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63話 ※尺八

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「うぶぅ……ン……うふ」


 伊吹は春岳の前にしゃがみ込むと、舌先で恐る恐るカリの部分を舐め、先を口に含んだ。


「伊吹、無理しなくて良いですからね」

 春岳は伊吹の頭を優しく撫でる。

「ふむっ! おえっ……」
「ほら、無理しないでって言ってるのに。大丈夫ですか?」

 無理に奥まで飲み込もうとして、嗚咽をする伊吹は、顔を反らして息を整えた。

「有理や千代の様に上手く出来ず、申し訳ありません」

 向き直った伊吹は涙目だ。

「うーん、私としては別に有理の尺八は気持ちよくありませんでしたけど……」

 有理の口を使って伊吹を見ながら自慰をしていた様なものだった。
 現にこうして伊吹にたどたどしく尺八される方が何百倍も気持ちいいし、幸せだ。

「あんなに夢中になって喉の奥に押し付けてたじゃないですか。有理の口が気持ち良かったのでしょう?」

 ムスッと少し拗ねた様な表情になる伊吹。

 あれ?

 もしかして、これはちょっと有理に嫉妬してくれてる感じだろうか。
 それだったら嬉しいな。

「何ニヤニヤしてるんですか! 私だって頑張って殿を気持ちよくして差し上げたいんだ」

 でも上手く出来なくて歯がゆい。
 そんな顔をしている。
 あぁ、俺の伊吹は本当に可愛い。

「言ったら引くかなと思って言えなかったんですが、あれは可愛い伊吹に興奮して無意識に有理の口の中へ腰を突いてしまったんですよ」

 ハハっと苦笑して見せる春岳。
 プイッと、顔を反らす伊吹はどうも納得してない顔だ。
 調子良いこと言って。
 って思っている顔だ。
 本当の事を言ったんだけどなぁ。
 
「私の口の中も突いてください」

 伊吹がそう言うと、目一杯口を開いて舌を出して見せる。
 
「千代か有理にそう誘えと教えられたんですか?」

 どっちかと言えば有理が言いそうだな。
 こんな煽り方を教えるなんて。
 止めてくれ。
 本能に負けてしまいそうになる。

「私がして欲しいだけです」
「本当に……」

 健気で可愛い。
 こんなに自分が我慢してあげているのが馬鹿らしくなってくる。
 そんな事を言ったら酷い目に合うんだよって教える為にもイラマチオしてやりたくなる春岳だが、そこはグッと我慢した。

「伊吹、体制がキツいでしょ? 尺八はまた閨でしてもらいます。こっちに来て」

 春岳は伊吹の腕を掴むと立たせる。
 そして木の側まで連れて行き、手をつかせた。

「殿?」

 伊吹も何をされるのか解らず、少し不安げに振り向き、此方の様子を伺おうとしていた。

「煽ったのは伊吹ですよ」

 こんなに煽られて此方もただでは済まされない。
 もう春岳の魔羅は爆発しそうに、これでもかと猛っていた。

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