上 下
61 / 67
王宮裏事情解決編

55 フラグって言うものは回収するためにある

しおりを挟む
名:山野ケイ
齢:26
種:異世界人・お料理聖女(見習い)
Lv:15
体力:25
魔力:99
攻撃:?
防御:100
スキル:空っぽ
固有スキル:mamazon
加護:女神の加護


「……何これ」
「貴女のステータス」
「……え、ちょっとまって魔力量」
「増えすぎ」
「なんでえええええ!?」
「だから、凄いことなってるって言ったでしょ!」

 その他にも何故かお料理聖女(見習い)とか加護が読めるようになってるし!
 あ、でもレベルはようやく大人と同じになってる。
 ルーと一緒に魔法のお勉強したからかな?そうだといいな。いや、絶対そうだ。

「レベルは別として、自分の魔力量が分かってないのに基礎も何も無いわよ、本当」
「ごもっともでーす」

 なんでこんなになってるの?とかそういうのは一旦置いとかれたけど、まあ、異世界から来てるからなのか、規格外の成長スピードで赤ちゃんから大人になったね、て言われた。
 いや、こちとら元から成人済の大人の女ですから。やっと身体と精神とこの世界とのバランスが取れたってことなのでは!?
 ん?でも待てよ、この世界の成人って17歳そこらじゃん、まだ年齢と釣り合ってない!

 やっとこの世界の成人と同じレベルになったのは喜ばしいけど、つまり私はこの世界で言う赤ちゃんレベルの時から基礎ステータスがすでにやばかったって訳だ。
 もしこれで長く王宮にいたら、やはり異世界人は聖女!とか祀られてた!?
 セーーーフ!あのバカ王子にバレなくてよかった!

 そして、まとめると私がやってた魔力操作は勢い良く水が流れている滝のような所に無謀にもコップで水を汲んでいるような馬鹿さ加減だった、ということだ。
 そりゃ割れるよ、魔石さん。

 女神様の話では、これで自分の魔力量が分かったら次は源泉からパイプを通すように穏やかに道を作って水を汲める場所を作るイメージで魔力を流し込め、と言われました。
 まあ所謂、中継所というか、水道と蛇口とか、井戸とかそういうイメージでやれ、という事ね。
 そういうことが出来てからの魔力操作らしい。
 うーむ、これは一度には出来ないから自己練習しないとだな。
 そんな感じで魔力の方は解決?した。

「この、攻撃が『?』と言うのは?」
「ああ、それなんだけど……固有スキルに関係あるそうなのよ」
「え、調べてくれたんですか!?」
「そうよっ!大変だったんだからね!?」

 今にも食いつかん如きの女神さん、ちょっ、近い近い。

「貴女の世界の神様から他の異世界の神様から……飛び回って聞きまくったんだからね!」
「すみません、本当……」

 私の事サポートするって本当だったんだ……。ちょっと本気で忘れてたの可哀想になってきた。

「そう思うなら敬って欲しいわ」
「あ、思考読めるんだったこの人」

 なんでもありな夢の中(……か、分からんけど)女神様は説明を続けた。

「貴女の固有スキル、mamazonは合言葉を唱えると魔力と引き換えに攻撃魔法やら生活魔法やら、あらゆる知識から望みのままにサポートしてくれるAIだ、て貴女の世界の神様が言ってたわ」
「合言葉、ね……」

 なんとなく分かってしまった。
 mamazon……それは取り寄せられないものは無いのでは無いかと言われるネット界最大にして最強の通販サイト。そしてその通販サイトを起動せし合言葉を唱えると出てくるAIとくれば……アレしかない。

「その合言葉は……」

「「おっけービーグル」」

 ……ですよね。

「なんで合言葉知ってるのよお!」
「いや、だってもともとこちらの世界の技術ですし」
「それもそっか」

 納得早いです、女神様。

「合言葉を唱えるとAIが貴女の望みのまま好きなものを取り寄せたりスキル取得出来るみたい。まあ、限りも制限もあるみたいだけど」
「……危険なスキルですね……」
「え?そうなの?」

 ……え?なぜそう思わないのかが逆に問いたいですが?
 なんでも、と言うのは多分語弊だろうけど魔力さえあれば希望に近しいものを検索して案内してくれるなど悪用したらとんでもない事になる。
 核を作りたいとか願ったらそれなりに検索してそれなりのものが出来てしまうのでは?と思ったけどする気もないしこれからもしないのでこの考えは封印。

「あの、多分わたし固有スキルはしばらく使わないかもです……ってか今まで必要なかったから使う未来が浮かばないです」
「まあまあ、使い方知ってるだけでも知らないよりは良いんだし。必要になった時でいいんじゃない?」
「はあ……」
「こっちはあなたがいればそれだけで良いのだから!レッツえんじょい、異世界!なのよ!」
「……女神様、地球の神様に何教えられたの」

 そんなこんなで自分のステータスやスキルを説明されて。
 ちょっと欲しいスキルがあったから何個か取得したら魔力切れになりそうになったのでそこで辞めた。魔力切れ起こしたら死んじゃうからね!
 そして女神様から、お祈りはしなくてもいいからたまには連絡して来いと釘をさされ、女神様との交流は終わったのであった。


**********

「……ィ……ケ、イ……」

 うーん、うるさいな。
 気持ちよく寝てるのに起こすのは誰だよ!

