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第2話 敗北

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「ぐ……」

 うつ伏せでもだえる三千院静香さんぜんいん しずかの頭部を、暁月明染あきづき みょうぜんはわらじの底で踏みつけた。

「ふふ、いいザマだねえ、お坊ちゃんよ?」

「なぜ……峰打ちに、した……」

「さあ、おいらにもよくわからないね。ただ、何か無性に、そうしたかったんだよ」

 意図がわからない。

 なぜこの魔剣使いはこのような真似を?

 三千院静香は悶々とした。

「屈辱だろ? その屈辱をバネにして、次はおいらを殺しておくれよ」

「ま、て……」

 楓の着物の背中が遠くなってゆく。

「となりにいるお友達、早く手当してやんな。たいへんなのは、これからだよお?」

「……」

 気を失いかける意識を舌をかんで止めながら、三千院静香は負傷した百鬼院霊光ひゃっきいん れいこうに肩を貸し、深い山を降りていった。
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