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具合の悪そうな牛五郎を背負って運ぶ哉汰。
急いで車に乗せて病院まで向かう。
連絡していたので、着くと直ぐに診てもらう事が出来た。
血液検査の結果は全て正常である。
哉汰も自らも確認したが、いままでの血液検査結果と照らし合わせても問題は見受けられず、血液的には寧ろ良好だ。
「調教を始めたんだったか? やはり環境が慣れずに体調を崩したんだろうな。執事の牛には良くある事だ」
結果を見ながら冷静に診断する友人の医師に言われ、それもそうだと納得する哉汰。
そういう事がよく有ると知っていても、牛五郎がなってしまうと焦って何も考えられなくなってしまった。
「特別なにかが有るわけで無くて良かった」
ホッと胸を撫で下ろす哉汰。
「解熱剤や座薬は有るんだろ? あとは良く寝かせて美味しい物でも食べさせてやれば落ち着くだろう」
「そうだな。うん、解った。有難う」
それなら哉汰も対処法は解る。大丈夫だ。
「でも、熱が高すぎるしな。今、解熱剤入れとく?」
「ああ、そうしよう」
調教を始めた反動で筋肉痛になった様なものなのだが、それにしたって熱が高すぎる。
直ぐ下げてやった方が良いだろう。
「じゃあ、ちょっと失礼するぞ」
友人の医師が牛用の座薬を手に、牛五郎の尻に触れる。
出来れば自分でやりたいが、ここは彼の病院であるし、出しゃばるのも変な気がして見守る哉汰。
「ウウッ!! モーモー!!」
「ちょっと押さえてくれ、めっちゃ暴れるわ」
嫌がって角で突こうとする牛五郎。
牛五郎が『モーモー!!』と、鳴くほど興奮して怒る所を見たのは初めてだった。
牛は命の危険を感じる程になると、モーモー鳴いてしまう子が多い。
牛五郎もモーモー鳴くんだなぁ。
「悪い、じゃじゃ馬なんだ。ん? じゃじゃ牛か? まぁ、何でも良いか。俺がやるわ」
あまりに抵抗して嫌がるので、友人から座薬を受け取る哉汰。
やっぱりここは出しゃばる場面だった。
「気をつけろよ。すごい興奮してるから、蹴られるかも知れないぞ。鎮静剤を打つか?」
「いい。大丈夫だ。愛牛に蹴られるなら別に構わないさ」
怖がって興奮している牛五郎に痛い思いをさせて更に怖がらせるのは可哀想だ。
「ヨシヨシ、牛五郎。怖くないよ。お熱下げようね。暴れない暴れない」
哉汰が声を掛けながらヨシヨシと頭を撫でてやると、牛五郎は少し落ち着いた様子だ。
バシバシと尻を優しく叩くと、上げて入れやすい様にしてくれた。
「調教を始めたばかりにしちゃあ随分と従順だな」
「普段からこれなら良いんだけどな」
ハハッと苦笑しつつ、人間用とは比べ物にならない大きさのソレを牛五郎の中に押し込む。
だいぶ抵抗し、押し出そうとするので、親指で中まで入れて押し込んだ。
「んん、ウーウー、ウッ、ヴヴ~」
「牛五郎。怖くないよ。座薬入れたからね。ヨシヨシ」
不安そうに鳴く牛五郎に、安心する様に背中を撫でてやる。
「中まで入ったみたい」
「随分、可愛がってるな。その牛、焼印押してやらないのか?」
「まだその段階に無いからな。そういやぁお前の所の牛、ウチのと一緒に居たんだっけ?」
「ああ、ウチの子も可愛いんだぜ。その子が元気になったら夜会に連れてこいよ。俺のも連れてく」
「えー、他の奴に触らせたくねぇんだけど」
「皆、哉汰の箱入り牛がどんなのか気になってるみたいだけどな」
「まぁ、考えとく。寝たみたいだ」
友人と世間話をしていると、牛五郎は眠ってしまった。
ウーウー唸っていないので、少しは楽になったかな。
「診てくれて有難う」
「ああ、お大事に~」
また牛五郎を背負い、病院を後にする哉汰だった。
夜会か。
自分のペットを自慢する場所だ。
手塩にかけて育てた乳牛を連れよって、他所のペットの搾乳をして楽しむ。
品評会の様な場所である。
皆も執事牛を連れているので、さりげ無く執事チェックもされる。
主人が了承すれば執事の搾乳も出来る。
哉汰も良く顔は出すが、愛玩乳牛だけを連れて行き、牛五郎を連れて行く事は今までしなかった。
そもそも夜会の時間は牛五郎は夜学に行っているので、連れて行きようが無かったのだが……
まぁ、今度連れて行っても良いかも知れない。
触れさせる許可を取らなければ良いのだし、執事なら知り合いが居るだろう。
仲間の執事達と合えば刺激になるかも知れない。
そんな事より。
兎に角、今は早く元気になって欲しい。
哉汰は屋敷に連れ帰った牛五郎を彼の部屋に運び、ベッドに寝かせた。。
やはりベッドは彼の使い慣れた物の方が良いだろう。
自分の部屋の方が落ち着くだろうし。
哉汰は牛五郎の様子をみつつ、ノートパソコンで仕事するのだった。
