異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
上 下
41 / 264
3章

41 舞踏の楽しさ

しおりを挟む
 シャドウウルフリーダーということは、取り巻きが出てきそうだ。
 統率スキルもあるので、数は多めを考えておくべきだろう。

 ただ、それ以上のことは考えても分からない。
 暗闇魔法のことは、戦いながら理解していくしかないな。


 境界地帯に入ってすぐ、黒いツタが、僕の影がある地面から生えて来た。
 確か、闇魔法Lv5呪文アーツ『ダークバインド』だったはず。
 やはり、影魔法との相性は良さそうだ。

 シャドウムーブで影に潜り、ツタを回避して、敵の背後に現れる。
 時間は夜なので、どこにでも現れ放題である。

 アクセラレーションを使用し、加速Lv5アーツ『アクセルドライブ』を発動。


「パワースラッシュ・ドライブ!」

「!?」


 クリティカルポイントをざっくりと切り裂かれ、ダメージを負う大影狼。
 今までとは違い、ここから更に追撃する。


「イエローステップ!トリプルスラッシュ!」

「ギャンッ!?」

「イエローステップ!ダブルスラッシュ!」

「ギャウッ!?」


 自画自賛になるかもしれないが、一連の動作は華麗だと思う。
 アーツによるシステムアシストの力を借りてはいるが、素晴らしいステップ。
 黄色のエフェクトが、良い背景になっている。


《熟練度が一定に達し【舞踏】スキルがLv6になりました》


 立ち直って飛びかかって来たが、ステップを踏みながら、受け流す。


《熟練度が一定に達し【受け流し】スキルがLv6になりました》


「シャドウバインド!スラッシュ!イエローステップ!ダブルスラッシュ!」


 魔法による拘束、攻撃、回避、攻撃、受け流し、攻撃、影移動、攻撃魔法。

 これらを繋ぎ合わせ、流れるような動きをし、一切の隙を生まない。
 これが舞踏スキルの真価なのではないか。

 正直、少しだけ興奮している。
 強敵のはずのシャドウウルフリーダーに、魔法を使う暇さえ与えずに、一方的にダメージを与え続けているのだから。
 それに、これだけ思い通りに綺麗な動きができると、楽しくて仕方が無い。

 このゲームを始めて良かったと、本気でそう思えている。


《熟練度が一定に達し【舞踏】スキルがLv7になりました》
《熟練度が一定に達し【受け流し】スキルがLv7になりました》


 敵のHPバーが半分を下回り、取り巻きの影狼たちが現れた。
 だが、そんなことは問題にもならない。


 加速Lv5アーツ『アクセルドライブ』を発動。


「サークルスラッシュ・ドライブ!」


 取り巻きの狼たちを蹴散らし、更に追撃。

 イエローステップからのダブルスラッシュ。
 ダブルスラッシュからのイエローステップ。
 イエローステップからのトリプルスラッシュ。

 シャドウウルフリーダーへの牽制も行いつつ、取り巻きたちを殲滅した。


《熟練度が一定に達し【舞踏】スキルがLv8になりました》
《熟練度が一定に達し【受け流し】スキルがLv8になりました》


 HPバーが二割五分を下回り、闇の爆発を使ってきたが、シャドウムーブ。
 効果範囲外に退避して、再びシャドウムーブ。


「イエローステップ!トリプルスラッシュ!」


 クリティカルコンボ23HIT!


「イエローステップ!ダブルスラッシュ!」


 クリティカルコンボ25HIT!


 度重なる攻撃の応酬に、シャドウウルフリーダーのHPバーは既に一割以下。

 とどめは、シャドウウルフリーダーの攻撃をシャドウムーブで回避、からのシャドウバインドで拘束。

 そして・・・
 

「カウンターダブルプラス!パワースラッシュ・ドライブ!」

「ギャウッ・・・!!」


 カウンターからの強攻撃が決まり、敵のHPバーは消滅した。


《熟練度が一定に達し【中級剣術】スキルがLv14になりました》
《熟練度が一定に達し【立体機動】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【予見】スキルがLv11になりました》
《熟練度が一定に達し【見切り】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【舞踏】スキルがLv9になりました》
《熟練度が一定に達し【受け流し】スキルがLv9になりました》

《第二境界ボス『シャドウウルフリーダー』が初討伐されました》
《討伐者は初回討伐報酬と単独討伐報酬を獲得しました》
《境界ボス初討伐ボーナスとしてスキルポイントを7獲得しました》


 最高に後味の良い勝利だったな・・・。
 戦闘が終わったのに、まだ気分の高揚が収まらない。
 嫌な感じではなく、とても心地いい余韻と言っていいだろう。

 頭に思い浮かべた通りに敵を翻弄して、舞うように戦うことが、こんなにも楽しくて気持ちのいいことだなんて、思いもしなかった。
 僕にそんな一面があったことには驚きだが、嫌な気はしない。


 ・・・決して戦闘狂の類では無いぞ?



