異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

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2章

18 品不足

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 アリアさんのギルドは、大変な騒ぎになっていた。


「HPポーションは完売しました!次回の入荷は未定です!」

「そんなぁ・・・」

「本当にもう無いのか!?」

「くそっ、ようやく手に入ると思ったのによ・・・!」


 回れ右して帰りたい状況なのだが、売り込役のレインと目が合ってしまった。

 ここから回れ右出来る程、面の皮が厚くない自分が恨めしい。

 はぁ・・・腹をくくるとしようか。


 僕はポーションを求める人たちをかき分けて、レインの元へ。


「レイン、大丈夫?」

「は、はい。大丈夫です」


 万が一にも、レインがもみくちゃにされなくて良かった。


「アスト、ポーションの作成は・・・無理そうね」

「ええ。生憎AP切れですので」


 厳密に言えば、二割近くはあるので、多少は作れるのだが。

 そんな時、ミレアもレインに案内され、簡易工房の中へやって来た。

 
「防具を受け取りに来たら、凄いことになってるね・・・」

「そうだな。僕ももうログアウトするから・・・」

「次のポーションは明日以降かしらね・・・」

「すみませんが、そうなります」


 とりあえず、ログアウトする前にAPを使い切っておこう。


「アリアさん、工房を借りてもいいですか?少しだけポーションを作りますので」

「ええ、構わないわ。何なら、ログアウトもここでいいわよ?」

「それはありがたいですね」


 正直、宿屋まで戻るのも億劫だったのだ。


 そういう訳で、APの許す限りポーションを作成。






「HPポーション作成!」


 APは底を突き、20本ほどのポーションが完成。


「これは明日の販売にでも当ててください」

「ありがとう、アスト。とても助かるわ」


 アリアさんが心底助かったという表情でお礼を言ってくる。

 彼女が笑みを浮かべるのは珍しいな。


「それでは、僕はこれで」

「あっ、アスト兄、私も!」

「アリアさん、私もそろそろログアウトしますね」


 ミレアとレインも落ちるようだ。

 アリアさんは、まだ残るつもりのようだが。


「ええ。三人ともお疲れ様」


 アリアさんの見送りを受けて、現実世界へ帰還した。











「美鈴、昼食と夕食はどうしたんだ?」

「お昼は適当で夕食は食べてないよ?そういうお兄ちゃんは?」

「予め買っておいたお総菜とパンを食べたぞ?」

「ええっ!ずるいよお兄ちゃん!」


 決してズルくなど無い。

 だがしかし、このままではいけないのは間違いない。


「明日からは昼食と夕食の時間を決めて、その時間に完成するよう作っておくよ」

「えっ、良いの!?」

「ああ。このままでは食生活が乱れる」


 別に、そこまで厳しくするつもりは無いが、限度はある。

 夏休みだからといって適当にしていたら、後が辛いだろうし。


「でもそれだと、お兄ちゃんがゲームをやる時間が・・・」

「それくらい構わないぞ。僕は急いでやる必要も無いし」

「あっ、そうか。お兄ちゃんは大学に殆ど行かないもんね」

「美鈴、その言い方だとサボってるように聞こえるんだが・・・」


 一応言わせて貰うと、決してサボりでは無い。

 僕はいま第三学年に所属しているが、単位は殆ど取得済み。

 卒論も完成しているし、一年半の間は遊び放題なのだ。


「私は高校があるからねぇ・・・・・・やめよっかな」

「・・・今何か怖い事言わなかったか?」

「えっ?気のせいだよ、お兄ちゃん」


 そんな訳あるか。

 冗談の類だろうし、これ以上はツッコまないが。


 ・・・冗談、だよな?

 美鈴の冗談は時々分かり辛いのだ。


 それはさておき。


「お兄ちゃん、お腹がすいたな・・・?」

「・・・今から作れと?」


 時計を見ると、既に日付が変わる直前。

 誰がこんな時間から料理なんてするんだよ・・・。


「お兄ちゃん・・・!」

「・・・分かった分かった。簡単なもので良ければ作るから、その目をやめて」

「やったー!ありがとうお兄ちゃん!」

「はぁ・・・」


 美鈴にうるうるした目でお願いされると、断るのは憚られる。

 無理な事はお願いしてこないのがまた、断り難さに拍車をかけているんだよな。



 こうして、深夜からの夕食作りが始まった。


 ・・・夕食って言わないよな、これ?

 どうでもいいけど、夜食作りでいいか。












「そう言えば、境界ボスとかいうのを倒したぞ」

「ぶっ・・・!ゲホッ、ゴホッ!!」


 美鈴が僕のつくったチャーハンもどきを噴き出した。

 のどに詰まったのか、慌てて水を飲んでいる。


 折角作ったのに、勿体ない・・・。

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