

「よし。なら一本はフランに渡しておくぞ」

「分かった」


 フランは鍵を受け取り、準備をする。

 ミレアが、準備が出来たのを確認し、掛け声をかける。


「それじゃあ、せーのっ!・・・・・・という合図でいくよ?」

「「おいっ!?」」


 僕とフランはフェイントに釣られて、鍵を差し込んでしまった。


「あーもう・・・何やってるの二人とも」

「「僕(私)たちが悪いのかっ!?」」


 ミレアは僕とフランを無視して鍵を所定の位置へ差し込む。

 すると、グラグラと地面が揺れて、結界に穴が開いて中へ入れるようになった。


「いざ、町の中へ!」

「「はぁ・・・」」


 僕とフランはため息を吐きながら、先陣を切ったミレアについて行く。


 町の中央広場付近までやって来ると、魔物の存在を確認した。



 ゴブリンナイト Lv3
 エリアボス 魔物 最上位種 格上
 スキル 上級剣術 ??? ???

 ゴブリンジェネラル Lv7
 魔物 上位種Ⅱ 格上
 スキル 中級剣術 統率 ???

 ゴブリンソーサラー Lv7
 魔物 上位種Ⅱ 格上
 スキル 暴風魔法 魔力強化 ???



《熟練度が一定に達し【分析】スキルがLv10になりました》


「・・・アスト兄、エリアボスのステータスが殆ど見えない」

「こっちは上級剣術まで見えているが、あとは不明だ。ミレアは?」

「レベルが見えないし、格上の二文字が黒に近い赤だよ」


 ふむ・・・これは勝てるのか?数的優位すら無くなっているんだが・・・。

 ちなみに、フランの解析ではさっぱりだそうな。


「・・・・・・ん」


 一度、門の傍まで戻ってきたところで、ミレアが真剣な顔で考え始めた。
 こういう時のミレアは色々考えているので、決して話しかけてはいけない。


「・・・ん、決めた。アスト兄はゴブリンナイトを倒してね?」

「ちょっと待て!それは無茶ぶりが過ぎないか・・・?」


 ゴブリンナイトのレベルは、プレイヤーに直すと30+アルファと推測される。
 僕のレベルは18なので、そのレベル差は12ということに。


 やったね!ジャイアントキリング達成だ!


 いや待て、そうじゃないんだ。
 要はそれだけ厳しい相手ということだろう。
 ジャイアントキリングなんて、ビッグベアー以来出来てないぞ?


「アスト兄なら互角に戦えるはず!その間に私とフランが残りの二体を倒す!」


 僕を買いかぶり過ぎなんじゃないだろうか。
 兄としてはとても嬉しく思うのだが。


「ミレアがソーサラーで、私がジェネラル、でいいのか?」

「うん。魔法戦は時間掛かるから、なるべく早くアスト兄の応援をお願い!」

「承知した」


 はぁ・・・僕も覚悟を決めよう。


 その後、軽い打ち合わせをした後、広場へ戻り、ボスへと挑む。

 広場の中へと踏み入り、僕はゴブリンナイトの前へ。
 ミレアはソーサラーの、フランはジェネラルの前へ。


「グゲゲッ!!」

「何か、鳴き声まで頭良さそうに聴こえるのは気のせいか?」


 上級剣術相手にどこまでやれるか分からないが、端から諦めるのは性に合わないので、勝つつもりで戦わせてもらおう。


「グゲッ!!」


 そんなゴブリンナイトの掛け声とともに、戦闘は始まった。









 名前 アスト

 種族 人間 Lv18
 第一職業 中級剣士 Lv9
 第二職業 火炎魔法士 Lv8
 スキルポイント17

 アナザースキル
 加速Lv5

 マスタースキルⅠ
 剣術Lv10〔Master〕火魔法Lv10〔Master〕
 索敵Lv10〔Master〕発見Lv10〔Master〕
 解析Lv10〔Master〕錬金Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅡ
 回避Lv10〔Master〕直感Lv10〔Master〕
 照準Lv10〔Master〕疾走Lv10〔Master〕
 闇魔法耐性Lv10〔Master〕
 盲目耐性Lv10〔Master〕 
 視覚強化Lv10〔Master〕
 暗視Lv10〔Master〕予測Lv10〔Master〕
 迎撃Lv10〔Master〕ステップLv10〔Master〕

 マスタースキルⅢ
 影魔法Lv10〔Master〕魔剣術Lv10〔Master〕

 スキル
 中級剣術Lv14 火炎魔法Lv13 解体Lv13
 中級錬金Lv6 気配察知Lv11 大発見Lv9
 分析Lv10 予見Lv12 立体機動Lv10 
 火魔法耐性Lv3 火傷耐性Lv3 見切りLv11
 舞踏Lv10 受け流しLv10
  

 称号
 開拓者 冒険者 使徒 越境者Ⅱ 開放者
 ジャイアントキリング

 基礎能力値

 物理攻撃力 17(+13)
 物理防御力 16(+17)
 魔法攻撃力 17(+ 8)
 魔法防御力 18(+ 8)
 平均速力  16(+20)

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

スレイブズ

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:434pt お気に入り:13

ゲームの世界に転移したおっさん…でも3000年後の世界でした。

K
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:3,679

生産職から始まる初めてのVRMMO

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:3,439

聖女のおまけです。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:4,445

銀の王子は金の王子の隣で輝く

BL / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:479

処理中です...