 おっと。名残惜しいが、そろそろログアウトしないと。
 どれだけ楽しくとも、ちゃんと線引きはしなければならない。



【大影狼のコート】防具アイテム レア度5
 物理防御力+4 魔法防御力+4 品質8
 シャドウウルフリーダーの力が宿ったコート。

【大影狼の腕輪】装飾アイテム レア度5
 魔法攻撃力+6 魔法防御力+2 品質8
 シャドウウルフリーダーの力が宿った腕輪。



《熟練度が一定に達し【分析】スキルがLv9になりました》


 単独討伐報酬と初回討伐報酬は、どちらも装備で。










 明日の朝食であるサンドイッチの下準備をしていると、美鈴が降りて来た。
 水でも飲みに来たのだろうか。


「・・・・・・えっ?」

「へ?・・・どうかしたか、美鈴?」


 間抜けな声が聴こえたので、顔をそちらへ向けたのだが、美鈴がポカンとした顔で僕を見つめていた。

 一体何がどうしたというのか。


「お兄ちゃん、どうしたの・・・?」

「え・・・どうもしないけど?」


 ふむ・・・訳が分からない。


「あ、ううん、何でもないっ!おやすみっ!」

「お、おう。おやすみ、美鈴?」


 美鈴は水を飲んで、急いで階段を駆けあがって行った。
 微妙に顔が赤かった気がするが、どうかしたのだろうか?

 僕は、不思議に思いながらも、朝食の準備を続けることにした。










 Side 美鈴


「はぁ、はぁ・・・!お兄ちゃんが、いつもの五割増しで格好良かった・・・!」


 不意打ちであれは反則だよっ・・・!
 お兄ちゃん、ゲーム内で何かあったのかな・・・?
 あああっ、顔が熱いよっ・・・!

 ・・・・・・ふぅ、落ち着いた。

 明日はお兄ちゃんとパーティープレイだったよね。
 今から楽しみだなぁ・・・!




 ・・・あっ、明日の事話すの忘れてたっ!









 名前 アスト

 種族 人間 Lv18
 第一職業 中級剣士 Lv9
 第二職業 火炎魔法士 Lv8
 スキルポイント17

 アナザースキル
 加速Lv5

 マスタースキルⅠ
 剣術Lv10〔Master〕火魔法Lv10〔Master〕
 索敵Lv10〔Master〕発見Lv10〔Master〕
 解析Lv10〔Master〕錬金Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅡ
 回避Lv10〔Master〕直感Lv10〔Master〕
 照準Lv10〔Master〕疾走Lv10〔Master〕
 闇魔法耐性Lv10〔Master〕
 盲目耐性Lv10〔Master〕 
 視覚強化Lv10〔Master〕
 暗視Lv10〔Master〕予測Lv10〔Master〕
 迎撃Lv10〔Master〕ステップLv10〔Master〕

 マスタースキルⅢ
 影魔法Lv10〔Master〕魔剣術Lv10〔Master〕

 スキル
 中級剣術Lv14 火炎魔法Lv12 解体Lv13
 中級錬金Lv6 気配察知Lv10 大発見Lv8
 分析Lv9 予見Lv11 立体機動Lv10 
 火魔法耐性Lv3 火傷耐性Lv3 見切りLv10
 舞踏Lv9 受け流しLv9
  

 称号
 開拓者 冒険者 使徒 越境者Ⅱ 開放者
 ジャイアントキリング

 基礎能力値

 物理攻撃力 17(+13)
 物理防御力 16(+17)
 魔法攻撃力 17(+ 8)
 魔法防御力 18(+ 8)
 平均速力  16(+20)


 武具

【牙兎の剣】武器アイテム レア度3
 物理攻撃力+4 品質7
 ファングラビットの牙を使った剣。
 普通の剣よりも切れ味が良い。

【銀の剣】武器アイテム レア度3
 物理攻撃力+4 魔法攻撃力+2 品質8
 銀鉱石を加工して作成された剣。
 使用時に、魔法攻撃力も上昇する。

【虚影狼の革鎧】防具アイテム レア度5
 物理防御力+5 魔法防御力+2 
 平均速力+3 品質7
 ファングラビットとクレイジーハウンド。
 二体の皮を合わせて使った革鎧。

【大影狼のコート】防具アイテム レア度5
 物理防御力+4 魔法防御力+4 品質8
 シャドウウルフリーダーの力が宿ったコート。

【大影狼の腕輪】装飾アイテム レア度5
 魔法攻撃力+6 魔法防御力+2 品質8
 シャドウウルフリーダーの力が宿った腕輪。

【巨大森熊の指輪】装飾アイテム レア度5
 物理攻撃力+5 平均速力+4 品質8
 ビッグベアーの力が宿った指輪。

【巨大森熊の籠手】防具アイテム レア度5
 物理攻撃力+4 物理防御力+4 品質8
 ビッグベアーの力が宿った籠手。

【大牙兎の首飾り】装飾アイテム レア度5
 平均速力+9 品質8
 ビッグファングラビットの力が宿った首飾り。
 
【大牙兎のブーツ】防具アイテム レア度5
 平均速力+4 物理防御力+4 品質8
 ビッグファングラビットの力が宿ったブーツ。

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...