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「アメジスもこの辺りに住んでいるのか?」
「いえ、メインストリートの方です」
並びながら歩く二人は何となく会話する。
雲はいつの間にか晴れ、月明かりが照らしていた。
「こっからメインストリートまでは3キロも離れているぞ」
「お祭り騒ぎがちょっとダルかったので」
「大丈夫か?」
溜息を吐くアメジスを心配するオニキス。
確かに、あっちは朝まで音楽が鳴り止まないかもしれない。
「家に泊まってくか?」
オニキスは何気ない口調で提案した。
本当にただ、家は境界に近い森の中だし、静かで良いかと思っただけだ。
「えっ……」
驚いた様な声を漏らすアメジス。
よく考えたら闇騎士の団長が光騎士の団長を家に招くのはおかしいか。
彼だって警戒するだろうし、余計に眠れないな。
「すまん、おかしな事を言った」
「泊めて頂けるんですか?」
「え?」
てっきり嫌がっていると思っていたオニキスはアメジスの返答に驚く。
「あ、すみません。冗談ですよね」
ハハッと苦笑するアメジスだ。
「あ、いや…… て、いうか、もう着いた」
気づいたらオニキスの家の前まで来ていた。
アメジスも無意識に着いてきてしまっていた。
「えっと、泊まって行くか?」
「冗談じゃないのなら」
冗談では無かったので、オニキスはアメジスを家に通すのだった。
「いやぁ、狭い家で申し訳ない」
何も考えずに呼んだが、オニキスが住んでいるのは小さなログハウスである。
「お洒落ですね。良いなぁ。僕も近くにログハウスでも建てて住もうかなぁ」
「ああ、この辺りは自然が豊で静かだろ。朝は綺麗な小鳥やリスなんかが遊びに来るし、夜も梟が遊びに来てくれたり楽しいぞ」
「へー、良いですね」
「ほら、ちょうど梟が来た」
オニキスの帰りを察知したのか、梟がどこからともなく入ってきて部屋のとまり木にとまってホーホー鳴く。
「ベッドはロフトに有るんだが、1つしかないから君が使ってくれ。俺はソファーで寝る」
「悪いですよ。僕がソファーを使うので、貴方はベッドで寝て下さい!」
「俺は夜番だから」
「嘘ばっかり、早朝間近も出るんでしょう。貴方の方がちゃんと寝た方が良い!」
「いや、俺は寝ない。朝寝るから」
「良いから貴方がベッドを使って下さい!」
「いや、だから君が……」
ベッドとソファーをどっちが使うか論争が止まらなくなってしまった。
最終的にはベッドがキングサイズと大きいので、二人で使う事にした。
「お風呂有難うございました。すごいですね。温泉が湧いているなんて」
「ああ、贅沢だろ。ガウンは俺のだから少し大きいな。悪い」
先にアメジスをお風呂に入れた。
どっちが先に入るか論争もおきかけたが、家は源泉をかけ流しだから気にするなといえば、先に入ってくれた。
「先に寝ていてくれ」
オニキスは、アメジスにホットミルクを入れてから、お風呂に向かうのだった。
ちゃんと新品の歯ブラシも置いておいたから大丈夫だろう。
しかし、町はお祭り騒ぎでアメジスが来ないなと楽しみにしているだろうに、少しアメジスファンには申し訳ない気持ちになる。
皆の憧れの的であるアメジスが俺の部屋で俺のガウンを着て、俺のベッドで寝ているのだ。
なんか不思議な気持ちである。
お風呂から上がったオニキスは、ゆっくりと梯子を登ってロフトへ。
先に寝ているアメジスを起こさない様にゆっくりベッドに入る。
何だかドキドキしてきた。
「しかし、地竜の子供が入り込むとは珍しくないですか?」
「えっ…… ああ、小さく薄い場所にたまたま入り込んだんだろう。地竜は大人しいタイプだから気付かなかったな。もっと荒々しく無理やり入ってこようとする魔物にはしっかり反応する筈だし、俺達だって気付くだろう」
寝ていると思っていたアメジスに声をかけたられ、驚く。
「しかし、今日は僕達がバリアを強固にしたばかりですよ?」
「俺に何かミスがあっただろうか……」
「貴方にミスは有りませんよ。あったら僕が気付く」
「君にミスも無かった」
いつもの様に美しい剣舞と歌声だった。
「あまり無かった事なので、少し気になります」
「そうか、確かに少し気になるな。神官に報告しておこう」
「ええ……」
「じゃあ、明日も早いし、もう寝よう」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」
