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第一章 討伐騎士団宿舎滞在編
閑話 ルー先生の魔法運用講座
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閑話 ルー先生の魔法運用講座
「さあ!今日こそちゃんとやりますよ!」
意気揚々とルーに首根っこ掴まれて空き部屋なう。
土曜日……ではなく闇の日の午後。騎士達もお昼からお休みの日です。
……ちっ、逃げられなかったぜ。
私が浄化や魔導コンロやらでやらかした後、ルーから空の魔石を何個か貰っていた。
自分が最初に軽く魔力流してみるか、なんて声掛けしてまさかの出来ちゃった!というものだし、責任を感じて私の魔法指導をしてくれることになったのだ。
ルー曰く、魔法とはイメージし、己の魔力量を理解し、それを正しく操作する事が基本であり大事なのである!……だそうです。
なのでこうして私も、まずは自身の中にある魔力の流れを理解して魔石に魔力を流して適量溜め込む、という事を覚えるところからなのだそうです。
魔力を感じるその行為に、最初はウキウキワクワクしてました。
でもね、この地味な作業。
嫌いじゃないんだけどさ、ちょっと問題がありまして。
楽しそうなルーに気付かれないように溜息をついて。捕まってしまったものは仕方ないので、諦めて練習しまーす。
魔導コンロに魔力を流し込んだ時の事を思い出す。すると、お腹の底から何かあたたかいものが広がっていき、じわっと全身に行き渡る。
例えるならあれだ、お風呂に入って「ふはー……」っていう感じと同じだ。
そしてそれを手のひらに握る魔石に少しずつうつす……うつ、す……
――バリンッ!
「あー……また割れた……なんで?」
手のひらの中の魔石は粉々に砕かれている。
何度やってもこうなる運命なのです。
「普通は砕けないんですがね……」
「うう、ちょっとしか流してないもん……私悪くない……」
そう、ちょっと問題が、の問題はこれ。
こういうことが続いていてちょっと魔法嫌いになってしまった私だよ。
ルーが言うにはレベルと身体の作り(大人だからね)のバランスが取れていないからそうなるのでは?との話だ。
レベルが低いのに私の魔力量が38で平均より高めなのがバランスがとれてなく、身体の中で矛盾を引き起すから適量入れられない、との見解だ。うーん、わからん!
「簡単に言うと赤ちゃんが大魔法使える状態だけど言葉が喋れないので使えない、みたいな矛盾ですね」
そうなんです、私ここに来てまだ数日しか経ってない赤ちゃんなんです!!
なので、バランスを取るためにレベルを上げ、そのためには魔石に力を流すこの作業……という修行をしないといけないらしい。
だけど毎回毎回上手くいかないとやる気もポッキリ折れるというものです。ここ最近はサボって逃げ回る日々を送って来たのだけど、今回は捕まってしまった。
……本気出したルー、めっちゃ怖かった。
「ケイ様は異世界から来られた方ですからね……何かと規格外なのかも知れません」
「えー?そんな事ってある!?」
「ありますね」
きぱっと言わないで。
「それに、属性も無属性かもしれないですし」
「むぞくせー?」
「少しでも魔力を流した空の魔石は属性の色に染まるのですが……ほら、ケイ様のは染まってません」
「本当だ……」
手のひらにある砕けた魔石は渡された時と同じ、無色透明。
あぶないので割れた魔石はゴミ箱に。
「じゃあさ、私は魔法使えないの?」
「魔力がありますから使えますよ。ただ、無属性の方はそんなに居なくて見つけにくくまだ分からないことばかりなのです」
「ふーん、そうなんだ」
「宮廷魔導師団の方ならわかるかも……」
「パース!」
宮廷には極力関わりたくないです!
それも私を実際の魔法を使って召喚した人達でしょ?こんなこと知れたら実験だー!とか言って何されるか分かったもんじゃないもんね。
「全属性の無属性なのか、珍しい属性でレベルが足りなくて扱えないのか……まだわからないので、地道に努力していきましょうね!」
「はーい……」
返事をしたものの、にこっと微笑むルーの手には大量の魔石が入った皮袋が。
それを視界に捉えてしまったのだけれど、もしかしてもしかすると、もしかするわけで……
「あ、の……ルーさん?それは……」
「空の魔石です。いっぱいありますから、どんどん使っていいですよ?」
「一日一個、的な?もったいないもんね!魔石!」
「何言ってるんですか?これが一日分ですよ?……それに、ここをどこだと思ってるんですか?」
魔石。
魔物から取れる核……心臓みたいなもので、大きいサイズから小さいサイズ、一個体から取れる数などもまちまちなのである。
売れば当然お金になるが、ここでは無価値に等しい。
なぜならここは魔物狩りを中心としている討伐騎士団である。
……と、いうことは?
「この量など毎日消費した所で増える方が多いのですからね。在庫処分に貢献していると思って、どんどん使ってどんどん魔力操作の上達とレベルアップしていきましょうね?」
「ひっ、ひいいいい!!」
ルーはスパルタ先生なのであった!
