異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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3章

42 待ち合わせ

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 ゲーム発売から七日目の今日、朝食を食べてからFSOにログイン。

 東方第二エリア東端の境界地帯にて、まずは日課のポーション作りから。








 昨日のログアウト前に作った分と合わせてもレベルアップせず。
 やはり職業が無いだけに、成長は遅めなのだろう。

 ポーションの方が終わったら、ミレアとの待ち合わせ場所へ向かおう。
 万が一遅刻したら、兄としての面子は丸つぶれとなってしまうのだから。








《熟練度が一定に達し【火炎魔法】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【舞踏】スキルがLv10になりました》
《【舞踏】Lv10アーツ『ブルーステップ』を習得しました》
《熟練度が一定に達し【受け流し】スキルがLv10になりました》


 牙兎を倒しながら東方第二エリア、イスタリアの町に着いた辺りでアナウンス。
 舞踏Lv10アーツ『ブルーステップ』には期待が大きいので、早急に確認しなくてはならないだろうな。

 ただ、ひとまずは後回しにしてアライアの町へ転移する。
 溜まっているアイテムの売却と謎の原石の確認をしなくてはならないので。
 原石の方はアリアさんからメッセージが入っていたのだ。






 アライアの町へ転移して来て、まずは冒険者ギルドへ。

 討伐報酬を受け取ったところまではいいのだが、一つおまけがついてきた。


「アスト様の冒険者ランクがFランクへと昇格いたしました」

「あ、はい」


 そう言えばそんなものもあったな・・・。

 全く使いどころが無いものなので、すっかり忘れていた。
 どこかで役に立つ日が来るのだろうか?





 ウェザリアに着くと、宝飾師のシエラが待っていた。


「あ、来た来た。原石の方は加工し終わってるから、どうぞ?」

「ああ。解析させてもらうよ」



【ルビー】装飾アイテム レア度4
 謎の原石を磨いて加工したもの。
 綺麗な赤色に輝いている。



 マジか・・・思いがけない大物だったんだな。
 なんでこんなものが町中に落ちていたんだろうか。

 二つのルビーを受け取りながら、ふと疑問に思ったことが一つ。


「それと、その先はまだ加工不可だったんだよね・・・」

「ああ、なるほど」


 機先を制されてしまったが、疑問は解消できた。
 装飾アイテムなのに、品質や効果も不明というのは不思議だったのだ。
 しばらくの間は保持しておけば良かろう。


「まあ、そんな訳で、加工できるようになった時に、またお願いね?」

「ん、こちらこそよろしくな」


 話は終わったので、次はアリアさんにアイテムを売却していく。

 牙兎素材と鉄屑、ゴブリンの角、杖、金鉱石、ポーション類。


「・・・大量ね。少し待っていて」

「了解です」


 アリアさんが検分を始めたので、その間にミアに相談しよう。


「ミア、少し良いか?」

「うぃ?良いけど、どうかした?」

「これのことなんだけど・・・」


 僕は収納から火鉱石と火炎鉱石を取り出して見せた。


「・・・!!」


 ミアは火鉱石と火炎鉱石をひったくって調べ始めた。

 一応、まだ売却したわけでは無いんだがな・・・。


「・・・多分、だけど、金属防具になら火系の耐性が付与できるはず」

「金属防具か・・・残念だな」


 生憎、僕は動きを重視する戦い方なので、重い鎧はNGなのだ。


「ちなみに、剣に付与したらどうなるんだ?」

「剣自体の火耐性が上がると思うよ?」

「駄目だそりゃ」


 剣の火耐性を上げてどうするんだよ。
 剣の加工すらままならなくなりそうな印象があるぞ?


「残念だけど、これは売却・・・いや、一応少しは取っておこうかな」

「そうした方が良いだろうね」


 ミアも賛成してくれたので、一部は残して残りは売却。


「何かに使えそうになったら、その時はよろしくな?」

「うぃ。その時は是非」


 用事を終えてアリアさんの方を見ると、まだ検分中だったので、レインと雑談でもしながら待つことにしようかな。







「へぇ。それじゃあ、拠点を移すのか」

「そうですね。移すというよりは、増やす、ですけど」


 ウェザリアは、近々第二エリアに行き、町を拠点化しようとしているらしい。
 転移であちこち移動できれば便利だし、僕としても助かるな。

 そろそろイスタリアの町にもプレイヤーが辿り着くし、良いタイミングだろう。


「道中は大丈夫そうか?」

「私たちもそれなりに狩りをしていますから、恐らくは」

「そうか。ま、無理なようなら護衛くらいは出来るから、言ってくれていいぞ?」

「はいっ、ありがとうございます!その時はよろしくお願いします!」

「あ、ああ。こちらこそ・・・」


 レインよ、何故そんなに嬉しそうなのか。
 そしてその笑顔は破壊力が大きいことを自覚してくれ・・・。

 見続けているとドキドキしてくるので、顔を逸らしておこう。


「アストさん・・・?どうかしましたか・・・?」

「っ!いや、何でもないよ」


 レイン、上目遣いで覗き込まないでくれっ!


