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4章
258 器用貧乏の先へ
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《第四職業が<土石魔法士>Lv13になりました》
《熟練度が一定に達し【上級投擲術】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力感知】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【気配遮断】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力遮断】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【空中機動】スキルがLv12になりました》
《熟練度が一定に達し【疾風】スキルがLv11になりました》
《熟練度が一定に達し【閃駆】スキルがLv7になりました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv18になりました》
《熟練度が一定に達し【魔気】スキルがLv14になりました》
狙いを定めて『スラストショット』を放った直後、ギルド《鎮魂歌》の魔法士プレイヤーたちが、一斉に眩しい光に包まれた。全員転送されたということは、今の一撃でギルドマスターを倒せたのだろう。
僕は今一度、城の魔法台がある方を見上げる。
敵との距離が離れているし、ここからだとサッカーボールくらいの大きさにしか見えなかったので、上手く仕留められたようで良かった。
「えっと、ここで七カ所目か。旗も七本手に入ったし、そろそろ一度帰ろうか」
左手に持ったままの赤フラッグを数え、第二拠点の方角をマップで探る。
ちなみに、このギルドのフラッグは回収済みなので問題ない。道中で遭遇した他ギルドのプレイヤーから奪い取ったのである。多分、まんまと旗をゲットして逃げる途中だったのだろう。
なお、ウェザリアは敵対ギルドをガンガン減らしていく方針なので、三十分後のフラッグ再出現を待ってやるつもりはない。
《マスタースキル【空間把握】【立体機動】を確認しました》
《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【空間機動】が追加されました》
おおっ?
複数のマップを注視していたら予想外のアナウンス。
愛用している多段ジャンプの【空中機動】と似た名前だが、違いはどこにある?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【空間機動】Lv0/30 必要スキルポイント2
多元的な空間把握を突き詰めた者が習得できる。
右へ左へ、縦横無尽な動きを可能にする効果がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明を読んだ限りでは、【空中機動】は縦軸、【空間機動】横軸において、多彩な動きをサポートするスキル、ということなのだと思う。
今になって習得可能になったのは、広域マップを見続けていたからかも。
スキルポイントは足りている。
だが、スキルスロットがあと一つしかないのがまずい。
「ぐぬぬぬ……悩む時間が勿体ない。走りながら考えよう」
僕はスキルの取得を保留にし、踵を返して走り出した。
○○○
勢いよく地を蹴りながら土塊を宙に浮かべ、僕は思考を巡らせる。
さっき確認したところ、取得を保留にしているスキルが十個以上あると分かった。
例えば、
武器系なら【投槍術】【刺突剣術】。
戦闘系なら【予感】【嗅覚強化】【筋力強化】【魔力強化】【空間機動】。
称号系なら【創気】。
今すぐ欲しいものだけでも、こんなにある。
これら以外にも十以上のスキルがあるのだが、それらはひとまず置いておく。
武器系二つは……これも後回しでいいか。
投槍に至っては、未だ得物が出来上がっていないのだし。
《第四職業が<土石魔法士>Lv14になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv14になりました》
《称号『一流魔法士』を獲得しました》
《取得可能なスキルに【魔気操作】が追加されました》
《称号『一流戦士』と『一流魔法士』が揃いました》
《特殊条件を満たし、称号『器用貧乏』が『超器用貧乏』に変化しました》
《取得可能なスキルに【大拡張】が追加されました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv19になりました》
悩みが増えたッ!?
なんでこのタイミングでっ!?
頭に超をつけるとか、もはや意味が分からない。
『器用貧乏』から『超器用貧乏』って、本当に上位称号なの?
