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9話
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春岳は集まってしまった家臣達や伊吹にそのまま自分の生い立ちを説明する。
自分は忍びの里でも優秀な忍びだったので、毒味は要らない事と、過度に心配しないで欲しいと言う事である。
それから今届いた矢文の件だ。
今朝は黙って出てしまい、悪かったが、自分は件の流行病について調べて来た。
そして原因を突き止めたと言う事である。
原因は流行病では無く、井戸に投げ込まれた毒物による物であった。
そして手紙の内容は毒の種類、そして解毒剤の成分。
これが有れば、自分で解毒剤を作る事が出来る。
その上、使用された毒の種類によって使っている城が判明した。
この毒を使用するのは、山を越した先の丸武城で間違い無いだろう。
「そんな事を今朝の短い間にされていたのですが?」
「殿、凄い……」
「まさか井戸に毒が投げ込まれていたとはな……」
ザワつく家臣達は、一気に春岳への視線を変えた。
よく解らない人がイキナリ城主となってしまい、家臣達は『ちゃんとした人なのだろうか』『城主として出来る人なのだろうか』と、心配し、見定めていたのだろう。
優秀で立派な殿だと、全員一目置いてくれた様だ。
寧ろ、尊敬の視線さえ感じる。
「それで、取り急ぎ町に出て薬草を買い集めたい。伊吹、出かけさせて下さい」
早速、伊吹に許可を取る春岳。
ちゃんと言われた事は守った。
「は、はい。お供致します。直ぐに馬の準備を……」
「馬はいい。走った方が早い」
ここは山城である。山を降りるのに馬を使うより走った方が春岳にははるかに早いのだ。
さっきも行ってきたし。
「殿、ですが私は……」
だが早いのは春岳だけであり、伊吹は馬の方が早い。
「良いから支度をしなさい。騒ぎになるといけないから村人に見える格好をしましょう」
さっきは夜だったので顔を隠せたが、もう朝である。
顔は隠せないだろう。
忍び装束を着るのもおかしいし、服装を考えなければならない。
春岳は、ちゃっちゃと朝ごはんを済ませ、伊吹を連れて倉庫に向かうのだった。
城内の見取り図は既に完璧だ。
自分は忍びの里でも優秀な忍びだったので、毒味は要らない事と、過度に心配しないで欲しいと言う事である。
それから今届いた矢文の件だ。
今朝は黙って出てしまい、悪かったが、自分は件の流行病について調べて来た。
そして原因を突き止めたと言う事である。
原因は流行病では無く、井戸に投げ込まれた毒物による物であった。
そして手紙の内容は毒の種類、そして解毒剤の成分。
これが有れば、自分で解毒剤を作る事が出来る。
その上、使用された毒の種類によって使っている城が判明した。
この毒を使用するのは、山を越した先の丸武城で間違い無いだろう。
「そんな事を今朝の短い間にされていたのですが?」
「殿、凄い……」
「まさか井戸に毒が投げ込まれていたとはな……」
ザワつく家臣達は、一気に春岳への視線を変えた。
よく解らない人がイキナリ城主となってしまい、家臣達は『ちゃんとした人なのだろうか』『城主として出来る人なのだろうか』と、心配し、見定めていたのだろう。
優秀で立派な殿だと、全員一目置いてくれた様だ。
寧ろ、尊敬の視線さえ感じる。
「それで、取り急ぎ町に出て薬草を買い集めたい。伊吹、出かけさせて下さい」
早速、伊吹に許可を取る春岳。
ちゃんと言われた事は守った。
「は、はい。お供致します。直ぐに馬の準備を……」
「馬はいい。走った方が早い」
ここは山城である。山を降りるのに馬を使うより走った方が春岳にははるかに早いのだ。
さっきも行ってきたし。
「殿、ですが私は……」
だが早いのは春岳だけであり、伊吹は馬の方が早い。
「良いから支度をしなさい。騒ぎになるといけないから村人に見える格好をしましょう」
さっきは夜だったので顔を隠せたが、もう朝である。
顔は隠せないだろう。
忍び装束を着るのもおかしいし、服装を考えなければならない。
春岳は、ちゃっちゃと朝ごはんを済ませ、伊吹を連れて倉庫に向かうのだった。
城内の見取り図は既に完璧だ。
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