【完結】悪役令嬢に転生してしまったと思ったけど、ヒロインも転生してた

22.悪役令嬢は放課後が楽しみ

　万策尽きてしまったアイリスは結局、ユリアの教室の前で待ち構える方法を取るしか無かった。
　始業の15分前、わりとギリギリの時間に彼女は登校してきた。
　ヒロインを目の前にするとやはり興奮してしまうよね。

　だって私、推しとお話ししてるのよ。
　凄くない？

　黒くて綺麗な髪は後ろに結わえ、大きくて丸い瞳に、白くて綺麗な肌。
　飛んでも無く可愛いわ。
　思わず見惚れそうになってしまったわ。
　だけど言葉使いは大事よね。
　そう思って少し注意したけど、知らない人に話しかけられて驚いただけかも知れないわ。　
　ビックリさせてしまって申し訳なかったけど、戸惑うヒロインも可愛くフフフって笑っちゃいそうになったのをグッと堪えたわ。

　お昼休みは先約があるみたいだけど放課後の予定は取れた。
　黙って遅くなると家の方にまた虐められてしまうかもしれないわね。
　後でマリーさんに伝えておこうかしら。
　どうせ食堂で挨拶してくるわ。
　それにしてもお昼を共にしている方が居るのね。
　ヒロインは同級生からも色目で見られて仲良くするのは攻略対象の王子達だけの筈だけど。
　ストーリーが変わって良かった事が有ったのね。
　きっと同級生の女友達が出来たんだわ。

　アイリスは少しだけホッとするのだった。