唐突に挟まれた聞き覚えのあるアナウンスに、ちょっとだけ動揺。
でも、もしかしたら今のアナウンス、僕の悩みを解決してくれるかもしれない。足を止めないまま、新たに取得可能になったスキルについて確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【大拡張】Lv0/50 必要スキルポイント5
スキル【拡張】の上位互換。
取得するとスキルスロットが五つ増加する。
また、Lv5ごとにスキルスロット+1となる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
説明を読むと、やはりスキル枠を増やしてくれる効果があった。
なんとタイムリーな。
迷う必要もないな。
スキルポイントを消費して取得した。
えっと……。
【大拡張】の取得で-1と+5だから……スキルスロット36の残数5だ。
スロットに余裕ができたので、懲りもせずに新しいスキルを取得する。
とりあえずは、【空間機動】だけ……いや、唯一ランク1のスキル【嗅覚強化】。ついでに、使いどころがあるかわからないが、【味覚強化】も。要らない子扱いになるかもしれないが、一つだけ仲間外れにしていると気になるのだ。
毒を食らわば皿まで、とも言う。
なお、二つの強化スキルはスキルポイントが不要になっていた。以前は違ったはずなのに。
今のところ、必要ポイントが増減する理由は不明だ。
システムウィンドウの操作画面を閉じると、ちょうど前方にシエラの待つ拠点が見えてきた。もう一息、頑張ろう。
○○○
《第四職業が<土石魔法士>Lv15になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv15になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力制御】スキルがLv8になりました》
《熟練度が一定に達し【空間機動】スキルがLv3になりました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv20になりました》
《【敏捷強化】スキルが最高値になりました》
《【敏捷超強化】スキルが派生しました》
《【逃走】スキルが派生しました》
訓練場にあるクマ石像の前に到着。
マップで確認していたが、シエラは戦闘を熟した直後だった。
「もー! 遅いよアストー! 私一人で大変だったんだよっ!?」
「すまん。申し訳ない」
頬を膨らませたシエラの前で手を合わせ、誠心誠意謝った。
本当は間に合わなかったのではなく、影から彼女の戦いぶりを見守っていただけだ。僕がいると、敵を像の方へ通しても大丈夫、と気が緩むからな。
しかし、わざわざ真実を話すつもりはない。
孤独な戦いが辛く不安だったという、シエラの気持ちはちゃんと分かっているし、言い訳じみた真似などしたくはないのだ。
ここは、今度埋め合わせをすることで許しを……ん?
あることに気づいた僕は、不機嫌なシエラへと顔を近づける。
「えっ……な、何? どうしたのアスト?」
「……汗の臭いがする。そうか、これが【嗅覚強化】の効果なのか……」
なんというか、ショボい。
大して期待してなかったスキルだが、普段はあまり役に立ちそうにないな。
でも、逃げた敵の臭いを追跡……このスキルだけじゃ足りないか。【追跡】のスキルとかないのだろうか。
《熟練度が一定に達し【嗅覚強化】スキルがLv3になりました》
「嘘ッ!? ちょ、こ、こっちこないでアストっ! 戦ったばかりですっごく汗かいてるし! 絶対臭いし! それに、その……は、恥ずかしいからっ……!」
「あ、ごめん。無神経だし失礼だったな。反省する」
なにやら顔を赤くしているシエラから距離をとり、僕は先程追加されたばかりの新スキルへ目を通していく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【敏捷超強化】Lv0/30 必要スキルポイント3
スキル【敏捷強化】の上位互換。
走る速さや小回りなどにプラス補正が掛かる。
基礎能力値の平均速力は強化されない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【逃走】Lv0/20 必要スキルポイント0
逃げる際の行動全般に影響を及ぼす。
人や魔物からの逃走成功率が上昇する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふむふむ……【敏捷超強化】と【逃走】か。
前者はともかく、後者はもっと早くに増えていてもおかしくなかったスキルだ。巨大猪に追われた時とか、消滅の波から逃げている時とか。
もしかして、【逃走】の取得に必要なスキルポイントが0なのは、その辺りの理由が関わっているのではなかろうか。
僕は、しばし検討したのちに【逃走】と【筋力強化】(2P)を取得した。
そして、早くもスキルスロットが枯渇状態に。言わんこっちゃない。
「さて……クルクル回って何やってんの?」
「汗を乾かしてるのっ! まだ近づかないでね!?」
……コイツ馬鹿なのか?
