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アリス的ご褒美スチル
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はう~ん♪
アリスはうっとりとした瞳で食堂から続くテラス席で向いの席に座るグレースとアランを眺めていた。
アリスの背後の方の食堂の窓から壁モブ令嬢のユリアンヌ達がうっとりとアリスと同じ瞳でグレースとアランに見惚れている。
放課後の柔らかな日差しの中、頬を薔薇色に染めたグレースはチラッと隣りのアランを見上げる。それを優しく見返したアランは微笑んだ。
「とっても素敵♪アラン様によくお似合いです~」
「もう、アリスったら褒め過ぎよ」
アリスの言葉に恥ずかしそうに微笑むグレースにアリスはゆっくりと首を振る。
「そんな事、御座いません~」
グレース様もグレース様からの贈られたポケットチーフを胸に差すアラン様もとっても素敵でとってもお似合いで御座います~。
スプーンをかじっていたアリスの前に現れたのはアランを伴ったグレースだった。アランの制服の胸ポケットにはグレースの発表会出品作品のポケットチーフが飾られている。
「発表会の次の日がお渡ししたい記念日だったのでアラン様にお渡ししたのですけど、やはり完成したポケットチーフをアリスに見て頂きたかったの。そうしたらアラン様が是非見て貰おうって♪」
「私もアリス嬢に子猫の絵がとても可愛かったと一言伝えたかったんだ」
「ええ、とても可愛い子猫達が素敵に描かれていましたわ」
そう言って目を見合わせて笑顔になるグレースとアランをアリスは瞳にハートマーク浮かべて見つめていた。
ああ、グレース様とアラン様の2ショット、なんて神々しくて目映くて光り輝いていらっしゃるのかしら。
尊いわ、推せるわ。白薔薇の舞い散る中で微笑み合うお二人は絵に描いたようなプリンス&プリンセス。クリラブ1で一番で御座います~♪丼飯が何杯でもイケる。しかもアラン様はクリラブ2アイルたんの若かりし頃のバージョン違いではありませぬか~。ゴージャス生スチル、御馳走様です!
心の中だけでなくウチワとペンライトでこの感謝の気持ちを直接お伝えしたい~。
ぽ~っとグレースとアランの二人に見惚れるアリス。それを席の脇でクラリアとアナベル&セシル、コーネリアが眺めていた。
アリスにポケットチーフを見せに行くというグレースとアランに野次馬気分でクラリア達がついてきていた。
「アリス、絵をグレースとアラン様に褒めて戴いて嬉しそうね」
『一晩で仕上げたくせにね。でもお兄様も描いていたから許してあげなくてもないわ』
クラリアを気軽に呼び付けないアランの事はアナベル&セシルは好意的だ。楽しそうに会話に興じている三人に相槌をうちながらクラリアは笑顔を絶やさず、内心思い切り顔をしかめていた。
いやそれ、喜んで尻尾ふりふり見るスチルじゃないから。逆だから。アリス、あなたが今夢中で見ているのはライバル令嬢に攻略対象が取られた時に見せられるショボスチル、攻略対象キャラクターとライバル令嬢に目の前でイチャつかれるイチャイチャスチルだから。
ライバル令嬢の勝利宣言でもあるショボスチル見せられて喜ぶヒロインがどこにいるのっ。
ここにいた。
クラリアは小さくため息をつくと、アリスの傍らに行き声を掛けた。
「良かったわね、アリス」
「はい、わざわざ私めの為に足をお運び頂き恐悦至極に存じます~」
「大袈裟ね、お友達に会いに来ただけよ」
そう言って軽やかに笑うグレース。その気取らない仕草に瞳のハートマークが更に増えるアリス。その耳元でクラリアはボソッと耳打ちする。
「グレースって、初めての○○記念日、○○記念日って言う所謂恐怖のアニバーサリー女なのよね」
「京風のアニバーサリ~?雅どすえ~」
キラキラに当てられて誤変換アリス。
駄目だ、こりゃ。
とクラリアは肩を竦めて、その時食堂全体がざわつき始めた。そのざわめきは段々と近付いている。
「…、何故?」
