異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
上 下
28 / 264
2章

28 剣の譲渡

しおりを挟む
「それなら、この剣なんてどうだ?」

「お?普通に良い剣だが・・・貰えるのか?」

「一つ貸しということで、タダで譲っても良いぞ?」

「マジか!恩に着るよ・・・アスト、ってレベル13だとっ!?」


 そこに驚くのか。

 ちなみに、渡した剣は、決闘で倒したプレイヤーの物。

 ウェザリアに売ると、また男たちに難癖をつけられかねないので持て余していた剣なのだが、剣も喜ぶだろう。


 ・・・決して、不良在庫をディアスに押し付けた訳では無いのだ。


「ってことは、さっきのワールドアナウンスはアストだったのか!」

「・・・ワールドアナウンス?知らない子ですね」

「ここにきて誤魔化すか、普通!?」


 ああ、うん・・・普通はそんな誤魔化し方はしないよな。

 イスタリアの町を開放した時、ワールドアナウンスが流れたらしいのだ。


《第二エリア『イスタリアの町』が開放されました》


 という部分が、だ。

 第二エリアというのは、アライアの町から数えて二マス目、ということだろう。


 風の噂でそのことを聞いたときは、情報公開を焦ったものだ。

 公開した情報は、簡単なものだけに限定したが、あれで良かっただろうか?


「なあ、ディアス。公開する内容は、あんな感じで良いと思うか?」

「え?・・・ああ、明かし過ぎず、隠し過ぎずで、良かったと思うぞ?」

「そうか・・・それは良かった・・・」


 滅多に無い経験だったので、正直不安だったのだ。

 それを聞けただけで、不安は払拭された。


「ディアス、お前に会えてよかったよ」

「・・・喜んで良いんだよな、これ?」


 そんな複雑そうな顔をしなくとも、喜んでいいぞ・・・多分。


「って、それより!アストってすげーんだな!もう上位職になってるし!」

「その差はすぐに埋まるんじゃないか?僕はのんびりプレイする訳だし」

「おう!必ず追いついてみせるっ!それじゃあ、この剣、ありがとな!」

「ああ、もう溺れるなよ?」

「二度とスキル無しでは泳がないっ!」


 ディアスは意気揚々と、草原へ向かって行った。


「・・・さて、不良在庫を処分出来たし、ウィンウィンだったな」

「それをハッキリ口に出すのもどうかと思うけどね」


 ミアがジト目でこちらを見て来た。


「ところでミア、頼んでいた剣はできてるか?」

「うん、完成してるよ。・・・はい、これ。」



【銀の剣】武器アイテム レア度3
 物理攻撃力+4 魔法攻撃力+2 品質8
 銀鉱石を加工して作成された剣。
 使用時に、魔法攻撃力も上昇する。



 魔法攻撃力の上昇は嬉しいな。


「ありがとう、ミア。とってもいい剣だ」

「どういたしまして。それで、支払いは13000ゴールドね?」

「了解。あ、銀鉱石で払おうか?」

「是非!」


 ミアに値段と釣り合う量の銀を尋ねて、その分だけ取り出して渡す。

 日本の銀の値段とは一致しない気がするが、深くは考えまい。

 システムがその値段を弾き出したのなら、それで良いのだ。


 さて、後はレインに、虚影狼の毛皮で作成依頼をしたいのだが・・・。


「ミア、レインは中に居るか?」

「居るよ?呼んでこようか?」

「ああ、よろしく頼む」

「うぃ。ちょっと待ってて」


 ミアが呼びに行き、程なくして、銀の長髪を揺らしながら、レインが出て来た。


「アストさん、私に依頼だと聞きましたが・・・」

「ああ。この素材で防具の作成をお願いしようかと・・・」


 アイテムボックスから影狼の皮と、虚影狼の毛皮、影森蛇の皮を取り出した。


「・・・そうですね、今の防具に少し手を加えて、作成できると思います」

「そっか。なら、作成をお願いするよ」

「はい、お引き受けしました」


 レインは素材を受け取ると、真剣な表情をしながら奥へ。

 普段の優し気な表情も良いが、キリっとした表情も悪くないな。


 僕は、ミアの方へ向き直り、ぼけっとした表情を眺める。


「はぁ・・・」

「今のため息は何!?」


 ミアに見つかってしまったようだ。

 気をつけなくてはなるまい。


「いや、残りのアイテムを売却しようと思ってね」

「・・・ふーん。私がやるから、ここに出して?」

「了解」


 ミアは納得していないようだが、仕事はキッチリやるらしい。

 森小熊の爪や森熊の爪、牙兎素材を出していき、売却。

 全部で140000ゴールド程になった。


 相場の値段も、着々と変化しているみたいだな。

 これから加工費も上がっていくだろうし、今のうちにため込んで置こう。


 ギルドで貰った報酬と合わせて、手持ちは100万ゴールドを超えた。

 そろそろ昼食の時間が迫っているので、ポーションを100本程作ってから、ウェザリアの中でログアウトしよう。


《熟練度が一定に到達し【錬金】スキルがLv10になりました》
《【錬金】Lv10アーツ『MPポーション作成』を習得しました》
《【錬金】スキルが最高値になりました》
《【中級錬金】スキルが派生しました》


 ついにMPポーションが作成可能になったか・・・。

 ここまで長かったような短かったような。


 中級錬金スキルを2ポイント消費して取得。

 中級錬金Lv1アーツは・・・APポーション作成。


 ここでAPポーションも作成できるようになるのか。

 加速はAP消費が激しいので、これは必須だな。

 ログインしてきたら、直ちに作るとしよう。


 HPポーションを130本売却して、150000ゴールドに。

 錬金術師も少しずつ増えてきており、値段も多少落ち着いてきたらしい。


 では、少し早いが、夕食を作りにいこうか。








 名前 アスト

 種族 人間 Lv13
 第一職業 中級剣士 Lv4
 第二職業 火炎魔法士 Lv2
 スキルポイント8

 アナザースキル
 加速Lv4

 マスタースキルⅠ
 剣術Lv10〔Master〕火魔法Lv10〔Master〕
 索敵Lv10〔Master〕発見Lv10〔Master〕
 解析Lv10〔Master〕錬金Lv10〔Master〕

 マスタースキルⅡ
 回避Lv10〔Master〕直感Lv10〔Master〕
 照準Lv10〔Master〕

 スキル
 中級剣術Lv5 火炎魔法Lv3 解体Lv10
 中級錬金Lv1 疾走Lv9 闇魔法耐性Lv8
 盲目耐性Lv8 気配察知Lv5 大発見Lv1
 分析Lv1 予見Lv1

 称号
 開拓者 冒険者 使徒 越境者 開放者
 ジャイアントキリング

 基礎能力値

 物理攻撃力 16
 物理防御力 16
 魔法攻撃力 15
 魔法防御力 13
 平均速力  14

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

処理中です...