三十路のΩ

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 普段、寡黙で冷静沈着な伊織。
 今は顔を赤くし、涙目で喘いでいる。
 果てしなくエロい。
 ギャップが凄すぎて巴は夢でも見ている心地である。
 そして初めてだと言うのにアナルが柔らかく、まるで痴女の様だった。
 巴を奥に誘い込み、逃さないと締め付ける。
 ずっとそこにいたい気持にさせてくる。
 竜宮城の乙姫だろうか。
 伊織が可愛くて可愛く堪らなかった。
 伊織はもう何が何だか解らない様子で、必死に巴に抱きついている。 
 よく切りそろえられたキレイな爪であるが、それでも巴の皮膚に傷をつけるぐらいには強くしがみつかれ、それがまた可愛くて巴を興奮させていた。
 伊織がイきたそうだったので、ブジーはもう抜いているが、発情は治まらない様子だ。
 もう何度もイっている。
 もう殆ど潮なんじゃないかってぐらいに伊織はイキッぱなしだ。
 もうやめてあげるべきなのだろうが、吐息と共に

「巴さん好き、好き、離さないでください」
 
 と、うわ言の様に言うのだからたまったものではなかった。
 止めるに止めてあげられず、魔性の伊織に馬鹿みたいに腰を打ち付けるしか無かった。
 αである自分がΩによって理性を失い獣の様になってしまうのが、ずっと怖かった。
 αという性に飲まれるのが嫌だった。
 だが、伊織には良いと思えた。
 伊織に流されたいとさえ。
 伊織がΩで、自分がαだった事が、本当に奇跡の様で、嬉しいくてたまらないのだ。
 巴は信じてもいなかった神に感謝した。





 朝、目覚めた伊織。
 すごくサッパリとした目覚めだった。
 いつもより、景色が明るく見える様な。まるでお花畑で目覚めかの様な。
 
「体は大丈夫か?」

 声をかけられて首を動かすと、ドアップの巴の顔をあった。
 驚いて身を引いてしまい、ドカっとすごい音をたてて壁に頭を打ちつけてしまった。
 あまりにも綺麗な顔が目の前に突然あるのは凶器だ。

「いっ……」
  
 お花畑が一変して火花が散った気がする。

「すまん。驚かせた。大丈夫か!?」
 
 巴は伊織の頭を撫でる。
 たん瘤になっていたが、伊織は直ぐに自己治癒したらしく、たん瘤は引っ込む。
 伊織のヒールはチート過ぎるなと、巴は苦笑した。

「すみません! と、言うか、腕は大丈夫ですか!?」

 巴は伊織に腕枕をしていたのだ。
 巴の腕が壊死してないか心配である。
 直ぐにヒールをかけた。
 さすがにヒールでも壊死した部分は直せない。

「大袈裟だな。僕だって自分のΩに腕枕ぐらいしてやれるさ」
「心配になるのでやめてください」
「僕がしたかったんだ」

 巴の腕を心配する伊織。
 あとでコリに良く聞く薬草を煎じよう。

 巴は伊織の額にキスをして起き上がる。

「朝食を作ってくる」
「俺も……」
「寝ていろ。昨夜は無理をさせすぎた」
「すごく気持ちよかったですよ。俺は今、すごく元気です!」
「……頼む。寝ててくれ」

 元気だと腕を上げ下げしてアピールする伊織。
 見るからにとても元気で良いのだが、安心するのだが、朝から興奮させるのはやめて欲しい。
 僕の僕がまた元気になるじゃないか。
 
「眠くないので寝ません! 俺が朝食を作るので巴さんが寝てて下さい!」
「何でだよ」

 何で抱かれた方が元気に抱いた方の心配をしているんのだろうか。
 元気で良いけど。

「解った。今日も一緒に朝食作って食べようか」

 結局、一緒に朝食を作って食べた。
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