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新婚生活も十日目になった。
まだ始まったばかりだが、お互い相手が何をどう考え、どうしたいかが空気を読んで解る事が多い。
かなり快適である。
言葉を交わさずとも、家事も分担して出来ていた。
伊織は巴に与えられた書斎を気に入って使っているし、最近では当たり前の様に一緒にお風呂に入っている。
寝室も勿論一緒に寝ているし、仕事も一緒に向かう。
指輪やチョーカーも出来たので、お互いが夫婦である事は周りが見ても直ぐに解り、和やかムードだ。
家庭も仕事も順風満帆に出来ている訳である。
唯一困ってるのは、伊織が発情しない事である。
そして、詳しく調べた結果、巴にも問題が有った事だ。
巴は今ままで精子提供をして来たが、その精子を用いて妊娠出来たΩが居なかったのだ。
巴の精子がやる気を出さないらしい。
伊織も妊娠出来るか解ら無いが、巴の精子も使い物になるか解ら無い事態である。
兎に角、伊織には発情してもらうべく、座薬を毎日投与している。
確かに一瞬、ミントの香りを漂わせるのだが、直ぐに消えてしまう。
国からは、もし、一年以内に子供が出来ないようなら、パートナーを交換するか、別の精子提供を試して貰うと言われてしまった。
それで子供が出来なければ伊織の問題な為、飽きらめるらしいが、巴の問題かも知れないので試しは試しだと人を何だと思っているんだ発言を書文にして送りつけて来た訳である。
人権もあったもんではない。
これはちゃんと対処するとして、兎に角は伊織に発情して貰わないと困るのである。
事は急を要している為に、3日に1回はΩ専門医に相談している訳であるが、今日で3回目だ。
「おかしいですね。もしかして、伊織さんは無意識の内に魔力で発情を封じてしまっているかも知れません」
「座薬で出る熱をヒールで抑えてるな」
「間違いなく発情を魔力で封じてるじゃないですか!」
「どうしたら良い?」
言われて見れば確かに初めて座薬を使った時から伊織は自己治癒で治めてしまっていた。
「座薬を入れたらコレを使って下さい」
「何だこの棒状の物は」
「尿道から中を刺激して発情を促します。魔力止めにもなります」
巴に手渡されたのは尿道ブジーである。
「嫌です!! 絶対に嫌です!!!」
ブジーを見て、顔を真っ青にする伊織だ。
「お前が無意識に自己ヒールするのが悪い」
「無茶言わないで下さいよ! そんなの息するのと同じぐらい無意識なんですから」
伊織は自己治癒で止めてる自覚は全く無いので、そうなのだろう。
なのに、そんな凶器を使うなんて聞いてない。
毎日巴に入れられる座薬だって恥ずかしくて泣きそうになるのに、そんなの尿道に入れられたら泣いてしまう。
「もっと普通の魔力止めは無いですか?」
「魔力止めは粘膜に使わないといけないので、鼻にピアス空けるとかになりますけど、良いですか?」
「良いわけないです」
どうやら尿道ブジーが一番まともな方法だったらしい。
もう半泣き状態の伊織だ。
確かに、魔力止めなんてはじめて聞いたけど。
「優しくするから」
巴は伊織の頭を撫でるのだった。
まだ始まったばかりだが、お互い相手が何をどう考え、どうしたいかが空気を読んで解る事が多い。
かなり快適である。
言葉を交わさずとも、家事も分担して出来ていた。
伊織は巴に与えられた書斎を気に入って使っているし、最近では当たり前の様に一緒にお風呂に入っている。
寝室も勿論一緒に寝ているし、仕事も一緒に向かう。
指輪やチョーカーも出来たので、お互いが夫婦である事は周りが見ても直ぐに解り、和やかムードだ。
家庭も仕事も順風満帆に出来ている訳である。
唯一困ってるのは、伊織が発情しない事である。
そして、詳しく調べた結果、巴にも問題が有った事だ。
巴は今ままで精子提供をして来たが、その精子を用いて妊娠出来たΩが居なかったのだ。
巴の精子がやる気を出さないらしい。
伊織も妊娠出来るか解ら無いが、巴の精子も使い物になるか解ら無い事態である。
兎に角、伊織には発情してもらうべく、座薬を毎日投与している。
確かに一瞬、ミントの香りを漂わせるのだが、直ぐに消えてしまう。
国からは、もし、一年以内に子供が出来ないようなら、パートナーを交換するか、別の精子提供を試して貰うと言われてしまった。
それで子供が出来なければ伊織の問題な為、飽きらめるらしいが、巴の問題かも知れないので試しは試しだと人を何だと思っているんだ発言を書文にして送りつけて来た訳である。
人権もあったもんではない。
これはちゃんと対処するとして、兎に角は伊織に発情して貰わないと困るのである。
事は急を要している為に、3日に1回はΩ専門医に相談している訳であるが、今日で3回目だ。
「おかしいですね。もしかして、伊織さんは無意識の内に魔力で発情を封じてしまっているかも知れません」
「座薬で出る熱をヒールで抑えてるな」
「間違いなく発情を魔力で封じてるじゃないですか!」
「どうしたら良い?」
言われて見れば確かに初めて座薬を使った時から伊織は自己治癒で治めてしまっていた。
「座薬を入れたらコレを使って下さい」
「何だこの棒状の物は」
「尿道から中を刺激して発情を促します。魔力止めにもなります」
巴に手渡されたのは尿道ブジーである。
「嫌です!! 絶対に嫌です!!!」
ブジーを見て、顔を真っ青にする伊織だ。
「お前が無意識に自己ヒールするのが悪い」
「無茶言わないで下さいよ! そんなの息するのと同じぐらい無意識なんですから」
伊織は自己治癒で止めてる自覚は全く無いので、そうなのだろう。
なのに、そんな凶器を使うなんて聞いてない。
毎日巴に入れられる座薬だって恥ずかしくて泣きそうになるのに、そんなの尿道に入れられたら泣いてしまう。
「もっと普通の魔力止めは無いですか?」
「魔力止めは粘膜に使わないといけないので、鼻にピアス空けるとかになりますけど、良いですか?」
「良いわけないです」
どうやら尿道ブジーが一番まともな方法だったらしい。
もう半泣き状態の伊織だ。
確かに、魔力止めなんてはじめて聞いたけど。
「優しくするから」
巴は伊織の頭を撫でるのだった。
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