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緊張した握手&サイン会も、問題なく終えられた。
しかし、やっぱりすごく疲れる。
手紙や差し入れを沢山貰ったが、一旦月さんのSPさんに渡す。
毎回、全員分の手紙や差し入れは月さんのSPが確認し、安全を確かめてから返してくれる。
そう思うと、やっぱりマネージャーは要らない気がしてきた。
月さんも月さんのSP達も優秀過ぎる。
それよりも、握手&サイン会に思いも寄らない人が来てビックリしてしまった。
来るなら来るで連絡してくれたら良かったのに。
変に反応すると他の人に勘繰られてしまうじゃないか。
他のファンさん達と同じように対応した俺を誰か褒めて欲しいものだ。
メッセージだけ送っておこう。
『急に現れたりするから驚きましたよ。旅館の主がお留守にしても大丈夫なんですか?』
来たのは夏樹だ。
握手もサインも言われたらしてあげるのになぁ。
と、いうか、サインは無いが、握手なんて小さい頃に良く手を繋いだりしていたし、今更して何なんだって感じである。
握手会のチケットはCDかグッズを買って着いてくる応募券で応募してもらって抽選である。
アイツ、何を買ったんだ?
俺との握手は月さんや雪那さんよりは当たりやすいが、それでも最近、雪月花は人気なので、定員は三倍ほど超えていた。
たまたま応募してみて当たったのだろうか。
それでわざわざ旅館をあけてまで来てくれたと?
『たまたま当たったので、旅館は他の者に任せておけば大丈夫ですよ。元気そうで良かったです』
やっぱりたまたま当たったみたいだ。
『直ぐに帰るんですか? 家に寄って行きませんかか? 家の者も喜ぶと思うので』
『解りました。後で顔を出します』
「そろそろ出られるって」
「はい!」
月さんに声をかけられスマホを片付ける。
出待ちのファン等がたまに居るので、様子を見てから出なければならない。
月さんのSPさんが対応してくれる。
毎回、人の居ない出口を教えてくれるので、そこから出ると月さんの運転手が待ち構えている。
三人で車に乗り込み、帰宅or別の仕事
だ。
やっぱり三人が直ぐ近くに住んでいるって便利だ。
出口まで月さんに着いていく。
「今日の握手会、知り合いでも居たのか?」
何気ない様子で雪那さんが声をかけてきた。
気づかれていたのか。
やっぱり俺は反応してしまっていたらしい。
「ええ、夏樹が来てくれて」
「ああ、幼馴染みっていう。あ、俺、あの時アルバム見そびれた!」
「忘れてて下さい」
ハッとした様に言う雪那さん。
あの時、そういえば雪那さんは寝落ちていた。
俺のアルバムなんて見ても、本当に面白く無いのだが。
「見に行っても良いか? 自宅に有るだろう?」
「嫌ですよ恥ずかしい」
有るには有るが、そもそも俺は写真写りが悪い気がする。
笑顔が少ないし、そもそも子供の頃から陰キャだから棒立ちで無表情、取り敢えずピースしたみたいな写真ばっかりなのだ。
もう逆に俺を写した写真なのに俺が邪魔状態である。
あんなもん見て楽しめるとは思えない。
「俺のも持っていくから、ついでに月のも持っていくから」
「ううっ~」
ズルいですよ!
そんなの見たいに決まっている。
「僕もタマの写真みたい!」
「月さんはもう見たじゃないですか」
覚えているでしょ。
つまらない写真だったでしょ!
「別なバージョンも見たい」
「全部同じモブが写ってるだけです」
「僕の初恋の相手をモブ扱いしないで欲しいなぁ~」
そうだ!