「ケイ!」
「んひっ!?」

 一際大きな声で呼ばれたので素っ頓狂な声を出してしまった。
 そして一瞬にして目覚めると、そこには見知らぬ天井と、めっちゃ綺麗な団長さんの顔……。

「……ここはどこ? 私は誰?」
「!? 分からないのか!?」
「あ、違う違う、異世界ジョーク、冗談です、冗談!!」

 慌てふためく団長さんが、今にも飛び出して行きそうなのを必死で止めつつ起き上がる。
 私の様子をみて、平気そうだと判断したのか団長さんは溜息を吐くと座っていた椅子に座り直した。

「いきなり倒れたから吃驚した」
「すみません……ちょっと、神託が」
「神託!?」

 私は異世界から来ているし、女神様も信徒に神託が~……とか言ってたから神託など当たり前に有るもんと思ってたけど違ったみたいだ。
 やらかした、な。

 興味津々と言った感情と信じられないと言った感情が複雑に混ざりあった表情の団長さんが目の前にいる。
 これはもう自分から言ってしまったものなので先程の女神様との事を白状した。
 言っちゃダメとか言われてないし大丈夫だよね?

 団長さんによると、私が倒れてから一時間くらいしかたって無かったみたいで、夢の中はもっと長くいた感覚だったのでそれは驚いた。女神様と話した内容等――……まあ、魔力とかレベルとか上がったよ、とかその他もろもろ――を大まかに説明して、団長さんは納得したようだ。

 私の固有スキルは使い方を間違えれば危険だから内緒にしたけど、話し終わってから団長さんから『私の目に狂いはなかった』と極上の笑顔を頂きまして、ますます私を聖女と崇め護りますとのお言葉を頂いてしまいました。
 ……正直勘弁してほしい。
 私は聖女(見習い)なので!聖女じゃないです!!

「私の体調は良いので、そろそろ神殿から出ましょう」

 ここにいるとなんか危なそう……というか先程から部屋の隅にいる信徒もコチラをちらちらソワソワと視線をくれたりしているので、多分神託の話が聞こえたんだろう。口止めしないと私に関する噂が広まるような気がしてならない。
 私の提案に団長さんも同意してくれてベットから立ち上がらせてくれた……と思ったらそのまま見事に抱きしめられ、お姫様抱っこなう。

「あの、団長さん……? 降ろし……」
「ケイは気にしなくていい」

 喉がひゅっ、となる位の、キラキラ貴族モードの団長さんがそこにいました。
 もう、二度と、倒れない。




しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

おデブだった幼馴染に再会したら、イケメンになっちゃってた件

実川えむ
恋愛
子供のころチビでおデブちゃんだったあの子が、王子様みたいなイケメン俳優になって現れました。 ちょっと、聞いてないんですけど。 ※以前、エブリスタで別名義で書いていたお話です(現在非公開)。 ※不定期更新 ※カクヨム・ベリーズカフェでも掲載中

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。-俺は何度でも救うとそう決めた-

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
 【HOTランキング第1位獲得作品】 --- 『才能』が無ければ魔法も使えない世界。 生まれつき、類まれな回復魔法の才能を持つ少年アスフィは、両親の期待を背負い、冒険者を目指して日々を過ごしていた。 しかし、その喜びも束の間、彼には回復魔法以外の魔法が全く使えないという致命的な欠点があった。 それでも平穏無事に暮らしていた日々。しかし、運命は突然、彼に試練を与える。 母親であるアリアが、生涯眠り続ける呪いにかかってしまう。 アスフィは、愛する母を目覚めさせるため、幼馴染で剣術の使い手レイラと共に、呪いを解く冒険の旅に出る。 しかしその旅の中で、彼は世界の隠された真実に辿り着く―― そして、彼の『才能』が持つ本当の力とは?  --------- 最後まで読んで頂けたら嬉しいです。   ♥や感想、応援頂けると大変励みになります。 完結しておりますが、続編の声があれば執筆するかもしれません……。

処理中です...