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14.ヒロインは貧乏公子と一緒にお弁当
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ユリアは人気のない池の側で今日も貧乏貴族のハディ公子と食事を共にしていた。
ハディは侯爵家の公子の様だ。
この国の端の方と言えば海の側だが、酷く荒れる海でなかなか漁にも出れず、高い山脈に阻まれ此方に出てくるのもやっとと言う話しである。
何かやらかして王の逆鱗にでも触れたのだろうかと思ってしまう様な場所だ。
「ユリア嬢? 私の顔に何かついていたかな?」
ジーッと見すぎてしまった。
ええ、綺麗なプラチナの髪が風に靡いています。
「ハディ公子の髪が綺麗だなぁって……」
瞳も綺麗なアクアマリンだ。
「そう? 私はユリア嬢の漆黒の髪の方が上品で綺麗だと思うな。この国では珍しいのだけど、そう言えば母君が踊り子だったんだっけ?」
「はい」
「素敵だね」
フフと笑って見せるハディ。
他の人に言われたら多分嫌味であるが、彼が言うと本当に素敵だと思ってくれていそうだ。
「僕も色んな国に行ってみたいな」
そう、遠く見つめるハディ、そうは言いつつハディは自分の領地を気に入っている様子なので、憧れがあるだけで、本当に何処か遠くに行きたい訳では無いのだろうと思う。
「やめておいた方が良いですよ。佃煮が食べられなくなります」
「えー、私は別に…… 何方かと言えばユリア嬢のお弁当が食べられなくなる方が困るかな」
ユリアとハディ公子はお弁当を分け合う事が日課になっていた。
ユリアは彩りの良いサラダやおかずを作り、ハディが佃煮や梅干しなんかを入れたおにぎりを握って来てくれる。
ハディ公子の領地はお米も格別美味しい気がする。水が良いのだろう。
毎日、公子自らおにぎりを握って来てくれるのだから、なんと言うか、恐れ多いおにぎりである。
「ユリア嬢のお弁当は凄く美味しね。姉さんはマリー嬢だっけ? 彼女は学食で食べてるみたいだけど…… ユリア嬢のお弁当食べなくて良いのかな?」
勿体ないねと、苦笑するハディ。
「ええ、学食は高いので勿体ないですよね」
「学食より美味しいしね」
「もー、褒め過ぎですよ」
凄くお弁当を褒めてくれるものだから照れてしまうユリア。
「本当に美味しからね。また明日も一緒に食べようね」
「はい、ハディ公子のおにぎりも美味しいです」
「本当、良かった」
エヘッとハニカム様に笑うハディ公子の笑顔が眩しい。
ハディ笑顔に今日も癒やされるユリアなのだった。
ハディは侯爵家の公子の様だ。
この国の端の方と言えば海の側だが、酷く荒れる海でなかなか漁にも出れず、高い山脈に阻まれ此方に出てくるのもやっとと言う話しである。
何かやらかして王の逆鱗にでも触れたのだろうかと思ってしまう様な場所だ。
「ユリア嬢? 私の顔に何かついていたかな?」
ジーッと見すぎてしまった。
ええ、綺麗なプラチナの髪が風に靡いています。
「ハディ公子の髪が綺麗だなぁって……」
瞳も綺麗なアクアマリンだ。
「そう? 私はユリア嬢の漆黒の髪の方が上品で綺麗だと思うな。この国では珍しいのだけど、そう言えば母君が踊り子だったんだっけ?」
「はい」
「素敵だね」
フフと笑って見せるハディ。
他の人に言われたら多分嫌味であるが、彼が言うと本当に素敵だと思ってくれていそうだ。
「僕も色んな国に行ってみたいな」
そう、遠く見つめるハディ、そうは言いつつハディは自分の領地を気に入っている様子なので、憧れがあるだけで、本当に何処か遠くに行きたい訳では無いのだろうと思う。
「やめておいた方が良いですよ。佃煮が食べられなくなります」
「えー、私は別に…… 何方かと言えばユリア嬢のお弁当が食べられなくなる方が困るかな」
ユリアとハディ公子はお弁当を分け合う事が日課になっていた。
ユリアは彩りの良いサラダやおかずを作り、ハディが佃煮や梅干しなんかを入れたおにぎりを握って来てくれる。
ハディ公子の領地はお米も格別美味しい気がする。水が良いのだろう。
毎日、公子自らおにぎりを握って来てくれるのだから、なんと言うか、恐れ多いおにぎりである。
「ユリア嬢のお弁当は凄く美味しね。姉さんはマリー嬢だっけ? 彼女は学食で食べてるみたいだけど…… ユリア嬢のお弁当食べなくて良いのかな?」
勿体ないねと、苦笑するハディ。
「ええ、学食は高いので勿体ないですよね」
「学食より美味しいしね」
「もー、褒め過ぎですよ」
凄くお弁当を褒めてくれるものだから照れてしまうユリア。
「本当に美味しからね。また明日も一緒に食べようね」
「はい、ハディ公子のおにぎりも美味しいです」
「本当、良かった」
エヘッとハニカム様に笑うハディ公子の笑顔が眩しい。
ハディ笑顔に今日も癒やされるユリアなのだった。
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