そういえば月さんそんな事を……
昔から趣味がおかしい人だ。
周りに美男美女ばかり居て感覚かおかしくなってしまったのだろうか。
月さんがちょっと心配である。
「何々? どういう事だ??」
初恋とかトンデモ単語を月さんが出してしまうから、更に雪那さんも飛びついて来た。
恥ずかし過ぎる。
恥ずかしいのは月さんだ。
黒歴史&黒歴史の真っ最中なのだがら。
「ほら、早く行きましょう。運転手さん待たせてるでしょ? 出口はここで合ってますか?」
薄暗い廊下の奥に、非常口を見つけた。
「うん、そこ。出たら直ぐ車が待ってるよ」
「いつも有難うございます」
ドアを開ける。
直ぐ側の道路に車が止まっていた。
月さん家の車だ。
本当に周りには誰も居ないからずごい。
車に乗り込むと、直ぐに車を発進させる運転手さん。
いつも安心である。
しかし、やっぱりすごく疲れる。
手紙や差し入れを沢山貰ったが、一旦月さんのSPさんに渡す。
毎回、全員分の手紙や差し入れは月さんのSPが確認し、安全を確かめてから返してくれる。
そう思うと、やっぱりマネージャーは要らない気がしてきた。
月さんも月さんのSP達も優秀過ぎる。
それよりも、握手&サイン会に思いも寄らない人が来てビックリしてしまった。
来るなら来るで連絡してくれたら良かったのに。
変に反応すると他の人に勘繰られてしまうじゃないか。
他のファンさん達と同じように対応した俺を誰か褒めて欲しいものだ。
メッセージだけ送っておこう。
『急に現れたりするから驚きましたよ。旅館の主がお留守にしても大丈夫なんですか?』
来たのは夏樹だ。
握手もサインも言われたらしてあげるのになぁ。
と、いうか、サインは無いが、握手なんて小さい頃に良く手を繋いだりしていたし、今更して何なんだって感じである。
握手会のチケットはCDかグッズを買って着いてくる応募券で応募してもらって抽選である。
アイツ、何を買ったんだ?
俺との握手は月さんや雪那さんよりは当たりやすいが、それでも最近、雪月花は人気なので、定員は三倍ほど超えていた。
たまたま応募してみて当たったのだろうか。
それでわざわざ旅館をあけてまで来てくれたと?
『たまたま当たったので、旅館は他の者に任せておけば大丈夫ですよ。元気そうで良かったです』
やっぱりたまたま当たったみたいだ。
『直ぐに帰るんですか? 家に寄って行きませんかか? 家の者も喜ぶと思うので』
『解りました。後で顔を出します』
「そろそろ出られるって」
「はい!」
月さんに声をかけられスマホを片付ける。
出待ちのファン等がたまに居るので、様子を見てから出なければならない。
月さんのSPさんが対応してくれる。
毎回、人の居ない出口を教えてくれるので、そこから出ると月さんの運転手が待ち構えている。
三人で車に乗り込み、帰宅or別の仕事
だ。
やっぱり三人が直ぐ近くに住んでいるって便利だ。
出口まで月さんに着いていく。
「今日の握手会、知り合いでも居たのか?」
何気ない様子で雪那さんが声をかけてきた。
気づかれていたのか。
やっぱり俺は反応してしまっていたらしい。
「ええ、夏樹が来てくれて」
「ああ、幼馴染みっていう。あ、俺、あの時アルバム見そびれた!」
「忘れてて下さい」
ハッとした様に言う雪那さん。
あの時、そういえば雪那さんは寝落ちていた。
俺のアルバムなんて見ても、本当に面白く無いのだが。
「見に行っても良いか? 自宅に有るだろう?」
「嫌ですよ恥ずかしい」
有るには有るが、そもそも俺は写真写りが悪い気がする。
笑顔が少ないし、そもそも子供の頃から陰キャだから棒立ちで無表情、取り敢えずピースしたみたいな写真ばっかりなのだ。
もう逆に俺を写した写真なのに俺が邪魔状態である。
あんなもん見て楽しめるとは思えない。
「俺のも持っていくから、ついでに月のも持っていくから」
「ううっ~」
ズルいですよ!
そんなの見たいに決まっている。
「僕もタマの写真みたい!」
「月さんはもう見たじゃないですか」
覚えているでしょ。
つまらない写真だったでしょ!
「別なバージョンも見たい」
「全部同じモブが写ってるだけです」
「僕の初恋の相手をモブ扱いしないで欲しいなぁ~」
そうだ!
そういえば月さんそんな事を……
昔から趣味がおかしい人だ。
周りに美男美女ばかり居て感覚かおかしくなってしまったのだろうか。
月さんがちょっと心配である。
「何々? どういう事だ??」
初恋とかトンデモ単語を月さんが出してしまうから、更に雪那さんも飛びついて来た。
恥ずかし過ぎる。
恥ずかしいのは月さんだ。
黒歴史&黒歴史の真っ最中なのだがら。
「ほら、早く行きましょう。運転手さん待たせてるでしょ? 出口はここで合ってますか?」
薄暗い廊下の奥に、非常口を見つけた。
「うん、そこ。出たら直ぐ車が待ってるよ」
「いつも有難うございます」
ドアを開ける。
直ぐ側の道路に車が止まっていた。
月さん家の車だ。
本当に周りには誰も居ないからずごい。
車に乗り込むと、直ぐに車を発進させる運転手さん。
いつも安心である。
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