ツッコミどころが多すぎるだろ。
「横着してないで、汗を拭けば……ああ、そうか。タオルなら……これを使うといい。誰も使ってないやつだ」
アイテムボックスから黄色のタオルを取り出し、シエラに投げ渡す。
以前、火の都でヨミに貸したのとはまた別の、予備用タオルその2である。露店でまとめ売りされていたのを即決で購入した。普段より二割近く安かったんだよ。
投げたタオルは、シエラの顔にパサリと覆いかぶさった。
「わわっ……あ、ありがとう。アストって、ほんと準備が良いし気が利くよね。そういうところ、ちょっと憧れるかも……」
「熱い視線を向けるな。色物枠め」
「誰が色物かっ! 褒めて損したよ! というかっ、別にそんな目で見てないし!」
女子力の低さが露呈したシエラは、フン! と怒ったようにそっぽを向き、顔や腕の汗を順々に拭っていく。
数分後。
乱暴に突き返されたタオルをプレゼントすると伝えたのとほぼ同時に――。
『――競技開始から四時間五十五分が経過しました!
ただいまから約五分後、第二回・空き陣地争奪ランダムバトルを開催します!』
――訓練場のスピーカーから、そう宣言するシステマの声が響いてきた。
―――――――――――――――――――――――――――――――
『ギルド対抗「攻城戦」開催中!』 <残り十九時間四分>
・参加ギルド 302ギルド
・残りギルド 201ギルド/302ギルド
・獲得フラッグ52 喪失フラッグ0
・獲得ポイント52 喪失ポイント0
・総合ポイント52
・広域マップ確認
・周辺マップ確認《ウェザリア》《第二拠点》
・空き陣地争奪戦
・―――――
―――――――――――――――――――――――――――――――
《熟練度が一定に達し【上級投擲術】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力感知】スキルがLv13になりました》
《熟練度が一定に達し【気配遮断】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力遮断】スキルがLv10になりました》
《熟練度が一定に達し【空中機動】スキルがLv12になりました》
《熟練度が一定に達し【疾風】スキルがLv11になりました》
《熟練度が一定に達し【閃駆】スキルがLv7になりました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv18になりました》
《熟練度が一定に達し【魔気】スキルがLv14になりました》
狙いを定めて『スラストショット』を放った直後、ギルド《鎮魂歌》の魔法士プレイヤーたちが、一斉に眩しい光に包まれた。全員転送されたということは、今の一撃でギルドマスターを倒せたのだろう。
僕は今一度、城の魔法台がある方を見上げる。
敵との距離が離れているし、ここからだとサッカーボールくらいの大きさにしか見えなかったので、上手く仕留められたようで良かった。
「えっと、ここで七カ所目か。旗も七本手に入ったし、そろそろ一度帰ろうか」
左手に持ったままの赤フラッグを数え、第二拠点の方角をマップで探る。
ちなみに、このギルドのフラッグは回収済みなので問題ない。道中で遭遇した他ギルドのプレイヤーから奪い取ったのである。多分、まんまと旗をゲットして逃げる途中だったのだろう。
なお、ウェザリアは敵対ギルドをガンガン減らしていく方針なので、三十分後のフラッグ再出現を待ってやるつもりはない。
《マスタースキル【空間把握】【立体機動】を確認しました》
《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【空間機動】が追加されました》
おおっ?
