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60.義母とマリーへの判断
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正装に着替えたユリアは、緊張しつつも連れられるままに法廷の間へ訪れた。
ドアを開けられ、中に通される。
父の隣の席に案内された。
側にアイリスとレオンも見えたので、少し安心する。
五分も立たずに、カンカンと音が鳴り、入口からみすぼらしい灰色一色のワンピースだけを纏った姿の義母とマリーが連れられて来た。
逃げられない様に側には屈強そうな男が二人を挟むよう立っている。
母と、マリーは一瞬此方に視線をくれた。
凄く睨まれた。
「侯爵夫人は身分を剥奪の上、禁錮十年。娘のマリーは修道院で五年、奉仕活動し、罪を清めるがいい」
そう、王が下した判断が読み上げられた。
父と、王や色々な人で一晩話し合って決められたのだろう。
ユリアはただ、二人が哀れに見えた。
「ちょっと待ってよ。禁錮十年なん嫌! 私が何をしたって言うの? 私達を放ったらかしにしたその人が悪いのよ! 自分は何処の馬の骨とも知らない女と子供を作って私に押し付けて! こんなの何かの陰謀だわ!」
「私は何もしてないし、知らなかったのに。こんなのあんまりよ。何で私が修道院送りにされなきゃいけないのよ~」
母とマリーは抗議の声を上げる。
「夫人、もう夫人では無いな。ただの阿婆擦れ女。お前の罪状は読み上げきれない程有るぞ。島流しも免れない様なものだ全て調べ上げられている。禁錮十年で出られるのだ喜べ。娘マリー、お前もその出生さえおぞましい罪では有るが、それに目をつぶったとしても、学園の生徒からお前にされたと言う虐めの数々が訴えられた。とても淑女とは言い難い行為。更生の為の修道院だ。お前には人生をやり直すチャンスが与えられたのだぞ」
そう、説明されても、母とマリーは抗議を辞めずに声を荒らげていた。
罪を認めない母とマリーだが、無理やりとにも連れて行かれる。
母は投獄され、マリーは修道院へ向かうのだろう。
「あの女の言った事で一つだけ正しかったのは家庭をかえりみる事が出来なかった私の罪だ。それだけは本当だ。私の唯一の娘はお前だけ。家族二人でこれからは手を取り合って暮らしていけないだろうか?」
母が侯爵夫人の称号を剥奪されたとなれば、お父様は男やもめ。
まだ若いし再婚もしようと思えば出来そうだけど。
「私、お父様と一緒に旅もしたいのだけど、折角入った学園だもの卒業はしたいわ。メイドの二人も居るし、何処か安い下宿先でも探すわ」
「そうか、解った。父は一人で旅しながらユリアの卒業まで待とう。家も高価な物は引き取ってもらって支払いに回すが、日用品費や君の物等は持っていかれない様にするし、家も売るのは暫く待ってもらうよ」
父は優しくユリアを見つめ、頭を撫でてくれた。
「申し訳ないねユリア。大事な仕事を途中で放り投げて来ているから、私は直ぐに戻らなければいけないんだ。手紙を書くよ。君は返事をくれないけど……」
「え?」
手紙?
お父様から手紙を貰った事なんて無い。
「やっぱりあの女が届かない様にしていたな。今度は届く様になるだろう。移動する時は知らせるし、君も手紙を書いてくれると嬉しい。君の事を何も知らない駄目な父親で申し訳ないな。君の事を少しずつでも教えて欲しい」
父親そう言うと、ユリアの手を固く握りしめるのだった。
父はその後、王と少し話をしてから直ぐ馬に自ら跨がり、去って行った。
ユリアはその姿が見えなくなるまで見送っているのだった。
ドアを開けられ、中に通される。
父の隣の席に案内された。
側にアイリスとレオンも見えたので、少し安心する。
五分も立たずに、カンカンと音が鳴り、入口からみすぼらしい灰色一色のワンピースだけを纏った姿の義母とマリーが連れられて来た。
逃げられない様に側には屈強そうな男が二人を挟むよう立っている。
母と、マリーは一瞬此方に視線をくれた。
凄く睨まれた。
「侯爵夫人は身分を剥奪の上、禁錮十年。娘のマリーは修道院で五年、奉仕活動し、罪を清めるがいい」
そう、王が下した判断が読み上げられた。
父と、王や色々な人で一晩話し合って決められたのだろう。
ユリアはただ、二人が哀れに見えた。
「ちょっと待ってよ。禁錮十年なん嫌! 私が何をしたって言うの? 私達を放ったらかしにしたその人が悪いのよ! 自分は何処の馬の骨とも知らない女と子供を作って私に押し付けて! こんなの何かの陰謀だわ!」
「私は何もしてないし、知らなかったのに。こんなのあんまりよ。何で私が修道院送りにされなきゃいけないのよ~」
母とマリーは抗議の声を上げる。
「夫人、もう夫人では無いな。ただの阿婆擦れ女。お前の罪状は読み上げきれない程有るぞ。島流しも免れない様なものだ全て調べ上げられている。禁錮十年で出られるのだ喜べ。娘マリー、お前もその出生さえおぞましい罪では有るが、それに目をつぶったとしても、学園の生徒からお前にされたと言う虐めの数々が訴えられた。とても淑女とは言い難い行為。更生の為の修道院だ。お前には人生をやり直すチャンスが与えられたのだぞ」
そう、説明されても、母とマリーは抗議を辞めずに声を荒らげていた。
罪を認めない母とマリーだが、無理やりとにも連れて行かれる。
母は投獄され、マリーは修道院へ向かうのだろう。
「あの女の言った事で一つだけ正しかったのは家庭をかえりみる事が出来なかった私の罪だ。それだけは本当だ。私の唯一の娘はお前だけ。家族二人でこれからは手を取り合って暮らしていけないだろうか?」
母が侯爵夫人の称号を剥奪されたとなれば、お父様は男やもめ。
まだ若いし再婚もしようと思えば出来そうだけど。
「私、お父様と一緒に旅もしたいのだけど、折角入った学園だもの卒業はしたいわ。メイドの二人も居るし、何処か安い下宿先でも探すわ」
「そうか、解った。父は一人で旅しながらユリアの卒業まで待とう。家も高価な物は引き取ってもらって支払いに回すが、日用品費や君の物等は持っていかれない様にするし、家も売るのは暫く待ってもらうよ」
父は優しくユリアを見つめ、頭を撫でてくれた。
「申し訳ないねユリア。大事な仕事を途中で放り投げて来ているから、私は直ぐに戻らなければいけないんだ。手紙を書くよ。君は返事をくれないけど……」
「え?」
手紙?
お父様から手紙を貰った事なんて無い。
「やっぱりあの女が届かない様にしていたな。今度は届く様になるだろう。移動する時は知らせるし、君も手紙を書いてくれると嬉しい。君の事を何も知らない駄目な父親で申し訳ないな。君の事を少しずつでも教えて欲しい」
父親そう言うと、ユリアの手を固く握りしめるのだった。
父はその後、王と少し話をしてから直ぐ馬に自ら跨がり、去って行った。
ユリアはその姿が見えなくなるまで見送っているのだった。
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