君の歌声が一番好き『完結』

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「外が騒がしいな」

 オニキスが目を覚ますと、アメジスもちょうど目を覚ました所だった。
 と、言うか、お互いに騒がしさに目を開けたようだ。

「どうしたんでしょうか」

 そう、返事をするアメジス。
 さっきの事は覚えてないのだろうか。
 忘れた方が彼の精神安定上は良い気がするので、そのままスルーしておくことにした。

「オニキス様がアメジス様を誑かしたと光の騎士団がオニキス様を出せと押しかけて来たのです。もちろん、神官は中立ですので受け入れておりません。アメジス様を返せとも言われているのですが、アメジス様は帰りますか?」

 オニキスとアメジスの世話をしてた神官は困った様子だ。

「僕は出ます。弁明します」

 弁明しても聞き入れられるとは思わないが、自分はオニキスに誑かされてはない。
 逆に誑かされているのは光の騎士団である。
 いい加減に目を覚ませと、一人ひとり殴り飛ばさなければ、アメジスは気がすまない。

「俺も行こう」
「オニキスはここから出ないで下さい。話がややこしくなりますから」
「しかし、神殿を騒がせる事は良くないだろう。迷惑はかけたくない」
「出たら大罪人として処刑されるかもしれませんよ。この国の王は頭がいかれている」
「なんて事を言うんだ。お前が処刑されるぞ」

 起き上がろうとするオニキスをベッドに押し戻し、行く行かさないの押し問答になってしまう。

 その時だ、バリアを破られる感覚にオニキスとアメジスは視線を合わせた。

「直ぐに対応しないと」
「そうですね」

 お互い頷くと、外の光の騎士たちは押し切ろうと意気込む。

「抜け道に案内します。仕度を」

 神官は気を利かせて抜け道を教えてくれた。


 直ぐに対応に向かったオニキスとアメジスは驚く。
 バリアを破ったのは隣国の騎士団だ。

「王は降伏した。この国はこれから我々が統括する」

 そう、王に剣先を突きつけて宣言する敵兵。
 あまりに早業過ぎる。

「誰か手引した者がいるな」
「僕は賞賛しますね」

 どうせこのままではバリアは保てず、魔物に破壊される末路であった。
 こんな国を取っても、隣国に良いことは無いだろう。
 どういう腹づもりかは解らないが、どっちに転んでも滅ぶ国であった。
 


「団長」

 オニキスに声をかける黒曜石。
 団長は黒曜石なのだが、何度言っても直らないので、もうスルーする事にした。

「手引きしたのはお前だな」
「よく解りましたね」
「敵兵の後ろを固める騎士の顔に見覚えがある」

 少し前まで自分の騎士団に居た者達だ。

「団長!!」

 駆け寄ってくる、騎士たち。

「光の騎士団と黒の騎士団は手を合わせて歌と剣舞を新しい王に披露するのだ!」

 震える声で命令するのは、剣先を突きつけられた哀れな男である。

「光の騎士団も集まれ」

 そう、アメジスは号令をかけるのだった。



 新たな国王に歌と剣舞を披露する事によって再び強固なバリアを張ることが出来た。
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