顔を上げたクラリアが怪訝そうに眉を寄せ、しかしアリスは気付く事なくグレースとアランを見つめ続けていた。
アリスはうっとりとした瞳で食堂から続くテラス席で向いの席に座るグレースとアランを眺めていた。
アリスの背後の方の食堂の窓から壁モブ令嬢のユリアンヌ達がうっとりとアリスと同じ瞳でグレースとアランに見惚れている。
放課後の柔らかな日差しの中、頬を薔薇色に染めたグレースはチラッと隣りのアランを見上げる。それを優しく見返したアランは微笑んだ。
「とっても素敵♪アラン様によくお似合いです~」
「もう、アリスったら褒め過ぎよ」
アリスの言葉に恥ずかしそうに微笑むグレースにアリスはゆっくりと首を振る。
「そんな事、御座いません~」
グレース様もグレース様からの贈られたポケットチーフを胸に差すアラン様もとっても素敵でとってもお似合いで御座います~。
スプーンをかじっていたアリスの前に現れたのはアランを伴ったグレースだった。アランの制服の胸ポケットにはグレースの発表会出品作品のポケットチーフが飾られている。
「発表会の次の日がお渡ししたい記念日だったのでアラン様にお渡ししたのですけど、やはり完成したポケットチーフをアリスに見て頂きたかったの。そうしたらアラン様が是非見て貰おうって♪」
「私もアリス嬢に子猫の絵がとても可愛かったと一言伝えたかったんだ」
「ええ、とても可愛い子猫達が素敵に描かれていましたわ」
そう言って目を見合わせて笑顔になるグレースとアランをアリスは瞳にハートマーク浮かべて見つめていた。
ああ、グレース様とアラン様の2ショット、なんて神々しくて目映くて光り輝いていらっしゃるのかしら。
尊いわ、推せるわ。白薔薇の舞い散る中で微笑み合うお二人は絵に描いたようなプリンス&プリンセス。クリラブ1で一番で御座います~♪丼飯が何杯でもイケる。しかもアラン様はクリラブ2アイルたんの若かりし頃のバージョン違いではありませぬか~。ゴージャス生スチル、御馳走様です!
心の中だけでなくウチワとペンライトでこの感謝の気持ちを直接お伝えしたい~。
ぽ~っとグレースとアランの二人に見惚れるアリス。それを席の脇でクラリアとアナベル&セシル、コーネリアが眺めていた。
アリスにポケットチーフを見せに行くというグレースとアランに野次馬気分でクラリア達がついてきていた。
「アリス、絵をグレースとアラン様に褒めて戴いて嬉しそうね」
『一晩で仕上げたくせにね。でもお兄様も描いていたから許してあげなくてもないわ』
クラリアを気軽に呼び付けないアランの事はアナベル&セシルは好意的だ。楽しそうに会話に興じている三人に相槌をうちながらクラリアは笑顔を絶やさず、内心思い切り顔をしかめていた。
いやそれ、喜んで尻尾ふりふり見るスチルじゃないから。逆だから。アリス、あなたが今夢中で見ているのはライバル令嬢に攻略対象が取られた時に見せられるショボスチル、攻略対象キャラクターとライバル令嬢に目の前でイチャつかれるイチャイチャスチルだから。
ライバル令嬢の勝利宣言でもあるショボスチル見せられて喜ぶヒロインがどこにいるのっ。
ここにいた。
クラリアは小さくため息をつくと、アリスの傍らに行き声を掛けた。
「良かったわね、アリス」
「はい、わざわざ私めの為に足をお運び頂き恐悦至極に存じます~」
「大袈裟ね、お友達に会いに来ただけよ」
そう言って軽やかに笑うグレース。その気取らない仕草に瞳のハートマークが更に増えるアリス。その耳元でクラリアはボソッと耳打ちする。
「グレースって、初めての○○記念日、○○記念日って言う所謂恐怖のアニバーサリー女なのよね」
「京風のアニバーサリ~?雅どすえ~」
キラキラに当てられて誤変換アリス。
駄目だ、こりゃ。
とクラリアは肩を竦めて、その時食堂全体がざわつき始めた。そのざわめきは段々と近付いている。
「…、何故?」
顔を上げたクラリアが怪訝そうに眉を寄せ、しかしアリスは気付く事なくグレースとアランを見つめ続けていた。
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