【完結】俺の可愛い牛

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 哉汰が牛五郎を連れ立ってやってきたのは、雄ミルク専門店である。
 自分が経営しているお店の一つだ。


「いらっしゃいませ。あ、哉汰様ぁ」


 出迎えてくれた乳牛は今朝、哉汰が可愛がっていたお気に入りの乳牛であった。
 乳牛は哉汰に抱きつく。


「こぉら、仕事中だろ。ちゃんとご案内しなさい」


 そう優しく注意し、乳牛の乳首を摘む哉汰。


「アン、ごめんなぁい~」


 乳牛は気持ちよさそうな声を上げ、微笑んでいた。
 説明も無しにこんな所に連れてこられた牛五郎は、冷ややかな視線を向けてしまう。
 何を見せられているんだ俺は。


「普段はあの子も雄ミルクバーに並んでいる売れっ子なんだが、今日は俺のオヤツと、ボトル用にたくさん出させたからな。案内人にしているんだ」
「そうですか」


 別に聞いていないのだが、哉汰は勝手に説明してくる。
 自分はただの付き添いである。
 主人が視察するたけだ。
 見たくもないものを見せられ、牛五郎はやや不機嫌である。


「此方が雄ミルクバーです」
「どれどれ」


 雄ミルクバーには5匹の乳牛がセットされており、自由に乳首や陰茎を刺激して直接ミルクを飲める仕様である。


「ヤァァン、おちんちんキモチイイよぉ。もっと絞ってぇ~」
「僕のミルクも飲んでぇ~、もう我慢出来ないよぉ」
「アァン、アン、アン~」


 お客から乳首を刺激されたり、フェラチオされたりして喜んでいる乳牛達。
 だが、一匹違う様子だ。


「嫌だぁ、やめてぇ~ もう出ない! やだぁ、離して!! 家に帰りたいよぉ~」


 そう泣き喚く乳牛が居る。
 毛色が違う感じだ。


「アレはお前と同じ人間よりの乳牛だが、執事になれるほど頭が良くなくてね」


 そう牛五郎に説明する哉汰。
 親に売られたのか。
 可哀想に。
 売るならもっと子供の頃に手放せば、まだマシだっただろうに。
 税金を収められなくなったのだろう。
 愛玩牛税は高いのだ。


「調教は受けさせなかったのですか?」


 本来はもっと快楽漬けにさせてから出荷される筈である。


「ああ、どうせ此処に居ればその内そうなるしな。それに、ああいうのが好みの客も多い。見ろよ。あの子の場所だけ列を成してる」


 悪代官の様な笑みを浮かべる哉汰。
 本当に悪い奴だ。


「ですが、本当にもう出ませんよアレ」


 いくら絞ったって、元々人間よりの乳牛のミルク生産性は低い。
 もう今日は出せないだろう。


「おい、この牛のミルク、もう出ねぇじゃねぇか。出しても潮だぜ」


 そう、客から文句が出る。
 当然だ。


「申し訳ありません。この子の雄ミルクバーは今日はお終いにしますね。あちらの部屋でセックスををお楽しみください」
「やだぁやだぁ!! もう許して。無理、死んじゃう!!」


 案内人の乳牛は泣き喚く牛を引っ張り、ヤリ部屋へと連れて行く。
 お客もゾロゾロと後を付いて行くのだった。
 愛玩動物の乳牛は、お乳が出なくなったら、アナルと口で人間に奉仕するが基本である。
 牛五郎は見ていられなくて視線を反らした。


 俺は違う。
 アイツとは違う。
 俺は愛玩動物なんかじゃない。 
 人間なんだ。
 だから大丈夫。
 あんな風には成らない。


「君はミルク飲ませてくれるの? それともセックスさせてくれるの?」


 ハァハァと興奮しきった男に後ろから徐に抱きつかれた。


「私は違います。執事です」
「こんな誘うような乳首して?」
「ヤメッ!」


 空いているソコから乳首を摘まれ、ビクッっとしてしまう牛五郎。


「お客様。此方の牛は私の専属執事ですので、どうかご容赦くださいませ」


 そう微笑みつつも、客の手を払う哉汰。
 客はチッと舌打ちし、離れていった。

 乳首、触られた。
 気持ち悪い。


 牛五郎は嫌悪感でいっぱになる。

 でも哉汰が助けてくれて、ホッとした。

 もしかしたら、どうぞなんて差し出されるんじゃないかと思ってしまった。


「うーん。牛五郎、乳搾りどうしてる? ちゃんとしているのか?」


 キュと、今度は哉汰に摘まれた。


「していま…… ヒッ!」


 摘んだ乳首をギュッと引っ張り、お乳を絞る仕草をとられる。
 ピュッと、少しお乳が先から飛び出た。
 濡れた指先を舐める哉汰。


「やっぱりちょっと張ってる。ちゃんと自分で処理出来ないなら、俺が絞ってやるしかないな」


 呆れた様な表情で言う哉汰。
 確かに最近、忙しくてお乳絞りをサボっていたかもしれない。


「今夜辺り、ちゃんと絞ります」


 そう、哉汰に告げる牛五郎。
 お乳を主人に絞って貰うなど、愛玩乳牛がする事だ。
 俺は違う。人間なんだ。
 だから主人に乳首を摘まれたって何も感じない。
 気持ちよくなんか無いんだ。


 牛五郎は気づかない。
 頬を染め、自分が欲情した表情を浮かべている事に。 
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