その日、私の悲鳴とルーの楽しそうな笑い声が討伐騎士団宿舎に響いたとかなんとか……。
「さあ!今日こそちゃんとやりますよ!」
意気揚々とルーに首根っこ掴まれて空き部屋なう。
土曜日……ではなく闇の日の午後。騎士達もお昼からお休みの日です。
……ちっ、逃げられなかったぜ。
私が浄化や魔導コンロやらでやらかした後、ルーから空の魔石を何個か貰っていた。
自分が最初に軽く魔力流してみるか、なんて声掛けしてまさかの出来ちゃった!というものだし、責任を感じて私の魔法指導をしてくれることになったのだ。
ルー曰く、魔法とはイメージし、己の魔力量を理解し、それを正しく操作する事が基本であり大事なのである!……だそうです。
なのでこうして私も、まずは自身の中にある魔力の流れを理解して魔石に魔力を流して適量溜め込む、という事を覚えるところからなのだそうです。
魔力を感じるその行為に、最初はウキウキワクワクしてました。
でもね、この地味な作業。
嫌いじゃないんだけどさ、ちょっと問題がありまして。
楽しそうなルーに気付かれないように溜息をついて。捕まってしまったものは仕方ないので、諦めて練習しまーす。
魔導コンロに魔力を流し込んだ時の事を思い出す。すると、お腹の底から何かあたたかいものが広がっていき、じわっと全身に行き渡る。
例えるならあれだ、お風呂に入って「ふはー……」っていう感じと同じだ。
そしてそれを手のひらに握る魔石に少しずつうつす……うつ、す……
――バリンッ!
「あー……また割れた……なんで?」
手のひらの中の魔石は粉々に砕かれている。
何度やってもこうなる運命なのです。
「普通は砕けないんですがね……」
「うう、ちょっとしか流してないもん……私悪くない……」
そう、ちょっと問題が、の問題はこれ。
こういうことが続いていてちょっと魔法嫌いになってしまった私だよ。
ルーが言うにはレベルと身体の作り(大人だからね)のバランスが取れていないからそうなるのでは?との話だ。
レベルが低いのに私の魔力量が38で平均より高めなのがバランスがとれてなく、身体の中で矛盾を引き起すから適量入れられない、との見解だ。うーん、わからん!
「簡単に言うと赤ちゃんが大魔法使える状態だけど言葉が喋れないので使えない、みたいな矛盾ですね」
そうなんです、私ここに来てまだ数日しか経ってない赤ちゃんなんです!!
なので、バランスを取るためにレベルを上げ、そのためには魔石に力を流すこの作業……という修行をしないといけないらしい。
だけど毎回毎回上手くいかないとやる気もポッキリ折れるというものです。ここ最近はサボって逃げ回る日々を送って来たのだけど、今回は捕まってしまった。
……本気出したルー、めっちゃ怖かった。
「ケイ様は異世界から来られた方ですからね……何かと規格外なのかも知れません」
「えー?そんな事ってある!?」
「ありますね」
きぱっと言わないで。
「それに、属性も無属性かもしれないですし」
「むぞくせー?」
「少しでも魔力を流した空の魔石は属性の色に染まるのですが……ほら、ケイ様のは染まってません」
「本当だ……」
手のひらにある砕けた魔石は渡された時と同じ、無色透明。
あぶないので割れた魔石はゴミ箱に。
「じゃあさ、私は魔法使えないの?」
「魔力がありますから使えますよ。ただ、無属性の方はそんなに居なくて見つけにくくまだ分からないことばかりなのです」
「ふーん、そうなんだ」
「宮廷魔導師団の方ならわかるかも……」
「パース!」
宮廷には極力関わりたくないです!
それも私を実際の魔法を使って召喚した人達でしょ?こんなこと知れたら実験だー!とか言って何されるか分かったもんじゃないもんね。
「全属性の無属性なのか、珍しい属性でレベルが足りなくて扱えないのか……まだわからないので、地道に努力していきましょうね!」
「はーい……」
返事をしたものの、にこっと微笑むルーの手には大量の魔石が入った皮袋が。
それを視界に捉えてしまったのだけれど、もしかしてもしかすると、もしかするわけで……
「あ、の……ルーさん?それは……」
「空の魔石です。いっぱいありますから、どんどん使っていいですよ?」
「一日一個、的な?もったいないもんね!魔石!」
「何言ってるんですか?これが一日分ですよ?……それに、ここをどこだと思ってるんですか?」
魔石。
魔物から取れる核……心臓みたいなもので、大きいサイズから小さいサイズ、一個体から取れる数などもまちまちなのである。
売れば当然お金になるが、ここでは無価値に等しい。
なぜならここは魔物狩りを中心としている討伐騎士団である。
……と、いうことは?
「この量など毎日消費した所で増える方が多いのですからね。在庫処分に貢献していると思って、どんどん使ってどんどん魔力操作の上達とレベルアップしていきましょうね?」
「ひっ、ひいいいい!!」
ルーはスパルタ先生なのであった!
その日、私の悲鳴とルーの楽しそうな笑い声が討伐騎士団宿舎に響いたとかなんとか……。
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