会議も今日はリモートで対応して貰うことにした。
急いで車に乗せて病院まで向かう。
連絡していたので、着くと直ぐに診てもらう事が出来た。
血液検査の結果は全て正常である。
哉汰も自らも確認したが、いままでの血液検査結果と照らし合わせても問題は見受けられず、血液的には寧ろ良好だ。
「調教を始めたんだったか? やはり環境が慣れずに体調を崩したんだろうな。執事の牛には良くある事だ」
結果を見ながら冷静に診断する友人の医師に言われ、それもそうだと納得する哉汰。
そういう事がよく有ると知っていても、牛五郎がなってしまうと焦って何も考えられなくなってしまった。
「特別なにかが有るわけで無くて良かった」
ホッと胸を撫で下ろす哉汰。
「解熱剤や座薬は有るんだろ? あとは良く寝かせて美味しい物でも食べさせてやれば落ち着くだろう」
「そうだな。うん、解った。有難う」
それなら哉汰も対処法は解る。大丈夫だ。
「でも、熱が高すぎるしな。今、解熱剤入れとく?」
「ああ、そうしよう」
調教を始めた反動で筋肉痛になった様なものなのだが、それにしたって熱が高すぎる。
直ぐ下げてやった方が良いだろう。
「じゃあ、ちょっと失礼するぞ」
友人の医師が牛用の座薬を手に、牛五郎の尻に触れる。
出来れば自分でやりたいが、ここは彼の病院であるし、出しゃばるのも変な気がして見守る哉汰。
「ウウッ!! モーモー!!」
「ちょっと押さえてくれ、めっちゃ暴れるわ」
嫌がって角で突こうとする牛五郎。
牛五郎が『モーモー!!』と、鳴くほど興奮して怒る所を見たのは初めてだった。
牛は命の危険を感じる程になると、モーモー鳴いてしまう子が多い。
牛五郎もモーモー鳴くんだなぁ。
「悪い、じゃじゃ馬なんだ。ん? じゃじゃ牛か? まぁ、何でも良いか。俺がやるわ」
あまりに抵抗して嫌がるので、友人から座薬を受け取る哉汰。
やっぱりここは出しゃばる場面だった。
「気をつけろよ。すごい興奮してるから、蹴られるかも知れないぞ。鎮静剤を打つか?」
「いい。大丈夫だ。愛牛に蹴られるなら別に構わないさ」
怖がって興奮している牛五郎に痛い思いをさせて更に怖がらせるのは可哀想だ。
「ヨシヨシ、牛五郎。怖くないよ。お熱下げようね。暴れない暴れない」
哉汰が声を掛けながらヨシヨシと頭を撫でてやると、牛五郎は少し落ち着いた様子だ。
バシバシと尻を優しく叩くと、上げて入れやすい様にしてくれた。
「調教を始めたばかりにしちゃあ随分と従順だな」
「普段からこれなら良いんだけどな」
ハハッと苦笑しつつ、人間用とは比べ物にならない大きさのソレを牛五郎の中に押し込む。
だいぶ抵抗し、押し出そうとするので、親指で中まで入れて押し込んだ。
「んん、ウーウー、ウッ、ヴヴ~」
「牛五郎。怖くないよ。座薬入れたからね。ヨシヨシ」
不安そうに鳴く牛五郎に、安心する様に背中を撫でてやる。
「中まで入ったみたい」
「随分、可愛がってるな。その牛、焼印押してやらないのか?」
「まだその段階に無いからな。そういやぁお前の所の牛、ウチのと一緒に居たんだっけ?」
「ああ、ウチの子も可愛いんだぜ。その子が元気になったら夜会に連れてこいよ。俺のも連れてく」
「えー、他の奴に触らせたくねぇんだけど」
「皆、哉汰の箱入り牛がどんなのか気になってるみたいだけどな」
「まぁ、考えとく。寝たみたいだ」
友人と世間話をしていると、牛五郎は眠ってしまった。
ウーウー唸っていないので、少しは楽になったかな。
「診てくれて有難う」
「ああ、お大事に~」
また牛五郎を背負い、病院を後にする哉汰だった。
夜会か。
自分のペットを自慢する場所だ。
手塩にかけて育てた乳牛を連れよって、他所のペットの搾乳をして楽しむ。
品評会の様な場所である。
皆も執事牛を連れているので、さりげ無く執事チェックもされる。
主人が了承すれば執事の搾乳も出来る。
哉汰も良く顔は出すが、愛玩乳牛だけを連れて行き、牛五郎を連れて行く事は今までしなかった。
そもそも夜会の時間は牛五郎は夜学に行っているので、連れて行きようが無かったのだが……
まぁ、今度連れて行っても良いかも知れない。
触れさせる許可を取らなければ良いのだし、執事なら知り合いが居るだろう。
仲間の執事達と合えば刺激になるかも知れない。
そんな事より。
兎に角、今は早く元気になって欲しい。
哉汰は屋敷に連れ帰った牛五郎を彼の部屋に運び、ベッドに寝かせた。。
やはりベッドは彼の使い慣れた物の方が良いだろう。
自分の部屋の方が落ち着くだろうし。
哉汰は牛五郎の様子をみつつ、ノートパソコンで仕事するのだった。
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