【完結】悪役令嬢に転生してしまったと思ったけど、ヒロインも転生してた

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48.二人のメイド

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 ユリアが目を覚ますと、2時間程経ってしまっていた。
 アイリス様から頂いたドレスを着たままだったわ。
 皺になっちゃったかしら?
 立ち上がって確かめてみる。
 一体どういう仕様なのか、まったく変わらず皺一つ出来ていない。
 形状記憶素材なのかしら?
 不思議に思いつつも、着たままではいられずに脱ぐ。
 中には、肌着の白いドレスだけになってしまうが、どうしようもない。
 着替えも持ってないし……
 そもそも制服も無いわ。
 とりあえず衣裳箪笥にドレスをかけて大事にしまった。

 コンコン

 部屋のドアがノックされ、慌ててシーツを体に巻く。
 白いドレスが透ける訳でも無いので問題は無いのだが、下着の様な物なので、見られるのは恥ずかしかった。

「こんばんわお嬢様」

 入って来たのは家のメイド二人だった。
 
 ユリアはもう、意味が解らない。



「どうして、貴女達が??」

 ユリアはメイド二人を部屋に入れて話を聞く。

「白い鳩が窓から入って来まして、手紙をくれたんです。伝書鳩でしょう」
「そこにお嬢様の事が書かれてあったので来ちゃいました」

 テヘッと笑う二人。
 どうやらハディ公子が二人に手紙を書いて実状を知らせてくれた様だ、

「二人の事は心配だったから良かったんだけど……」

 急に三人も同居人が増えて大丈夫かしら。

「取り敢えずお着替えしませんと」

 メイドは、ユリアの服を持ってきてくれていた。
 大事な私物や、自分たちの荷物もである。

「え、凄いわね。良く二人で持ってこれたわね」

 ユリアは吃驚してしまう。
 二人の荷物は少なく、ボストンバック一個だし、ユリアの荷物も左程多くは無いのだが、自分が寝ていた2時間程度の間にまとめて出てきたのか。
 
「いいえ、ウルフさんと言う方が手伝って下さいました。手際の良い方で、奥様やマリー様に気付かれずにこっそり窓から出てきたました」
「こっそり? 窓から??」
「まとめた荷物は窓から投げてウルフさんがキャッチして、私達は縄梯子で降りました」
「えっえっ??」
「楽しかったです!」

 二人共楽しそうに話すが、まさに夜逃げの様な事をしでかしたらしい。

「もう、うんざりでした。奥様もマリー様も我儘で、私達が居なくなっても新しい人を雇えば良いのよ」
「そうよ! どうせ、給金も雀の涙。最近なんて置いてもらえるだけ有り難いと思えとか言って1円だってくれなくなったわ」
「そうだったの?」

 全く気付かなくて申し訳なかった。
 残っていた履歴でお金の動き等を確かめたけど、ちゃんと二人に給金は支払われている様に書かれてあった。
 偽装してたのね。

「私達は旦那様への御恩と、お嬢様がいらしたから彼処に留まっていただけ」
「そうです、だからお嬢様に付いて来ちゃきました」

 二人はそう言うと、ユリアに部屋着を着せるのだった。
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