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27話 ※春岳が伊吹に媚薬を塗ったりする
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伊吹を彼の寝所に連れ込み、布団に押し倒した春岳。
伊吹は混乱した様子である。
「殿、お戯れはおやめください」
そう言って、困った表情をしている。
顔は茹でダコの様に真っ赤になっていた。
「俺は本気だが?」
巫山戯てこんな事が出来るか。
春岳は、もう興奮しきっている。
獲物を捉える様な視線で伊吹を見つめていた。
「ヒエッ、怖いです。やめて下さい」
殺気すら感じる春岳に、恐怖を覚える伊吹。
体は震えてしまっていた。
「すまん、無理だ」
伊吹を怖がらせてしまっている事は解る。
嫌がるの相手に無理強いする事も駄目だと解っているが、春岳は止まれなかった。
いくら怖がられようとも、こんなに誰かと交わりたい等と思ったのは初めてなのだ。
止めたくても止まれない。
止め方が解らなかった。
頭の端では、同意も無い相手に無体を働くのはどうなのかとか、伊吹は病み上がりなのにとか、大事にしたいのに、とか色々考えているのに、直ぐにどっかへ行ってしまう。
そもそも俺は伊吹を抱けるのだろうか。
知識はある。
忍務中に愛撫ぐらいならした事も有る。
だが、本番は、したことが無かった。
したいとも思わなかった。
だから知識だけで出来るのか、伊吹を傷付けてしまわないか不安だった。
不安である気持ちは有るのに、獣の様に交わりたい気持ちが勝ってしまい、自分を押さえられなくなっていた。
「殿、ご乱心でございます」
正気の沙汰ではないから落ち着いてくれと伊吹は言っている。
「そんなの自分が一番解っている」
確かに俺は今、乱心している。
「殺気だけでも抑えて頂けませんか? 本当に殺されそうで怖いんです。それとも私を殺すおつもりなのですか?」
伊吹は狼に捕まってしまった兔の様に震えながら懇願する。
「あぁ……」
春岳は、奮しすぎて殺気混じりだった事を、言われて気づく。
それで怖かったのか。
だけれど、これも無意識に出てしまっている。
押さえるのは難しいな。
「殿、あの私、本当に何も解らないのです。上手く夜伽を務められるとは思えません。殿を満足させられるとは思えません」
伊吹は、自分は夜伽の相手に向いていないと、必死になって伝えて来ていた。
そんなの知っている。
さっき聞いた。
それに……
「安心しろ。俺も何も解らん」
俺も知らないから大丈夫だ。
何も大丈夫では無いのだが、春岳はニヤリと笑って見せる。
「嗚呼、絶対に大惨事だ」
もう伊吹は泣き出しそうだった。
俺も大惨事になると思う。
でも、止めてやれないのだ。
「すまんな。なんとか頑張ってみる」
春武はヨシヨシと、伊吹の頭を撫でて額に口吻を落とした。
自分でも何とか殺気を抑えようと努力し、笑顔を作ってみたが、伊吹の表情からしてあまり上手く行かなかったみたいである。
「殿、私も頑張ります!」
それでも意を決した様に、ぐっと拳を握る伊吹。
健気で可愛かった。
春岳はソッと、伊吹の寝間着を脱がせる。
腰紐を解くだけの簡単な作業だ。
伊吹は緊張した様子で、どうしたら良いのかと、視線をせわしなく動かしていた。
「天井のシミでも数えていなさい」
他に良い方法も思いつかず、色気も素っ気も無い事を言ってしまう春岳。
本番に持ち込みたく無くて、愛撫だけで天国見せられる程の手管を習得した春岳である。
愛撫には自信が有る筈だが、この段階でもう緊張して頭が上手く回らない。
いつもどうしていかのか、思い出せない程である。
愛撫に緊張した事は初めてだった。
「天井のシミは暗くて良く見えないので、殿の髪の毛の本数を数えます」
伊吹はそう言うと、春岳の長い髪の毛に手を伸ばし、結っていた紐を解いた。
パサっと落ちた綺麗髪を掴んで、本当に一本づつ数えはじめる。
気の遠くなるような事をし始めたなぁと、春岳は笑ってしまった。
少し緊張が解けた。
春岳は懐から薬入れを取り出す。
客人に渡した方は、自分の傷や痛みを治す物だ。
此方は逆に相手を傷付け、痛めつける薬が入っている。
勿論、伊吹にそんな薬を使う積りはない。
危険な薬の中から、春岳が選んで取り出したのは媚薬である。
少し強い物だが、初めての伊吹に苦痛を与えない為にも使用した方が良いと思ったのだ。
閨で媚薬のお香を炊くのは一般的である。
ただ、今お香は無い。
準備している余裕も無い。
塗り薬なってしまうが、そして、拷問用なので、それなりに強い効果が出てしまうが……
依存性は無く、危ない薬では無い。
一応は安全に調合してある。
まぁ、伊吹は薬に強い様なので、そこまでの効果は期待できないだろう。
春岳はドキドキしつつ、塗り薬を薬指ですくった。
