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プロローグ

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 山間の小さな村を納める山城の主である田方春岳(たんぼうはるたけ)は、名軍師と言われる程、戦法に強いが、自分の土地を広げたいと言うような野心を持つでも無く、攻め入られたなら応戦はするが、進軍する様な事も無く、村人に紛れて田畑で仕事をする事が好きな穏やかな男であった。
 ただ、春岳は友軍に指示を出し、進軍を成功に導いたり、山を隔てた向こうと此方の仲が悪いので度々戦に巻き込まれる形になってしまう。
 戦うなら何方かの領地でしてくれれば良いものを、とは思うのだが、そう上手くは行かず、味方に援軍を頼まれる事もしばしばであった。
 また、春岳は背も高く、ガダイの良い男前であるが、綺麗な顔をしており、何処かミステリアスであった為、山城のかぐや姫と等と噂され、周りの城主達から尻を狙われていたりする。
 恋文等も城に届くので、春岳は困っていた。

 春岳には既に心に決めた男が居るのである。
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