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オニキスは神殿のベッドで目を覚ました。
「気分はいかがですか?」
そう神官が様子を見てくれる。
「大丈夫だ」
身体を起こそうとすると、神官に止められる。
しかし、周りには沢山の怪我人が呻いている。
ベッドを空けたほうが良いだろう。
多分、ベッドは足りていない。
オニキスは大丈夫だと、神官を振り切り、ベッドを抜け出した。
「団長、ちゃんと治療してください! まだ毒が抜けきってないんです。熱も下がってません」
ちょうど様子を見に来てくれたらしい黒曜石もオニキスを止める。
「休んでられるか!」
「正直に言えば、今の事態は国王と国民が我々を虐げた報いでしょう」
鼻で笑う黒曜石。
「なんて事を言うんだ」
「団長は優しすぎます。こんな国、見捨ててしまいましょう。滅びるなら滅びたら良い」
「黙れ!」
クスクス笑う黒曜石の言葉に耳を疑う。
オニキスは黒曜石も振り切って、いつも使っていた本部に向かった。
光の騎士団長との会談に使う会議の間だ。
部屋をノックする。
返事をしたのはアメジスの声だ。
なんだか急にホッとする。
「失礼する」
そうドアを開けた。
「闇の騎士団は解散したはずだ。団長でもないお前が何の用だ」
そう、悪態をつくのは近衛兵長である。
「何を言うのですか、闇の騎士団が駆けつけてくれたから再びバリアを張れたのですよ!」
声を荒らげるアメジス。
「闇の騎士団が解散して直ぐこの様な事態になる事はおかしいです。闇の騎士団の仕業ではないかと国民は噂してますよ」
腕組みし、オニキスを睨む警備団長。
「どうしてそんな話しになるのですか。闇の騎士団が国を空けてしまったので守りが緩んだんです。光の騎士団だけではバリアは保てません!」
「しかし、国王は闇の騎士団に解散命令を出しました。オニキスは今はただの行商団です。この場に相応しくはない」
「話にならない!」
オニキスを追い出そうとする他の団長に、アメジスは吐き捨てる様に言った。
「この場の指揮官は僕です。取り敢えず彼は行商団長として席に座って下さい」
「行商団長は黒曜石だ。呼んでこようか?」
「話が進まないので行商団長代理として座って下さいオニキス」
「解った」
アメジスの指示で取り敢えず空いている席に腰掛けるオニキスだ。
「メンバーが増えたのでもう一度概要から話します」
アメジスは資料をオニキスにも渡し、初めっから話をしてくれる。
まず、国への被害は深刻だ。
元々面積は狭く、3分の2が城内か、神殿へと逃げ込む事が出来た。
怪我人は相当数出ており、死亡者も多く出てしまっている。
建物の壊滅も酷く、毒の数値が高い場所も有り、暫くはまともな暮らしは出来ないだろう。
「我々の国だけでどうにかするのは難しいな」
「手を貸してくれそうな人を隣国から雇って連れて来よう」
難しい表情をする会議メンバーに、オニキスが手を上げて提案する。
「駄目です。今、闇の騎士団は手一杯のメンバーしか居ません。また国を空けるとなると、今回の二の舞いですよ」
「ですから、闇の騎士団は解散しました」
「すまない行商団長代理としての意見だった」
手を下げるオニキス。
「話が進みません。僕から王様に直談判します。闇の騎士団の解散は間違っています」
イライラしたのがアメジスは台バンしている。
「オニキスも来て下さい」
「お待ち下さい。万が一今、光の騎士団長が罪に問われ、降ろさられでもしたら我が国は終わりです!」
「闇の騎士団を解散させた所からもう終わってるんだ!!」
「闇の騎士団が黒幕ではない件も潔白ではありませんよ」
「闇の力に魔物を意図して操る事が出来るとか無いだろう!」
アメジスは会議室を出ようとするが、引き止める近衛兵長と警備団長。
「闇の力か光の力がある程度強ければ、不協和音でバリアを弱くする事は可能だ」
手を上げて意見するのはオニキスだ。
「そんな事が有れば、僕か貴方が気付きます」
「俺は国に居なかったからな」
「僕が見落としたとでも?」
「そうは言ってないが、念の為に調べないか? 話はそれからでも遅くないたろう」
バリアに触れればある程度の情報は読み取れる筈だ。
「それとも君がもう調べたのか?」
「すみません……」
謝るアメジス。
どうやら彼も忙しくてバリアを確認してない様だ。
「一先ず解散しましょう。僕とオニキスはバリアの確認をしてきます」
「オニキスがまた不協和音でバリアを破壊するのでは」
近衛兵長と警備団長は訝しくオニキスを見ている。
「僕が見張ります。行きますよ」
「お、おう……」
何故か手を握られビックリし、たどたどしくなるオニキスだ。
アメジスはまだピリピリした様子で、オニキスの手を引っ張っていた。
