【完結】俺の可愛い牛

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「んん……」

 何だか安心してよく眠れた。
 
「気分は平気?」
 
 目を開けると、直ぐに哉汰と目があった。
 ずっと見ていてくれたのか。

「うん……」

 頷く牛五郎。
 もう、苦しくも無いし、イライラもしない。
 
「良かった」

 哉汰もホッとする。
 熱は下がったし、苦しそうな表情もしなくなかった。
 気分も落ち着いたのだろう。
 ヨシヨシと、頭を撫でてやった。

「たくさん汗をかいちゃったからね。シャワーを浴びておいで。一人で行ってこれる?」

 牛五郎は頷くと、大人しくお風呂に向かうのだった。



 しっかり湯船につかって、温まった牛五郎。
 頭もしっかりしてきた。
 なんか、変な事を言って泣き喚いてしまった。
 哉汰も困ってた。
 恥ずかしさが一気にこみ上げてくる。
 これだから牛は嫌なんだ。
 哉汰の事はハッキリ言えば大好きだし、構って貰えれば嬉しい。
 他の牛を構っていると嫉妬する。
 俺をもっと見て、俺だけ構って欲しい。 
 それが嫌だから人間に成りたいんだ。
 俺はペットとしてじゃなくて、対等な人間として哉汰と肩を並べられる男に成りたいんだ。

 あれ?
 それって、牛人と同じなのかな?

 執事として哉汰に忠誠を誓って、勉強して哉汰の役に立つ牛にれば……
 哉汰は俺だけを可愛がってくれる?

 俺にも焼印押してくれる?

 唯一の牛にしてくれる?

 気づけば、牛五郎にはもう人間になりたいと言う気持ちは無くなっていた。



 お風呂から上がった牛五郎にブラッシングをしてあげる哉汰。
 青いリボンを結ぶ。

「俺のおちんちんに結んだやつ?」
「そんな訳ないだろ。複数用意しといたんだ。こっちがおちんちん用だよ。こっちにも結んであげるね」
「どっちがおちんちん用でどっちが髪用か解らなくなりそうですね」
「ほら、ここに小さく刺繍してあるから大丈夫だよ」

 良く見てみれば『うしごろうのおちんちんようりぼん』と、書かれている。
 
「尻尾用も作っておいたよ」

 『うしごろうのしっぽようりぼん』も、有った。

「有難う」
「嬉しい? 俺が特別にリボン用意してあげるのは牛五郎だけだぞ」

 哉汰は牛五郎の頬を撫でると、優しく頬にキスする。
 キスをして貰ったのは始めてだった。

 牛五郎は徐に跪く。

「牛五郎?」

 足元に跪く牛五郎は、そっと哉汰の靴下を脱がす。

「う、牛五郎?」

 まさか、この子。
 控えめに舌を出して、足の親指を舐めた。
 『貴方に忠誠を誓います』の合図だ。
 上目遣いで見つめてくる牛五郎。

「良い子だね牛五郎。足を舐めてくれて有難う」

 頭をを撫でてやれば、太腿に頭を擦り寄せて甘える。
 
「人間になりたいなんてもう言わないので、私にピアスを下さい……」
「ピアスが欲しいの?」
「焼印も欲しいです」
「解った。用意しよう」
「嬉しい……」

 フフっと微笑む牛五郎。
 哉汰もフフっと微笑む。
 ああ、嬉しい。牛五郎が俺に墜ちてくれた。
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