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終章
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楠木は沢井の告白文を読み、目頭を熱くした。謙也は何も言わずに唯、俯いていた。
「大変、申し訳ない」
執事風の使用人は頭を下げた。こちらの使用人はただの雇われの身である。この額賀家には何の関係もない。
「そうだったんだ…」
「どうして、早く言ってくれなかったんだろう」
楠木は言った。ただ、後悔の念だけが彼を苛んでいる。
翌日、北関東の山奥で沢井の遺体が見つかった。転落死だったという。楠木は謙也に言った。
「もう、僕らは終わりだ」
「楠木センパイ」
「翔子を、頼むな」
楠木は力無く笑った。謙也は隣にいる翔子を見る。相変わらず魅力的な横顔だ。自分には勿体ないくらい。
翔子は謙也を見ると、ぎこちなく笑った。
「帰ろう」
3人はもう既にやみ、道路に水溜りを残した薄野原を何も言わずにただ歩いていた。
もう振り返らない。忌まわしい朧月楼はざわざわとざわめく薄の中にただぽつりとその姿を残すだけであった。
「大変、申し訳ない」
執事風の使用人は頭を下げた。こちらの使用人はただの雇われの身である。この額賀家には何の関係もない。
「そうだったんだ…」
「どうして、早く言ってくれなかったんだろう」
楠木は言った。ただ、後悔の念だけが彼を苛んでいる。
翌日、北関東の山奥で沢井の遺体が見つかった。転落死だったという。楠木は謙也に言った。
「もう、僕らは終わりだ」
「楠木センパイ」
「翔子を、頼むな」
楠木は力無く笑った。謙也は隣にいる翔子を見る。相変わらず魅力的な横顔だ。自分には勿体ないくらい。
翔子は謙也を見ると、ぎこちなく笑った。
「帰ろう」
3人はもう既にやみ、道路に水溜りを残した薄野原を何も言わずにただ歩いていた。
もう振り返らない。忌まわしい朧月楼はざわざわとざわめく薄の中にただぽつりとその姿を残すだけであった。
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