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ライブは滞りなく、いつもどおり進んでいた。
失敗もなく、完璧だった。
雪那さんのギターパフォーマンスは素晴らしくカッコいいし、月さんの美声は女神の歌声と評されるに相応しくに心に響き渡る。
俺はそんな二人の音を一番近くで聞いて酔いしれつつ、ベースとコーラスで合わせる。
この時間が大好きだ。
そして、何よりも興奮する。
瞳を合わせた月さんも、頬を赤く染め、興奮している事が解る。
普段、澄ました顔の美形がこんな風にエロい顔をしてステージに立っているのは大丈夫なんだろうか。
これこそ18禁じゃなくて良いのか?
飛び散る汗がエロすぎる。
目が離せない。
月さんが、こちらに手を伸ばした。
あっと、思った瞬間には唇に柔らかく湿った感触が……
思わず月さんの肩を押す。
唇を離した月さんは、あきらかに気が動転していた。
半開きの口がエロい。
じゃなくて、どうしよう。
月さん、次の歌詞が出てこない。
頭が真っ白になってしまっている様子だ。
俺も何も思ったのか、兎に角、パフォーマンスだと誤魔化さなければの一心だった。
月さんの肩を掴み引き寄せ、今度は俺から唇を奪った。
これなら歌詞だ途切れてもキスしているから仕方ないと思わせられる。
背中を軽く叩いてから唇を離し、『大丈夫』と、耳元で囁いた。
すると、月さんもハッとして歌いだしてくれた。
そこからは何事も無かったかの様にライブは続き、アンコールまで無事に済ませてから控室に捌けた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!!」
「やめてください! やめください! やめください!!」
月さんは控室に入るなり正座で土下座しようとしてくる。
慌ててこちらも正座になり月さん肩を掴んで土下座を阻止した。
「僕はなんて事を、勝手にもうキスしないって言ったのに、よりにもよってこんな所で、あああ!! ごめんなさい!!」
「事故です。事故でした。気にしないでください。土下座しようとしないでください!!」
何度も土下座しようと試みる月さんに、何度も阻止する俺だ。
そう、これは事故だ。
いままで何度も一緒にライブをしてこんな事は起き無かった。
なら原因は最近の出来事に関係すると思う。
最近、月さんは雪那さんに合わせる形で飲酒を控えていた。
月さんがキス魔になったり、雪那さんが寝てしまうと俺が告げ口してしまったからだ。
そのため、月さんはキス魔になれなかった。
きっとストレス発散出来ていなかったのだ。
それでライブで酔った感じを酒と混同してしまい、たまたま目の前に居た俺に欲求を発散してしまったんだ。
元を辿れば俺のせいだ。
俺がキス魔の月さんに枷をしてしまった。
きっとそれが問題だったんだ。
「月さん、俺で良かったら、いつでもキスしてください」
「え! いいの!?」
「ライブ中に観客の前でやられるのは困りますが、それ以外で人目のつかないところでなら構いません」
背に腹は代えられない。
俺とのキスで月さんの欲求不満が解消されるなら願ってもない事である。
俺、多分、月さんとのキス好きだし。
「嫌だ、そんなキスフレみたいな関係。不潔だ!」
雪那さんは反対みたいだ。
「じゃあ雪那さんは月さんの欲求不満が募って変な店で遊んで週刊誌に撮られても良いって言うんですか?」
スキャンダルは困るだろう。
「タマは僕の事、そんな風に見てるんだ……」
月さんは自分の頭を押さえた。
「とにかく、月さんはキスしたくなったら俺の事か雪那さんを呼んでください。そして好きなだけチュチュして下さい。あと、月さんは禁酒しないで良いですよ」
雪那さんはともともそこまで酒が強い訳でも無かったので、酒を控えるのも良いと思うが、月さんはザルだし、アルコールとキスでストレス発散するタイプらしいので、もう、好きなだけ呑んでチュチュして欲しい。
翌日に引きずるタイプでもなく、キス魔になる以外は問題ない。
ライブ中に発散されるよりはマシである。
「本当!? じゃあ、早速みんなでライブの打ち上げ行こうか!」
「月、お前はもう少し反省しろよ!」
機嫌を直してくれた様子の月さんに、腕組みする雪那さんだ。
「月さんはウィスキーでも呑んで下さい。雪那さんは俺とカシスオレンジでも呑みましょう」
「えー僕だけ仲間かずれみたいで嫌だなぁ。僕もカシスオレンジにする!」
「タマ、本当に月を甘やかしすぎるな。コイツ、そのうち犯罪者になりかねない!」
意気揚々と、控室を出る月さんに後に続く俺と雪那さん。
雪那さんはすごく心配そうだ。
だが、どっちかと言えば月さんは酒を控えたりキスをさせない方が犯罪者になりそうで怖い。
失敗もなく、完璧だった。
雪那さんのギターパフォーマンスは素晴らしくカッコいいし、月さんの美声は女神の歌声と評されるに相応しくに心に響き渡る。
俺はそんな二人の音を一番近くで聞いて酔いしれつつ、ベースとコーラスで合わせる。
この時間が大好きだ。
そして、何よりも興奮する。
瞳を合わせた月さんも、頬を赤く染め、興奮している事が解る。
普段、澄ました顔の美形がこんな風にエロい顔をしてステージに立っているのは大丈夫なんだろうか。
これこそ18禁じゃなくて良いのか?