「気分はいかがですか?」
そう神官が様子を見てくれる。
「大丈夫だ」
身体を起こそうとすると、神官に止められる。
しかし、周りには沢山の怪我人が呻いている。
ベッドを空けたほうが良いだろう。
多分、ベッドは足りていない。
オニキスは大丈夫だと、神官を振り切り、ベッドを抜け出した。
「団長、ちゃんと治療してください! まだ毒が抜けきってないんです。熱も下がってません」
ちょうど様子を見に来てくれたらしい黒曜石もオニキスを止める。
「休んでられるか!」
「正直に言えば、今の事態は国王と国民が我々を虐げた報いでしょう」
鼻で笑う黒曜石。
「なんて事を言うんだ」
「団長は優しすぎます。こんな国、見捨ててしまいましょう。滅びるなら滅びたら良い」
「黙れ!」
クスクス笑う黒曜石の言葉に耳を疑う。
オニキスは黒曜石も振り切って、いつも使っていた本部に向かった。
光の騎士団長との会談に使う会議の間だ。
部屋をノックする。
返事をしたのはアメジスの声だ。
なんだか急にホッとする。
「失礼する」
そうドアを開けた。
「闇の騎士団は解散したはずだ。団長でもないお前が何の用だ」
そう、悪態をつくのは近衛兵長である。
「何を言うのですか、闇の騎士団が駆けつけてくれたから再びバリアを張れたのですよ!」
声を荒らげるアメジス。
「闇の騎士団が解散して直ぐこの様な事態になる事はおかしいです。闇の騎士団の仕業ではないかと国民は噂してますよ」
腕組みし、オニキスを睨む警備団長。
「どうしてそんな話しになるのですか。闇の騎士団が国を空けてしまったので守りが緩んだんです。光の騎士団だけではバリアは保てません!」
「しかし、国王は闇の騎士団に解散命令を出しました。オニキスは今はただの行商団です。この場に相応しくはない」
「話にならない!」
オニキスを追い出そうとする他の団長に、アメジスは吐き捨てる様に言った。
「この場の指揮官は僕です。取り敢えず彼は行商団長として席に座って下さい」
「行商団長は黒曜石だ。呼んでこようか?」
「話が進まないので行商団長代理として座って下さいオニキス」
「解った」
アメジスの指示で取り敢えず空いている席に腰掛けるオニキスだ。
「メンバーが増えたのでもう一度概要から話します」
アメジスは資料をオニキスにも渡し、初めっから話をしてくれる。
まず、国への被害は深刻だ。
元々面積は狭く、3分の2が城内か、神殿へと逃げ込む事が出来た。
怪我人は相当数出ており、死亡者も多く出てしまっている。
建物の壊滅も酷く、毒の数値が高い場所も有り、暫くはまともな暮らしは出来ないだろう。
「我々の国だけでどうにかするのは難しいな」
「手を貸してくれそうな人を隣国から雇って連れて来よう」
難しい表情をする会議メンバーに、オニキスが手を上げて提案する。
「駄目です。今、闇の騎士団は手一杯のメンバーしか居ません。また国を空けるとなると、今回の二の舞いですよ」
「ですから、闇の騎士団は解散しました」
「すまない行商団長代理としての意見だった」
手を下げるオニキス。
「話が進みません。僕から王様に直談判します。闇の騎士団の解散は間違っています」
イライラしたのがアメジスは台バンしている。
「オニキスも来て下さい」
「お待ち下さい。万が一今、光の騎士団長が罪に問われ、降ろさられでもしたら我が国は終わりです!」
「闇の騎士団を解散させた所からもう終わってるんだ!!」
「闇の騎士団が黒幕ではない件も潔白ではありませんよ」
「闇の力に魔物を意図して操る事が出来るとか無いだろう!」
アメジスは会議室を出ようとするが、引き止める近衛兵長と警備団長。
「闇の力か光の力がある程度強ければ、不協和音でバリアを弱くする事は可能だ」
手を上げて意見するのはオニキスだ。
「そんな事が有れば、僕か貴方が気付きます」
「俺は国に居なかったからな」
「僕が見落としたとでも?」
「そうは言ってないが、念の為に調べないか? 話はそれからでも遅くないたろう」
バリアに触れればある程度の情報は読み取れる筈だ。
「それとも君がもう調べたのか?」
「すみません……」
謝るアメジス。
どうやら彼も忙しくてバリアを確認してない様だ。
「一先ず解散しましょう。僕とオニキスはバリアの確認をしてきます」
「オニキスがまた不協和音でバリアを破壊するのでは」
近衛兵長と警備団長は訝しくオニキスを見ている。
「僕が見張ります。行きますよ」
「お、おう……」
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アメジスはまだピリピリした様子で、オニキスの手を引っ張っていた。
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