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『貴方の生物学上の性別は男性、Ω性です』
届いた手紙に驚愕する。
自分がΩ?
伊織は三十路の騎士団所属の屈強な男であった。
先日まで国同士でイザコザがあったり、魔物が攻めてきたりで大変であったが、それも落ち着き、国同士は手を取り合う事となった。
魔物の襲撃も落ち着いたところだ。
まとまった休みも貰えたので、健康診断でもと思っただけである。
自分もそろそろ健康面が心配な年齢だ。
それが、何がどうしてこんな手紙を貰う羽目になったのか。
全く理解出来ない。
Ωとは、男でも妊娠できる性である。
しかし、男でΩはかなり珍しい。
殆どはβである。
Ω男性は思春期に発情する事で解る。
あまりに少ないので、あえて検査などをして調べる事は無かった。
発情すればすぐに解る。
しかし、伊織は発情なんてしたことが無かった。
しかも、もう三十路である。
今更、『貴方はΩです』とか言われても困るのだ。
騎士団にはα男性だっている。
因みに、αは女性でも女性やα男性を妊娠させる事の出来る性である。
今まで何か問題があった事は無かった。
自分の上司である騎士団長だってαであるが、一緒に行動していても何も無かった。
誤診を疑わずにはいられない。
そして、一番問題なのは、この国にある法律である。
『Ωは必ずαとの子供を生む事』
である。
β同士などには特に子供に関してどうこう言う法律は無いのだが、αとΩの間にはα性が生まれる事がある。
αは優秀な遺伝子なため、国の政策的に生んで欲しいと言う事だ。
Ωは妊娠しやすい性だからと、言う事でもある。
しかし、三十路にもなって発情しない自分は妊娠なんて出来るのだろうか。
と、言うか、Ω男性というのは線が細く、中性的で可愛らしいという特徴があるはず。
伊織には全く当てはまっていなかった。
線は太いし、雄々しいと言われる。
どちらかと言えば上司であるαの団長の方が中性的で美人だ。
いや、やっぱり誤診だろう。
『貴方は結婚適齢期からかなり遅れていますので、早めに相手を見つけるか、国が決めたαと結婚して貰います。期日は来月までです』
と、手紙には書かれている。
横暴すぎやしないだろうか。
相手が決まるわけがない。
こちとら三十路である。
見目が良いわけでもない。
終わった。
まずは、もう一度再検査を別の病院でしてもらうとして、もし、自分がΩだった場合、騎士団も辞めなければならないし、見ず知らずのαと子作りしなければならない訳である。
自分をあてがわれるαも可哀想なものであるが、自分だって困る。
絶対ムリだ。
どうしよう……
伊織は頭が真っ白であった。
届いた手紙に驚愕する。
自分がΩ?
伊織は三十路の騎士団所属の屈強な男であった。
先日まで国同士でイザコザがあったり、魔物が攻めてきたりで大変であったが、それも落ち着き、国同士は手を取り合う事となった。
魔物の襲撃も落ち着いたところだ。
まとまった休みも貰えたので、健康診断でもと思っただけである。
自分もそろそろ健康面が心配な年齢だ。
それが、何がどうしてこんな手紙を貰う羽目になったのか。
全く理解出来ない。
Ωとは、男でも妊娠できる性である。
しかし、男でΩはかなり珍しい。
殆どはβである。
Ω男性は思春期に発情する事で解る。
あまりに少ないので、あえて検査などをして調べる事は無かった。
発情すればすぐに解る。
しかし、伊織は発情なんてしたことが無かった。
しかも、もう三十路である。
今更、『貴方はΩです』とか言われても困るのだ。
騎士団にはα男性だっている。
因みに、αは女性でも女性やα男性を妊娠させる事の出来る性である。
今まで何か問題があった事は無かった。
自分の上司である騎士団長だってαであるが、一緒に行動していても何も無かった。
誤診を疑わずにはいられない。
そして、一番問題なのは、この国にある法律である。
『Ωは必ずαとの子供を生む事』
である。
β同士などには特に子供に関してどうこう言う法律は無いのだが、αとΩの間にはα性が生まれる事がある。
αは優秀な遺伝子なため、国の政策的に生んで欲しいと言う事だ。
Ωは妊娠しやすい性だからと、言う事でもある。
しかし、三十路にもなって発情しない自分は妊娠なんて出来るのだろうか。
と、言うか、Ω男性というのは線が細く、中性的で可愛らしいという特徴があるはず。
伊織には全く当てはまっていなかった。
線は太いし、雄々しいと言われる。
どちらかと言えば上司であるαの団長の方が中性的で美人だ。
いや、やっぱり誤診だろう。
『貴方は結婚適齢期からかなり遅れていますので、早めに相手を見つけるか、国が決めたαと結婚して貰います。期日は来月までです』
と、手紙には書かれている。
横暴すぎやしないだろうか。
相手が決まるわけがない。
こちとら三十路である。
見目が良いわけでもない。
終わった。
まずは、もう一度再検査を別の病院でしてもらうとして、もし、自分がΩだった場合、騎士団も辞めなければならないし、見ず知らずのαと子作りしなければならない訳である。
自分をあてがわれるαも可哀想なものであるが、自分だって困る。
絶対ムリだ。
どうしよう……
伊織は頭が真っ白であった。
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