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嵐の前の静けさって本当に有るんだと思った。
雪月に囚われ過ぎていた事に気づいた俺は、SNSから距離を置いた。
もともと俺としては花蓮としてのSNSをやっていない。
有るのは柴犬だけだ。
柴犬の方では相変わらず雪月の落書きを上げたりしている。
雪月は雪月として、雪月花は雪月花として切り離し、楽しむ事にした。
自分自身ではちゃんと雪月をフィクションとして楽しんでいるつもりであったが、上手く切り分けられていなかった。
雪月は雪月、雪月花は雪月花。
それはそれとして、雪月を推し、二次創作する事は止められない。
止められないのだが……
ちゃんと切り離して楽しんでいるつもりなのだが……
『柴犬先生の月、最近雄々しすぎる』『リバは地雷です』『なんか、二人の性格違う』と、言われるようになった。
俺だって月さん美人に可愛く描きたいよ!
リバ地雷だよ!
どうも現実の月さんがバンド活動で表に出している様子と違ってカッコよすぎる事に引っ張られてしまう。
そして雪那さんは可愛い。
これは良く無い。
現実は現実、俺は雪月としてバンドしている二人のカプにハマった訳である。
切り離さなければ。
バンド活動で表に出してる雪月を書かなければならない。
描きたいのに……
何で月さんをガッチリとした巨根にしてしまうんだ。
あの日、温泉で目の当たりにした月さんの身体付きが本当に綺麗で。
美しく均等の取れた筋肉、そして、顔に似合わず立派なイチモツ。
それが頭から離れない。
アアア!!!
気づけば雪那さんを描いているつもりが、背を小さくし過ぎる。
眼鏡を描いてしまう。
受け顔にしてしまう。
ねぇ、コレ、月さんが攻めじゃん。
受け誰だよ。
モブじゃん!!
思ったように雪月が描けない。
ハッキリ言ってスランプだ。
雪月が描きたいよ。
ハァ~
溜息しか出ない。
ハァ~
あれ、誰かも溜息ついている。
「やぁ、タマ。今日も宜しく!」
「月さん雪那さん」
控室に入って来たのは月さんと雪那さん。
これからライブだ。
でも、雪那さん、ちょっと落ち込んでいる?
溜息は雪那さんぽい。
「雪那さん、どうしたんですか?」
「柴犬先生が雪月上げてくれないから心配してるんだよ」
しょんぼりした様子の雪那さんに代わって月さんが説明してくれた。
「あ、はい。ごめんなさい。スランプですね」
一枚絵は上げているけど。
やっぱり雪那さんから見てもあの彫刻の様な身体付きに描いてしまう月さんは地雷だろうか。
雪那さんもムキムキに描いているけど、駄目かな。
やっぱりリバに見えるの嫌だろうか。
「いや、良いんだ。雪月の美麗なイラスト一枚上げてくれるだけで俺のテンションはMAXだ。ただ何か最近、先生に毒コメ多いから先生が筆を折ってしまうんではないかと、気が気でなくて」
雪那さんはまた溜息を吐く。
そんなに柴犬を心配していたなんて。
ごめんなさい。
「スランプなだけです。本当に、コメント気にならないし、またそのうち描きまくるようになります」
「やっぱ雪月を描きすぎたんですよ。箸休めか必要なのかも! 原点回帰して竜と女神をやらないか?」
「竜と女神ですか?」
そういやぁ、最近また新しく作り直してリリースするとか話題になっていたっけ。
「そうですね。雪月はスランプですし、久しぶりにやってみましょうかね」
「やった! 安心だぁ!」
どうやら雪那さんも安心したし、問題解決だ。
「そろそろ時間だな」
「準備は良いですか?」
「僕の準備はいつでも整っているよ」
話が落ち着いた所でライブの開始時間も迫り、ステージ上へ移動する。
まさかこのステージでとんでもない事件が起こるとは夢にも思っていなかった。
雪月に囚われ過ぎていた事に気づいた俺は、SNSから距離を置いた。
もともと俺としては花蓮としてのSNSをやっていない。
有るのは柴犬だけだ。
柴犬の方では相変わらず雪月の落書きを上げたりしている。
雪月は雪月として、雪月花は雪月花として切り離し、楽しむ事にした。
自分自身ではちゃんと雪月をフィクションとして楽しんでいるつもりであったが、上手く切り分けられていなかった。
雪月は雪月、雪月花は雪月花。
それはそれとして、雪月を推し、二次創作する事は止められない。
止められないのだが……
ちゃんと切り離して楽しんでいるつもりなのだが……
『柴犬先生の月、最近雄々しすぎる』『リバは地雷です』『なんか、二人の性格違う』と、言われるようになった。
俺だって月さん美人に可愛く描きたいよ!
リバ地雷だよ!
どうも現実の月さんがバンド活動で表に出している様子と違ってカッコよすぎる事に引っ張られてしまう。
そして雪那さんは可愛い。
これは良く無い。
現実は現実、俺は雪月としてバンドしている二人のカプにハマった訳である。
切り離さなければ。
バンド活動で表に出してる雪月を書かなければならない。
描きたいのに……
何で月さんをガッチリとした巨根にしてしまうんだ。
あの日、温泉で目の当たりにした月さんの身体付きが本当に綺麗で。
美しく均等の取れた筋肉、そして、顔に似合わず立派なイチモツ。
それが頭から離れない。
アアア!!!
気づけば雪那さんを描いているつもりが、背を小さくし過ぎる。
眼鏡を描いてしまう。
受け顔にしてしまう。
ねぇ、コレ、月さんが攻めじゃん。
受け誰だよ。
モブじゃん!!
思ったように雪月が描けない。
ハッキリ言ってスランプだ。
雪月が描きたいよ。
ハァ~
溜息しか出ない。
ハァ~
あれ、誰かも溜息ついている。
「やぁ、タマ。今日も宜しく!」
「月さん雪那さん」
控室に入って来たのは月さんと雪那さん。
これからライブだ。
でも、雪那さん、ちょっと落ち込んでいる?
溜息は雪那さんぽい。
「雪那さん、どうしたんですか?」
「柴犬先生が雪月上げてくれないから心配してるんだよ」
しょんぼりした様子の雪那さんに代わって月さんが説明してくれた。
「あ、はい。ごめんなさい。スランプですね」
一枚絵は上げているけど。
やっぱり雪那さんから見てもあの彫刻の様な身体付きに描いてしまう月さんは地雷だろうか。
雪那さんもムキムキに描いているけど、駄目かな。
やっぱりリバに見えるの嫌だろうか。
「いや、良いんだ。雪月の美麗なイラスト一枚上げてくれるだけで俺のテンションはMAXだ。ただ何か最近、先生に毒コメ多いから先生が筆を折ってしまうんではないかと、気が気でなくて」
雪那さんはまた溜息を吐く。
そんなに柴犬を心配していたなんて。
ごめんなさい。
「スランプなだけです。本当に、コメント気にならないし、またそのうち描きまくるようになります」
「やっぱ雪月を描きすぎたんですよ。箸休めか必要なのかも! 原点回帰して竜と女神をやらないか?」
「竜と女神ですか?」
そういやぁ、最近また新しく作り直してリリースするとか話題になっていたっけ。
「そうですね。雪月はスランプですし、久しぶりにやってみましょうかね」
「やった! 安心だぁ!」
どうやら雪那さんも安心したし、問題解決だ。
「そろそろ時間だな」
「準備は良いですか?」
「僕の準備はいつでも整っているよ」
話が落ち着いた所でライブの開始時間も迫り、ステージ上へ移動する。
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