 いかん・・・上手く返事できただろうか。
 変に思われて無いよな・・・?

 レインは紛れもなく美少女なので、色々と危険だな。


 ふとアリアさんの方を見ると、微笑みながらこちらを見ていた。

 とても恥ずかしいので、さっさと話を始めよう。


「アリアさん、検分は終わりましたか?」

「ええ、終わったわ。金額は、こんな感じね」


 提示された金額は・・・400万ゴールドって、何だこりゃ。


「これ、いくら何でも高すぎなんじゃ・・・?」

「金鉱石二つが、かなりの値になるのよ。当然の価格ね」

「はぁ、なるほど・・・」


 初回討伐報酬だから、奮発されているのか?


「ウェザリアって、お金持ちなんですね」

「そうでもないわよ。アストのおかげで儲かっているのは確かだけれど」

「そうですね。アストさん御用達ということで、人気が出ていますから」


 ちょっと待て。
 何故僕が理由でそんな人気が出るんだ?
 心当たりなんて欠片も無いんだが。

 特に何かやらかしたつもりも無いし。


「知らないの?あなたとフランの決闘動画がアップされてるわよ?」

「げっ・・・!」


 しまった、動画システムがあったのだったな。
 観客の中の誰かが録画していたのだろう。


「槍の攻撃を次々回避していくアストさん、とても格好良かったです・・・!」

「みんな、あなたにあやかりたいのかもしれないわね」

「レインも見たのか・・・。褒めてくれてありがとう」


 無性に恥ずかしい。
 折角落ち着いてきたのに、またしても心臓が五月蠅くなってきた。

 アリアさんが微笑み始めたのが癪なので、少し意趣返ししておこう。


「金鉱石の儲けが楽しみなのは分かりますが、耳がピクピクしてますよ?」

「!?」


 アリアさんは慌てた様子で耳を確認して、頬が赤く染まった。

 本当にリアルなゲームだよな、FSOって。


 と、そろそろ時間だな。


「では、僕はこれで。またな、レイン。アリアさんは、耳の件は諦めるべきかと」

「はい、またいつでもいらしてくださいね」

「・・・・・・」


 アリアさんは俯いて何も言わないな。
 耳を抑えたままなので、きっと照れているのだろう。

 僕よりも年上っぽいが、クールな大人が照れた様子は、中々に眼福である。











 イスタリアの町へ転移してきた。

 ここからウラードの町から西に行った境界地帯が待ち合わせ場所だ。
 まだ時間的には余裕があるが、早く着く分には問題ないのでさっさと移動だ。









《熟練度が一定に達し【大発見】スキルがLv9になりました》


 ブルーステップの検証は大体終わった。

 青いエフェクトが発生するステップで、敵から見ても、限りなく違和感のない動きをするステップだろうと思われる。

 その特性上、受け流しのスキルと非常に相性が良く、前よりも上手く攻撃を受け流せるようになった。
 ゴブリンソードマン相手だと、腕にかかる負担は殆どゼロ。
 こちらのステップもかなり重宝しそうだな。

 イエローステップとの使い分けは、少し練習すれば直ぐに出来るだろう。


 そうこうしている間に、境界地帯に到着した。

 ミレア達はもう少しで来るとメッセージがあったので、小休止にしよう。









 名前 アスト

 種族 人間 Lv18
 第一職業 中級剣士 Lv9
 第二職業 火炎魔法士 Lv8
 スキルポイント17

 アナザースキル
 加速Lv5

 マスタースキルⅠ
 剣術Lv10〔Master〕火魔法Lv10〔Master〕
 索敵Lv10〔Master〕発見Lv10〔Master〕
 解析Lv10〔Master〕錬金Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅡ
 回避Lv10〔Master〕直感Lv10〔Master〕
 照準Lv10〔Master〕疾走Lv10〔Master〕
 闇魔法耐性Lv10〔Master〕
 盲目耐性Lv10〔Master〕 
 視覚強化Lv10〔Master〕
 暗視Lv10〔Master〕予測Lv10〔Master〕
 迎撃Lv10〔Master〕ステップLv10〔Master〕

 マスタースキルⅢ
 影魔法Lv10〔Master〕魔剣術Lv10〔Master〕

 スキル
 中級剣術Lv14 火炎魔法Lv13 解体Lv13
 中級錬金Lv6 気配察知Lv10 大発見Lv9
 分析Lv9 予見Lv11 立体機動Lv10 
 火魔法耐性Lv3 火傷耐性Lv3 見切りLv10
 舞踏Lv10 受け流しLv10
  

 称号
 開拓者 冒険者 使徒 越境者Ⅱ 開放者
 ジャイアントキリング

 基礎能力値

 物理攻撃力 17(+13)
 物理防御力 16(+17)
 魔法攻撃力 17(+ 8)
 魔法防御力 18(+ 8)
 平均速力  16(+20)

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