先ずは、伊吹の可愛らしい胸の飾りに塗り付けるのだった。
伊吹は、どんな風に乱れてくれるだろう。
伊吹は混乱した様子である。
「殿、お戯れはおやめください」
そう言って、困った表情をしている。
顔は茹でダコの様に真っ赤になっていた。
「俺は本気だが?」
巫山戯てこんな事が出来るか。
春岳は、もう興奮しきっている。
獲物を捉える様な視線で伊吹を見つめていた。
「ヒエッ、怖いです。やめて下さい」
殺気すら感じる春岳に、恐怖を覚える伊吹。
体は震えてしまっていた。
「すまん、無理だ」
伊吹を怖がらせてしまっている事は解る。
嫌がるの相手に無理強いする事も駄目だと解っているが、春岳は止まれなかった。
いくら怖がられようとも、こんなに誰かと交わりたい等と思ったのは初めてなのだ。
止めたくても止まれない。
止め方が解らなかった。
頭の端では、同意も無い相手に無体を働くのはどうなのかとか、伊吹は病み上がりなのにとか、大事にしたいのに、とか色々考えているのに、直ぐにどっかへ行ってしまう。
そもそも俺は伊吹を抱けるのだろうか。
知識はある。
忍務中に愛撫ぐらいならした事も有る。
だが、本番は、したことが無かった。
したいとも思わなかった。
だから知識だけで出来るのか、伊吹を傷付けてしまわないか不安だった。
不安である気持ちは有るのに、獣の様に交わりたい気持ちが勝ってしまい、自分を押さえられなくなっていた。
「殿、ご乱心でございます」
正気の沙汰ではないから落ち着いてくれと伊吹は言っている。
「そんなの自分が一番解っている」
確かに俺は今、乱心している。
「殺気だけでも抑えて頂けませんか? 本当に殺されそうで怖いんです。それとも私を殺すおつもりなのですか?」
伊吹は狼に捕まってしまった兔の様に震えながら懇願する。
「あぁ……」
春岳は、奮しすぎて殺気混じりだった事を、言われて気づく。
それで怖かったのか。
だけれど、これも無意識に出てしまっている。
押さえるのは難しいな。
「殿、あの私、本当に何も解らないのです。上手く夜伽を務められるとは思えません。殿を満足させられるとは思えません」
伊吹は、自分は夜伽の相手に向いていないと、必死になって伝えて来ていた。
そんなの知っている。
さっき聞いた。
それに……
「安心しろ。俺も何も解らん」
俺も知らないから大丈夫だ。
何も大丈夫では無いのだが、春岳はニヤリと笑って見せる。
「嗚呼、絶対に大惨事だ」
もう伊吹は泣き出しそうだった。
俺も大惨事になると思う。
でも、止めてやれないのだ。
「すまんな。なんとか頑張ってみる」
春武はヨシヨシと、伊吹の頭を撫でて額に口吻を落とした。
自分でも何とか殺気を抑えようと努力し、笑顔を作ってみたが、伊吹の表情からしてあまり上手く行かなかったみたいである。
「殿、私も頑張ります!」
それでも意を決した様に、ぐっと拳を握る伊吹。
健気で可愛かった。
春岳はソッと、伊吹の寝間着を脱がせる。
腰紐を解くだけの簡単な作業だ。
伊吹は緊張した様子で、どうしたら良いのかと、視線をせわしなく動かしていた。
「天井のシミでも数えていなさい」
他に良い方法も思いつかず、色気も素っ気も無い事を言ってしまう春岳。
本番に持ち込みたく無くて、愛撫だけで天国見せられる程の手管を習得した春岳である。
愛撫には自信が有る筈だが、この段階でもう緊張して頭が上手く回らない。
いつもどうしていかのか、思い出せない程である。
愛撫に緊張した事は初めてだった。
「天井のシミは暗くて良く見えないので、殿の髪の毛の本数を数えます」
伊吹はそう言うと、春岳の長い髪の毛に手を伸ばし、結っていた紐を解いた。
パサっと落ちた綺麗髪を掴んで、本当に一本づつ数えはじめる。
気の遠くなるような事をし始めたなぁと、春岳は笑ってしまった。
少し緊張が解けた。
春岳は懐から薬入れを取り出す。
客人に渡した方は、自分の傷や痛みを治す物だ。
此方は逆に相手を傷付け、痛めつける薬が入っている。
勿論、伊吹にそんな薬を使う積りはない。
危険な薬の中から、春岳が選んで取り出したのは媚薬である。
少し強い物だが、初めての伊吹に苦痛を与えない為にも使用した方が良いと思ったのだ。
閨で媚薬のお香を炊くのは一般的である。
ただ、今お香は無い。
準備している余裕も無い。
塗り薬なってしまうが、そして、拷問用なので、それなりに強い効果が出てしまうが……
依存性は無く、危ない薬では無い。
一応は安全に調合してある。
まぁ、伊吹は薬に強い様なので、そこまでの効果は期待できないだろう。
春岳はドキドキしつつ、塗り薬を薬指ですくった。
先ずは、伊吹の可愛らしい胸の飾りに塗り付けるのだった。
伊吹は、どんな風に乱れてくれるだろう。
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