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3時間も馬車を運べば隣の国に着いた。
向こうの行商人と落ち合う。
荷物を降ろし、向こうが用意しておいてくれた荷物を積む。
話は黒曜石がしてくれるので、その間オニキスは他の団員とブラブラする事にした。
しかし、隣の国なのに全く違う装いで驚く。
大きな湖は海と言うらしい。
そしてそこにさ大きな船と呼ばれるものが沢山浮かんでいた。
あんな大きなものが水に浮かぶとは驚きである。
「団長、すごいでしょうこの国は、俺らが昼間に歩いていても石を投げられない」
「俺は団長では無いんだが……」
普通に行き交う人々。
と、言うか、人が多すぎて少し人酔いしてきた。
「町の方へ出ませんが。我が国には女性が少ないでしょう。この国には女性が沢山いて、俺達とも普通に話をしてくれるんですよ。ナンパに行きましょう団長」
「普通に名前で呼んでくれ。俺は良い。ここで海を見てる。お前達、行って来い」
ナンパが何なのか良く解らないが、海を見てたい気分なので断った。
他の団員はチェっと、少し残念そうにしつつも、町に繰り出した様子だ。
こっちでは黒髪を怖がらないらしい。
確かに色んな色の髪が居るなぁ。
中には頭に耳を生やした人までいる。
兎耳やら猫耳やら、犬耳やら。
色んな人種が居る様子だ。
「顔色が悪いですね。船酔いですか?」
「元からこの顔色だ。心配しないでくれ」
声をかけられ首を振る。
人に酔ったと思っていたが、船も見てると酔うものなのか。
気をつけよう。
「行商団の方ですよね? 見ない顔だ」
「ここには初めて来た」
「その様だ」
隣に腰を降ろした男はクスクスと笑っている。
「このハーブを噛んでみて下さい。酔いに効きます」
「有難う」
男が差し出した葉っぱを噛んでみる。
爽やかな香りだ。
確かに気分が楽になる。
「私は薬屋です」
「良くなりました」
薬屋さんに頭を下げる。
見ると彼は緑色の髪に、銀の瞳をしている。そして、狐の様な耳があった。
「獣人は初めて見ましたか?」
オニキスが驚いた表情をした事に気づいたらしい。
「すまない。耳は本物なのか?」
「触ってみますか?」
「良いのか?」
クスクス笑う獣人。
耳を恐る恐る触ってみる。
「どうですか?」
「もふもふしてて可愛な」
「可愛いのは貴方の反応ですよ」
獣人はくすぐったそうに笑っていた。
「私は翠(すい)と言います。貴方は?」
「俺はオニキスだ」
「オニキスさん。貴方は不用心な方です」
「不用心?」
「私は貴方をナンパしてます」
「ナンパ?」
「口説いているということです」
「口説いていたのか?」
「私が差し出した薬草も、何のためらいもなく噛んでしまった。もし怪しいものだったらどうしたのですか?」
心配そうにオニキスを見つめる翠。
「よく解らないが、悪意をもって近づく者は解るよ。君からは悪意を感じなかった」
「それを上手く隠せる者も居ますよ。味方の様に近づいて、後ろからカブってね」
「君は違っただろ?」
「私は違いましたが、運が良かっただけだと思って下さい」
「気をつけよう」
翠は本気でオニキスを心配して言ってくれている事は解ったので、頷くオニキスだ。
「団長ーー! そろそろ帰りますよーー!」
黒曜石が呼んでいる。
「団長さんだったんですか?」
翠が驚く。
「団長はアイツだ」
団長がこんな所で油を売るわけが無い。
「また来てくれますか?」
「また来るよ。行商団員だからな」
「またお話ししましょうね!」
「ああ、また」
翠にまた来ると言って、オニキスは馬車に戻るのだった。
帰りも3時間かけて帰った。
滞在が2時間、国をあけたのは8時間程度である。
向こうの行商人と落ち合う。
荷物を降ろし、向こうが用意しておいてくれた荷物を積む。
話は黒曜石がしてくれるので、その間オニキスは他の団員とブラブラする事にした。
しかし、隣の国なのに全く違う装いで驚く。
大きな湖は海と言うらしい。
そしてそこにさ大きな船と呼ばれるものが沢山浮かんでいた。
あんな大きなものが水に浮かぶとは驚きである。
「団長、すごいでしょうこの国は、俺らが昼間に歩いていても石を投げられない」
「俺は団長では無いんだが……」
普通に行き交う人々。
と、言うか、人が多すぎて少し人酔いしてきた。
「町の方へ出ませんが。我が国には女性が少ないでしょう。この国には女性が沢山いて、俺達とも普通に話をしてくれるんですよ。ナンパに行きましょう団長」
「普通に名前で呼んでくれ。俺は良い。ここで海を見てる。お前達、行って来い」
ナンパが何なのか良く解らないが、海を見てたい気分なので断った。
他の団員はチェっと、少し残念そうにしつつも、町に繰り出した様子だ。
こっちでは黒髪を怖がらないらしい。
確かに色んな色の髪が居るなぁ。
中には頭に耳を生やした人までいる。
兎耳やら猫耳やら、犬耳やら。
色んな人種が居る様子だ。
「顔色が悪いですね。船酔いですか?」
「元からこの顔色だ。心配しないでくれ」
声をかけられ首を振る。
人に酔ったと思っていたが、船も見てると酔うものなのか。
気をつけよう。
「行商団の方ですよね? 見ない顔だ」
「ここには初めて来た」
「その様だ」
隣に腰を降ろした男はクスクスと笑っている。
「このハーブを噛んでみて下さい。酔いに効きます」
「有難う」
男が差し出した葉っぱを噛んでみる。
爽やかな香りだ。
確かに気分が楽になる。
「私は薬屋です」
「良くなりました」
薬屋さんに頭を下げる。
見ると彼は緑色の髪に、銀の瞳をしている。そして、狐の様な耳があった。
「獣人は初めて見ましたか?」
オニキスが驚いた表情をした事に気づいたらしい。
「すまない。耳は本物なのか?」
「触ってみますか?」
「良いのか?」
クスクス笑う獣人。
耳を恐る恐る触ってみる。
「どうですか?」
「もふもふしてて可愛な」
「可愛いのは貴方の反応ですよ」
獣人はくすぐったそうに笑っていた。
「私は翠(すい)と言います。貴方は?」
「俺はオニキスだ」
「オニキスさん。貴方は不用心な方です」
「不用心?」
「私は貴方をナンパしてます」
「ナンパ?」
「口説いているということです」
「口説いていたのか?」
「私が差し出した薬草も、何のためらいもなく噛んでしまった。もし怪しいものだったらどうしたのですか?」
心配そうにオニキスを見つめる翠。
「よく解らないが、悪意をもって近づく者は解るよ。君からは悪意を感じなかった」
「それを上手く隠せる者も居ますよ。味方の様に近づいて、後ろからカブってね」
「君は違っただろ?」
「私は違いましたが、運が良かっただけだと思って下さい」
「気をつけよう」
翠は本気でオニキスを心配して言ってくれている事は解ったので、頷くオニキスだ。
「団長ーー! そろそろ帰りますよーー!」
黒曜石が呼んでいる。
「団長さんだったんですか?」
翠が驚く。
「団長はアイツだ」
団長がこんな所で油を売るわけが無い。
「また来てくれますか?」
「また来るよ。行商団員だからな」
「またお話ししましょうね!」
「ああ、また」
翠にまた来ると言って、オニキスは馬車に戻るのだった。
帰りも3時間かけて帰った。
滞在が2時間、国をあけたのは8時間程度である。
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