複数のマップを注視していたら予想外のアナウンス。
愛用している多段ジャンプの【空中機動】と似た名前だが、違いはどこにある?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【空間機動】Lv0/30 必要スキルポイント2
多元的な空間把握を突き詰めた者が習得できる。
右へ左へ、縦横無尽な動きを可能にする効果がある。
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説明を読んだ限りでは、【空中機動】は縦軸、【空間機動】横軸において、多彩な動きをサポートするスキル、ということなのだと思う。
今になって習得可能になったのは、広域マップを見続けていたからかも。
スキルポイントは足りている。
だが、スキルスロットがあと一つしかないのがまずい。
「ぐぬぬぬ……悩む時間が勿体ない。走りながら考えよう」
僕はスキルの取得を保留にし、踵を返して走り出した。
○○○
勢いよく地を蹴りながら土塊を宙に浮かべ、僕は思考を巡らせる。
さっき確認したところ、取得を保留にしているスキルが十個以上あると分かった。
例えば、
武器系なら【投槍術】【刺突剣術】。
戦闘系なら【予感】【嗅覚強化】【筋力強化】【魔力強化】【空間機動】。
称号系なら【創気】。
今すぐ欲しいものだけでも、こんなにある。
これら以外にも十以上のスキルがあるのだが、それらはひとまず置いておく。
武器系二つは……これも後回しでいいか。
投槍に至っては、未だ得物が出来上がっていないのだし。
《第四職業が<土石魔法士>Lv14になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv14になりました》
《称号『一流魔法士』を獲得しました》
《取得可能なスキルに【魔気操作】が追加されました》
《称号『一流戦士』と『一流魔法士』が揃いました》
《特殊条件を満たし、称号『器用貧乏』が『超器用貧乏』に変化しました》
《取得可能なスキルに【大拡張】が追加されました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv19になりました》
悩みが増えたッ!?
なんでこのタイミングでっ!?
頭に超をつけるとか、もはや意味が分からない。
『器用貧乏』から『超器用貧乏』って、本当に上位称号なの?
唐突に挟まれた聞き覚えのあるアナウンスに、ちょっとだけ動揺。
でも、もしかしたら今のアナウンス、僕の悩みを解決してくれるかもしれない。足を止めないまま、新たに取得可能になったスキルについて確認する。
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【大拡張】Lv0/50 必要スキルポイント5
スキル【拡張】の上位互換。
取得するとスキルスロットが五つ増加する。
また、Lv5ごとにスキルスロット+1となる。
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説明を読むと、やはりスキル枠を増やしてくれる効果があった。
なんとタイムリーな。
迷う必要もないな。
スキルポイントを消費して取得した。
えっと……。
【大拡張】の取得で-1と+5だから……スキルスロット36の残数5だ。
スロットに余裕ができたので、懲りもせずに新しいスキルを取得する。
とりあえずは、【空間機動】だけ……いや、唯一ランク1のスキル【嗅覚強化】。ついでに、使いどころがあるかわからないが、【味覚強化】も。要らない子扱いになるかもしれないが、一つだけ仲間外れにしていると気になるのだ。
毒を食らわば皿まで、とも言う。
なお、二つの強化スキルはスキルポイントが不要になっていた。以前は違ったはずなのに。
今のところ、必要ポイントが増減する理由は不明だ。
システムウィンドウの操作画面を閉じると、ちょうど前方にシエラの待つ拠点が見えてきた。もう一息、頑張ろう。
○○○
《第四職業が<土石魔法士>Lv15になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv15になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力制御】スキルがLv8になりました》
《熟練度が一定に達し【空間機動】スキルがLv3になりました》
《熟練度が一定に達し【敏捷強化】スキルがLv20になりました》
《【敏捷強化】スキルが最高値になりました》
《【敏捷超強化】スキルが派生しました》
《【逃走】スキルが派生しました》
訓練場にあるクマ石像の前に到着。
マップで確認していたが、シエラは戦闘を熟した直後だった。
「もー! 遅いよアストー! 私一人で大変だったんだよっ!?」
「すまん。申し訳ない」
頬を膨らませたシエラの前で手を合わせ、誠心誠意謝った。
本当は間に合わなかったのではなく、影から彼女の戦いぶりを見守っていただけだ。僕がいると、敵を像の方へ通しても大丈夫、と気が緩むからな。
しかし、わざわざ真実を話すつもりはない。
孤独な戦いが辛く不安だったという、シエラの気持ちはちゃんと分かっているし、言い訳じみた真似などしたくはないのだ。
ここは、今度埋め合わせをすることで許しを……ん?