そう、声をかけかって目を閉じたが、オニキスは何故が胸がドキドキして眠れそうになかった。
「いえ、メインストリートの方です」
並びながら歩く二人は何となく会話する。
雲はいつの間にか晴れ、月明かりが照らしていた。
「こっからメインストリートまでは3キロも離れているぞ」
「お祭り騒ぎがちょっとダルかったので」
「大丈夫か?」
溜息を吐くアメジスを心配するオニキス。
確かに、あっちは朝まで音楽が鳴り止まないかもしれない。
「家に泊まってくか?」
オニキスは何気ない口調で提案した。
本当にただ、家は境界に近い森の中だし、静かで良いかと思っただけだ。
「えっ……」
驚いた様な声を漏らすアメジス。
よく考えたら闇騎士の団長が光騎士の団長を家に招くのはおかしいか。
彼だって警戒するだろうし、余計に眠れないな。
「すまん、おかしな事を言った」
「泊めて頂けるんですか?」
「え?」
てっきり嫌がっていると思っていたオニキスはアメジスの返答に驚く。
「あ、すみません。冗談ですよね」
ハハッと苦笑するアメジスだ。
「あ、いや…… て、いうか、もう着いた」
気づいたらオニキスの家の前まで来ていた。
アメジスも無意識に着いてきてしまっていた。
「えっと、泊まって行くか?」
「冗談じゃないのなら」
冗談では無かったので、オニキスはアメジスを家に通すのだった。
「いやぁ、狭い家で申し訳ない」
何も考えずに呼んだが、オニキスが住んでいるのは小さなログハウスである。
「お洒落ですね。良いなぁ。僕も近くにログハウスでも建てて住もうかなぁ」
「ああ、この辺りは自然が豊で静かだろ。朝は綺麗な小鳥やリスなんかが遊びに来るし、夜も梟が遊びに来てくれたり楽しいぞ」
「へー、良いですね」
「ほら、ちょうど梟が来た」
オニキスの帰りを察知したのか、梟がどこからともなく入ってきて部屋のとまり木にとまってホーホー鳴く。
「ベッドはロフトに有るんだが、1つしかないから君が使ってくれ。俺はソファーで寝る」
「悪いですよ。僕がソファーを使うので、貴方はベッドで寝て下さい!」
「俺は夜番だから」
「嘘ばっかり、早朝間近も出るんでしょう。貴方の方がちゃんと寝た方が良い!」
「いや、俺は寝ない。朝寝るから」
「良いから貴方がベッドを使って下さい!」
「いや、だから君が……」
ベッドとソファーをどっちが使うか論争が止まらなくなってしまった。
最終的にはベッドがキングサイズと大きいので、二人で使う事にした。
「お風呂有難うございました。すごいですね。温泉が湧いているなんて」
「ああ、贅沢だろ。ガウンは俺のだから少し大きいな。悪い」
先にアメジスをお風呂に入れた。
どっちが先に入るか論争もおきかけたが、家は源泉をかけ流しだから気にするなといえば、先に入ってくれた。
「先に寝ていてくれ」
オニキスは、アメジスにホットミルクを入れてから、お風呂に向かうのだった。
ちゃんと新品の歯ブラシも置いておいたから大丈夫だろう。
しかし、町はお祭り騒ぎでアメジスが来ないなと楽しみにしているだろうに、少しアメジスファンには申し訳ない気持ちになる。
皆の憧れの的であるアメジスが俺の部屋で俺のガウンを着て、俺のベッドで寝ているのだ。
なんか不思議な気持ちである。
お風呂から上がったオニキスは、ゆっくりと梯子を登ってロフトへ。
先に寝ているアメジスを起こさない様にゆっくりベッドに入る。
何だかドキドキしてきた。
「しかし、地竜の子供が入り込むとは珍しくないですか?」
「えっ…… ああ、小さく薄い場所にたまたま入り込んだんだろう。地竜は大人しいタイプだから気付かなかったな。もっと荒々しく無理やり入ってこようとする魔物にはしっかり反応する筈だし、俺達だって気付くだろう」
寝ていると思っていたアメジスに声をかけたられ、驚く。
「しかし、今日は僕達がバリアを強固にしたばかりですよ?」
「俺に何かミスがあっただろうか……」
「貴方にミスは有りませんよ。あったら僕が気付く」
「君にミスも無かった」
いつもの様に美しい剣舞と歌声だった。
「あまり無かった事なので、少し気になります」
「そうか、確かに少し気になるな。神官に報告しておこう」
「ええ……」
「じゃあ、明日も早いし、もう寝よう」
「はい、おやすみなさい」
「おやすみ」
そう、声をかけかって目を閉じたが、オニキスは何故が胸がドキドキして眠れそうになかった。
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