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本当に、生きた心地がちっともしない。気絶するくらいに長い長い時間というものは本当に存在するんだな。と感じた。僕はこの音路町の公園の片隅で、何が悲しくて強面の人民服のマフィアと横並びで【おとチキ】を食べねばならんのだろうか。
「あ、これはうまいでゲスな」
「あ、あぁまぁ」
「あんさんが食べてるのを見て、なんだか羨ましくなったんでゲスが、この街の人はこんなうまいものを食べるんでゲスよね?」
「いや、皆んなが皆んなかは…」
白龍は一口でパクリと食べ終えると、口の中におとチキが残ってるうちからチュッパの包みを開いてパクリと口に入れた。
「あの、白龍さん?」
「はぇ?」
「ちょっと、僕には情報がその、少ないんですけど、その、【ムジカの瞳】ってのは、そんなに高いんで?」
「知らんでゲス」
「はぁ…」
「ほら、見てみるでゲス」
白龍はネットの掲示板を開いている。そこには日本各地にあると言われている宝の情報…なんだよ徳川の埋蔵金だの倭寇の船だの…その中にあったのが
【ムジカの瞳】
マジか。
「これを捜しに捜してたんでゲス。どんな高価なお宝かは分からないでゲスが、時価にして、数億」
「お、億?」
「やかましい!」
「うっ…」
「アンタはんはいわば駒でゲス。余計な事は言わずに捜してさえくれたら良いでゲス」
「…」
「ゴチでゲス。頼んだでゲスよ」
†
「いやぁ、売ってへんかったわ。メルカリにも」
「あるわけないじゃないですか!」
呑気に焼酎のお湯割を傾ける姐さんについ突っ込みを入れてしまった。
「それにしても、どこからそんな情報が?」
「お、いち姉よく訊いてくれましたね?」
僕はスマホを操作し、いち姉に見せた。
「インターネットの情報ですって!」
「惜しい!めいさん!」
「へぇ?」
「情報源はやなぁ、ほぉ、なるほどな」
ネットの掲示板には、ハンドルネームと写真が載っている。【ムジカの瞳】の情報の発信源は……
「こいつやな。【シルバーライトニング】」
「センスない名前ですねぇ」
「いっちゃん、アタシもそりゃ思ったねんけど…」
写真はなみなみと注がれたコーヒー。深い蒼のカップからこちらにも薫ってきそうな琥珀色の…
「とりあえず、こいつにDMでも送ってみますか?」
「めいさん、それ名案!」
「でしょ?」
「いや、あかんな」
「え?」
「だって、こいつにはお宝、渡したないねん」
「はぁ?」
「ライバルは、少ないほうがええ」
僕が大胆なため息をついた刹那、僕のスマホが鳴動をはじめた。見ると充さんのようだ。僕は姐さんといち姉に手刀を切って店の脇に行く。
「はい」
『めいさん、僕です』
「えぇ」
よく通る声だ。そのいい声で充さんは続けた。
『結果から言うと、見つかりません』
「ですよねぇ…」
『でもめいさん、その【ムジカの瞳】は誰もお目にかかった事がないようですね?』
「はい…」
『なら、僕に良い考えがあるんですが、宜しいですか?』
「あ、これはうまいでゲスな」
「あ、あぁまぁ」
「あんさんが食べてるのを見て、なんだか羨ましくなったんでゲスが、この街の人はこんなうまいものを食べるんでゲスよね?」
「いや、皆んなが皆んなかは…」
白龍は一口でパクリと食べ終えると、口の中におとチキが残ってるうちからチュッパの包みを開いてパクリと口に入れた。
「あの、白龍さん?」
「はぇ?」
「ちょっと、僕には情報がその、少ないんですけど、その、【ムジカの瞳】ってのは、そんなに高いんで?」
「知らんでゲス」
「はぁ…」
「ほら、見てみるでゲス」
白龍はネットの掲示板を開いている。そこには日本各地にあると言われている宝の情報…なんだよ徳川の埋蔵金だの倭寇の船だの…その中にあったのが
【ムジカの瞳】
マジか。
「これを捜しに捜してたんでゲス。どんな高価なお宝かは分からないでゲスが、時価にして、数億」
「お、億?」
「やかましい!」
「うっ…」
「アンタはんはいわば駒でゲス。余計な事は言わずに捜してさえくれたら良いでゲス」
「…」
「ゴチでゲス。頼んだでゲスよ」
†
「いやぁ、売ってへんかったわ。メルカリにも」
「あるわけないじゃないですか!」
呑気に焼酎のお湯割を傾ける姐さんについ突っ込みを入れてしまった。
「それにしても、どこからそんな情報が?」
「お、いち姉よく訊いてくれましたね?」
僕はスマホを操作し、いち姉に見せた。
「インターネットの情報ですって!」
「惜しい!めいさん!」
「へぇ?」
「情報源はやなぁ、ほぉ、なるほどな」
ネットの掲示板には、ハンドルネームと写真が載っている。【ムジカの瞳】の情報の発信源は……
「こいつやな。【シルバーライトニング】」
「センスない名前ですねぇ」
「いっちゃん、アタシもそりゃ思ったねんけど…」
写真はなみなみと注がれたコーヒー。深い蒼のカップからこちらにも薫ってきそうな琥珀色の…
「とりあえず、こいつにDMでも送ってみますか?」
「めいさん、それ名案!」
「でしょ?」
「いや、あかんな」
「え?」
「だって、こいつにはお宝、渡したないねん」
「はぁ?」
「ライバルは、少ないほうがええ」
僕が大胆なため息をついた刹那、僕のスマホが鳴動をはじめた。見ると充さんのようだ。僕は姐さんといち姉に手刀を切って店の脇に行く。
「はい」
『めいさん、僕です』
「えぇ」
よく通る声だ。そのいい声で充さんは続けた。
『結果から言うと、見つかりません』
「ですよねぇ…」
『でもめいさん、その【ムジカの瞳】は誰もお目にかかった事がないようですね?』
「はい…」
『なら、僕に良い考えがあるんですが、宜しいですか?』
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