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25.王子にヒロインからの苦言

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「でも、僕の誤解だったみたいだね。アイリスはきっと君に魚の取り方を教えて欲しくて探してたんだよ。あの子、そういうの好きだけど苦手なんだ」
「えっと……」

 絶対違うと思うんだけども。

 確かに悪役令嬢は最悪な結末を少しでも良くしようと、一人で生きていけるようにしようと色々やる活発的な方だものね。
 私もそこを凄く推してるわ。
 健気で可愛いよね。

「僕、アイリスを怒らせてしまったみたいだ。あまりに頭が真っ白になってしまって全部君のせいだと思って、そうだったら楽だもんね。君を学園から追い出せば丸く治まる。でも違ったんだ。どうしよう。僕、アイリスに嫌われちゃったよ」

 凄い事を言ってるよレオン王子。
 そうだよね。
 かなりの激情家だった。
 ヒロイン以外には絶対零度の冷たい王子。
 だって、ヒロインを公開処刑で断罪した挙げ句、島流しにするんだもんね。

 まぁ、そのヒロイン私の予定なんですけど……

「えっと、謝って許しを請うのが良いと思いますよ」
「そうなんだけど、僕は何について謝れば良いのだろう。ウンザリさせちゃってごめんね。もう僕の側付きで君を探ったりしないって? でも心配だから側付きで探らせたいよ。僕はアイリスの全てを知りたいんだ」
「落ち着いて下さい王子、それはちょっと……」

 ウンザリされても仕方ないよ~~。

 レオン王子執着が凄いのよね。
 確かに逃げたくなるかも。
 この人の愛の重さは物語だからエモいけど、実在して目の前に居られるとドン引きだわ。
 アイリスと王子を素直に応援出来ないかもしれない。

 ユリアは複雑な気持ちになる。

「はっ、そうだ。とりあえず謝って二度としないと約束して、次は気づかれないようしたら良いんだ!」

 王子ーーー、最低発言ですそれ!!

「アイリス様を大事に思われているは解りますが、彼女にも彼女の側付きがおりますでしょ。彼らに彼女の事は任せて、アイリス様の事ももう少し信じてあげてください」
「僕は彼女を信じてるよ」
「嘘ですね。信じていたら側付きで監視したりなさらない筈です。王子達と逢引きしてただなんで彼女はただ私を探していて他の殿方と会ったので無下にも出来ず時間を共にしただです。決して浮ついた考えなど無かった筈です。それ逢引き等と疑っては……」
「うっ、うん……」
「仮に王子、今、私と逢引きしていますね。ここをアイリス様に目撃されて、逢引きしていた浮気だ等と言われたらどうするのです。それで口論になったら? ウンザリだと言いたくなるのではありませんか? 全くの潔白だと言うのに」
「はっ……」

 王子を口を押さえた。
 確かにそうだと思っている顔だ。

「早急にアイリス様に謝り、許しい請い監視も止めてあげてください」
「解った。君の言うとおりだよ。そうだね。うん、君に話して良かったよ。有難う」

 王子は深刻そうな顔をして頷く。
 解ってくれたのならよかった。


 キーンコーンカーンコーン


 予鈴だ。

 ん?
 ちょっと待って。
 これ……

「本鈴だ。僕、初めて授業に遅れちゃったよ」
「呑気に言ってる場合ですか!!!」

 もう! 
 王子のせいで授業遅れた!!! 
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