飛び散る汗がエロすぎる。
目が離せない。
月さんが、こちらに手を伸ばした。
あっと、思った瞬間には唇に柔らかく湿った感触が……
思わず月さんの肩を押す。
唇を離した月さんは、あきらかに気が動転していた。
半開きの口がエロい。
じゃなくて、どうしよう。
月さん、次の歌詞が出てこない。
頭が真っ白になってしまっている様子だ。
俺も何も思ったのか、兎に角、パフォーマンスだと誤魔化さなければの一心だった。
月さんの肩を掴み引き寄せ、今度は俺から唇を奪った。
これなら歌詞だ途切れてもキスしているから仕方ないと思わせられる。
背中を軽く叩いてから唇を離し、『大丈夫』と、耳元で囁いた。
すると、月さんもハッとして歌いだしてくれた。
そこからは何事も無かったかの様にライブは続き、アンコールまで無事に済ませてから控室に捌けた。
「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!!」
「やめてください! やめください! やめください!!」
月さんは控室に入るなり正座で土下座しようとしてくる。
慌ててこちらも正座になり月さん肩を掴んで土下座を阻止した。
「僕はなんて事を、勝手にもうキスしないって言ったのに、よりにもよってこんな所で、あああ!! ごめんなさい!!」
「事故です。事故でした。気にしないでください。土下座しようとしないでください!!」
何度も土下座しようと試みる月さんに、何度も阻止する俺だ。
そう、これは事故だ。
いままで何度も一緒にライブをしてこんな事は起き無かった。
なら原因は最近の出来事に関係すると思う。
最近、月さんは雪那さんに合わせる形で飲酒を控えていた。
月さんがキス魔になったり、雪那さんが寝てしまうと俺が告げ口してしまったからだ。
そのため、月さんはキス魔になれなかった。
きっとストレス発散出来ていなかったのだ。
それでライブで酔った感じを酒と混同してしまい、たまたま目の前に居た俺に欲求を発散してしまったんだ。
元を辿れば俺のせいだ。
俺がキス魔の月さんに枷をしてしまった。
きっとそれが問題だったんだ。
「月さん、俺で良かったら、いつでもキスしてください」
「え! いいの!?」
「ライブ中に観客の前でやられるのは困りますが、それ以外で人目のつかないところでなら構いません」
背に腹は代えられない。
俺とのキスで月さんの欲求不満が解消されるなら願ってもない事である。
俺、多分、月さんとのキス好きだし。
「嫌だ、そんなキスフレみたいな関係。不潔だ!」
雪那さんは反対みたいだ。
「じゃあ雪那さんは月さんの欲求不満が募って変な店で遊んで週刊誌に撮られても良いって言うんですか?」
スキャンダルは困るだろう。
「タマは僕の事、そんな風に見てるんだ……」
月さんは自分の頭を押さえた。
「とにかく、月さんはキスしたくなったら俺の事か雪那さんを呼んでください。そして好きなだけチュチュして下さい。あと、月さんは禁酒しないで良いですよ」
雪那さんはともともそこまで酒が強い訳でも無かったので、酒を控えるのも良いと思うが、月さんはザルだし、アルコールとキスでストレス発散するタイプらしいので、もう、好きなだけ呑んでチュチュして欲しい。
翌日に引きずるタイプでもなく、キス魔になる以外は問題ない。
ライブ中に発散されるよりはマシである。
「本当!? じゃあ、早速みんなでライブの打ち上げ行こうか!」
「月、お前はもう少し反省しろよ!」
機嫌を直してくれた様子の月さんに、腕組みする雪那さんだ。
「月さんはウィスキーでも呑んで下さい。雪那さんは俺とカシスオレンジでも呑みましょう」
「えー僕だけ仲間かずれみたいで嫌だなぁ。僕もカシスオレンジにする!」
「タマ、本当に月を甘やかしすぎるな。コイツ、そのうち犯罪者になりかねない!」
意気揚々と、控室を出る月さんに後に続く俺と雪那さん。
雪那さんはすごく心配そうだ。
だが、どっちかと言えば月さんは酒を控えたりキスをさせない方が犯罪者になりそうで怖い。
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