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伊織を見送った巴だが、伊織が心配で自分もαとΩの集いに参加を申し込んでいた。
何度が参加を求められ、参加した事が有るが、殆ど公開sexを見せつけられる場であった気がする。
流石に本番は個室でしていたみたいだが。
Ωがやたら露出度の高い衣服を着せられ、セクハラはし放題だし、Ωはセクハラされるのが好きな場合が多いので、喜んで発情を促されてしまう。
発情したΩを流れで番にするパターンが確立されている様子だ。
巴は発情したΩを見ても何とも思わないタイプなので、冷ややかに見ていた訳だが、そういう部分で言えば巴もαとしては欠陥が有るのだろう。
兎に角、伊織が心配で後を追った訳だ。
αのドレスコードは正装。
巴は、タキシードをまとい、正体を隠す為に仮面をつける。
伊織はと言えば、やはり露出度の高いタイトなスーツを着せられ恥ずかしそうにしていた。
女性に囲まれ、胸を揉まれたり、股間を弄られたりして困っている様子である。
巴は何度か割って入ろうと思ったが、少し様子を見た。
本人が懲りて、『やっぱり結婚する相手は団長しかいないな』と思ってくれたら良いし、そう思わせたかった。
出ていくタイミングをかなり見計らった巴である。
伊織はヤジや陰口まで叩かれ、居た堪れない様子でソファーに座っていた。
見る目の無い奴らばかりで良かったと思いつつ巴は伊織の隣に腰掛けた。
これで惚れないやつはいないだろうと言うドヤ顔で。
「団長……」
と、今にも泣き出しそうな表情の伊織をヨシヨシと、抱きしめようとした。
「そうですね。やっぱり諦めて相手は国に任せようと思います」
「何て?」
はぁ???
ここは、僕に惚れ直すところだろうが。
ちょっと胸を押し返して拒否するのやめてほしい。
僕が泣きたくなる。
「帰ります」
伊織はそそくさと立ち上がり、会場を出ていこうとするが、まだお開きの時間では無い為に出口で止められてしまっていた。
渋々ソファーに戻ってくる伊織。
「あと一時間はここに居ないといけないそうです」
伊織は溜息を吐いている。
「取り敢えず、何か飲んだり食ったりするか?」
「飲んだり食ったりする気分にありません。吐くと思います」
「気分が悪いのか?」
「良いと思いますか?」
伊織は巴を睨む。
伊織に睨まれた事なんて初めてで、なんか変に興奮する気がする巴。
「個室に行こう」
取り敢えず、気分が悪いなら個室で寝かせた方が良いだろう。
本来はsexする用途だが、別に中を見られてる訳では無い為、何をしてるか解らない。
たしかにここは、周りから「あっはーん」「うっふーん」「気持ち良い」とか聞こえて来て、気持ち悪くなるのも解る。
僕も気持ち悪い。
「……お願いします」
伊織は少し躊躇ったが、本当に気分が悪そうで巴の手を取るのだった。
巴と伊織は個室に案内される。
中に入ると、とんでもないSM部屋の様であった。
色んな趣向に合わせられるように設計したのだろう。
だがベッドはちゃんと有るので寝られそうだ。
「風呂に入るか?」
「結構です」
二人で入る用の大きな浴槽が透明な硝子で丸見えだ。
しかし、変な意味は無かった。
普通に何度も大浴場を一緒に使ったりした仲だ。
本当に具合が悪くてお風呂にも入れないのか。
見れば顔色も悪い。
「横になれ」
「……失礼します」
伊織は、薬草を噛んでから、ベッドに横になると躊躇いつつも目を閉じた。
伊織が噛んだのは、頭痛薬だ。
頭が痛いのか。
伊織は冷や汗をかいていたので、巴はタオルを濡らして拭く。
様子を見たりせずに、直ぐに出ていってやるのだったと、少し後悔した。
何度が参加を求められ、参加した事が有るが、殆ど公開sexを見せつけられる場であった気がする。
流石に本番は個室でしていたみたいだが。
Ωがやたら露出度の高い衣服を着せられ、セクハラはし放題だし、Ωはセクハラされるのが好きな場合が多いので、喜んで発情を促されてしまう。
発情したΩを流れで番にするパターンが確立されている様子だ。
巴は発情したΩを見ても何とも思わないタイプなので、冷ややかに見ていた訳だが、そういう部分で言えば巴もαとしては欠陥が有るのだろう。
兎に角、伊織が心配で後を追った訳だ。
αのドレスコードは正装。
巴は、タキシードをまとい、正体を隠す為に仮面をつける。
伊織はと言えば、やはり露出度の高いタイトなスーツを着せられ恥ずかしそうにしていた。
女性に囲まれ、胸を揉まれたり、股間を弄られたりして困っている様子である。
巴は何度か割って入ろうと思ったが、少し様子を見た。
本人が懲りて、『やっぱり結婚する相手は団長しかいないな』と思ってくれたら良いし、そう思わせたかった。
出ていくタイミングをかなり見計らった巴である。
伊織はヤジや陰口まで叩かれ、居た堪れない様子でソファーに座っていた。
見る目の無い奴らばかりで良かったと思いつつ巴は伊織の隣に腰掛けた。
これで惚れないやつはいないだろうと言うドヤ顔で。
「団長……」
と、今にも泣き出しそうな表情の伊織をヨシヨシと、抱きしめようとした。
「そうですね。やっぱり諦めて相手は国に任せようと思います」
「何て?」
はぁ???
ここは、僕に惚れ直すところだろうが。
ちょっと胸を押し返して拒否するのやめてほしい。
僕が泣きたくなる。
「帰ります」
伊織はそそくさと立ち上がり、会場を出ていこうとするが、まだお開きの時間では無い為に出口で止められてしまっていた。
渋々ソファーに戻ってくる伊織。
「あと一時間はここに居ないといけないそうです」
伊織は溜息を吐いている。
「取り敢えず、何か飲んだり食ったりするか?」
「飲んだり食ったりする気分にありません。吐くと思います」
「気分が悪いのか?」
「良いと思いますか?」
伊織は巴を睨む。
伊織に睨まれた事なんて初めてで、なんか変に興奮する気がする巴。
「個室に行こう」
取り敢えず、気分が悪いなら個室で寝かせた方が良いだろう。
本来はsexする用途だが、別に中を見られてる訳では無い為、何をしてるか解らない。
たしかにここは、周りから「あっはーん」「うっふーん」「気持ち良い」とか聞こえて来て、気持ち悪くなるのも解る。
僕も気持ち悪い。
「……お願いします」
伊織は少し躊躇ったが、本当に気分が悪そうで巴の手を取るのだった。
巴と伊織は個室に案内される。
中に入ると、とんでもないSM部屋の様であった。
色んな趣向に合わせられるように設計したのだろう。
だがベッドはちゃんと有るので寝られそうだ。
「風呂に入るか?」
「結構です」
二人で入る用の大きな浴槽が透明な硝子で丸見えだ。
しかし、変な意味は無かった。
普通に何度も大浴場を一緒に使ったりした仲だ。
本当に具合が悪くてお風呂にも入れないのか。
見れば顔色も悪い。
「横になれ」
「……失礼します」
伊織は、薬草を噛んでから、ベッドに横になると躊躇いつつも目を閉じた。
伊織が噛んだのは、頭痛薬だ。
頭が痛いのか。
伊織は冷や汗をかいていたので、巴はタオルを濡らして拭く。
様子を見たりせずに、直ぐに出ていってやるのだったと、少し後悔した。
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