あることに気づいた僕は、不機嫌なシエラへと顔を近づける。
「えっ……な、何? どうしたのアスト?」
「……汗の臭いがする。そうか、これが【嗅覚強化】の効果なのか……」
なんというか、ショボい。
大して期待してなかったスキルだが、普段はあまり役に立ちそうにないな。
でも、逃げた敵の臭いを追跡……このスキルだけじゃ足りないか。【追跡】のスキルとかないのだろうか。
《熟練度が一定に達し【嗅覚強化】スキルがLv3になりました》
「嘘ッ!? ちょ、こ、こっちこないでアストっ! 戦ったばかりですっごく汗かいてるし! 絶対臭いし! それに、その……は、恥ずかしいからっ……!」
「あ、ごめん。無神経だし失礼だったな。反省する」
なにやら顔を赤くしているシエラから距離をとり、僕は先程追加されたばかりの新スキルへ目を通していく。
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【敏捷超強化】Lv0/30 必要スキルポイント3
スキル【敏捷強化】の上位互換。
走る速さや小回りなどにプラス補正が掛かる。
基礎能力値の平均速力は強化されない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【逃走】Lv0/20 必要スキルポイント0
逃げる際の行動全般に影響を及ぼす。
人や魔物からの逃走成功率が上昇する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふむふむ……【敏捷超強化】と【逃走】か。
前者はともかく、後者はもっと早くに増えていてもおかしくなかったスキルだ。巨大猪に追われた時とか、消滅の波から逃げている時とか。
もしかして、【逃走】の取得に必要なスキルポイントが0なのは、その辺りの理由が関わっているのではなかろうか。
僕は、しばし検討したのちに【逃走】と【筋力強化】(2P)を取得した。
そして、早くもスキルスロットが枯渇状態に。言わんこっちゃない。
「さて……クルクル回って何やってんの?」
「汗を乾かしてるのっ! まだ近づかないでね!?」
……コイツ馬鹿なのか?
ツッコミどころが多すぎるだろ。
「横着してないで、汗を拭けば……ああ、そうか。タオルなら……これを使うといい。誰も使ってないやつだ」
アイテムボックスから黄色のタオルを取り出し、シエラに投げ渡す。
以前、火の都でヨミに貸したのとはまた別の、予備用タオルその2である。露店でまとめ売りされていたのを即決で購入した。普段より二割近く安かったんだよ。
投げたタオルは、シエラの顔にパサリと覆いかぶさった。
「わわっ……あ、ありがとう。アストって、ほんと準備が良いし気が利くよね。そういうところ、ちょっと憧れるかも……」
「熱い視線を向けるな。色物枠め」
「誰が色物かっ! 褒めて損したよ! というかっ、別にそんな目で見てないし!」
女子力の低さが露呈したシエラは、フン! と怒ったようにそっぽを向き、顔や腕の汗を順々に拭っていく。
数分後。
乱暴に突き返されたタオルをプレゼントすると伝えたのとほぼ同時に――。
『――競技開始から四時間五十五分が経過しました!
ただいまから約五分後、第二回・空き陣地争奪ランダムバトルを開催します!』
――訓練場のスピーカーから、そう宣言するシステマの声が響いてきた。
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『ギルド対抗「攻城戦」開催中!』 <残り十九時間四分>
・参加ギルド 302ギルド
・残りギルド 201ギルド/302ギルド
・獲得フラッグ52 喪失フラッグ0
・獲得ポイント52 喪失ポイント0
・総合ポイント52
・広域マップ確認
・周辺マップ確認《ウェザリア》《第二拠点》
・空き陣地争奪戦
・―――――
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