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81話
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調度、王族専用の風呂に着いた時であった。
「陛下ーー! 陛下ーー!」
近衛兵が一人駆け寄ってきた。
「何事だ!?」
慌てた様子の近衛兵に只事では無いと感じるハワード。
まさか敵襲か!?
「ルーランが吐きました! あのキノコの作用は惚れ薬だそうです」
「なに!?」
惚れ薬だと!?
ジュノは全く変化は無いが、今、ものすごく惚れっぽくなっていると言う事か!?
さっき、取り付く島もない様な態度を取られたばかりだが!?
「目覚めて一番初めに見た者に恋をしてしまう作用があるらしく、あのキノコは獲物を自分に惚れさせて繁殖するそうで……」
「ジュノが目覚めて一番初めに見たのは……」
俺だと思うんだが??
「他に何か作用は有りますか?」
ジュノは冷静に近衛兵に尋ねる。
「いえ、ルーランはジュノが自分に惚れたら良いと思ったと……」
「そうですか。特に問題も無い様ですし、厳重注意の元で解放してあげても良いのでは?」
ジュノは気にするでも無く、もうルーランを許す気らしい。
「待て待て、何を勝手な事を、ヤツに何の制裁も無く解放するのか? 王の執事に手を出したんだぞ!? 軽くても島流しにでもしてやらんと気が済まん」
「まぁ、未遂じゃないですか私が良く言って聞かせます」
「お前を会わせてなんてやれるか!」
ハハッと呑気に笑うジュノ。
これは魔王が心配するのも仕方ない。
本当に危機感の欠片も無い奴だ!
「ルーランはどうしたら良いですか?」
ジュノとハワードに別の事を言われ困る近衛兵。
「取り敢えず飯でも食わせて寝かせろ。尋問はもう良い。牢からは出すなよ」
ハワードはそう近衛兵に命じ、お風呂に向かうのだった。
どちらにしろ管理されている敷地内に危険な魔物を侵入させ、人を襲わせたのだ、それなりの処罰は必要である。
やっぱり島流しだな。
まだ風呂に入る積りは無かったのだが、流でお風呂に来てしまった。
まぁ、後から入るのも今入るのも変わらないから良いのだが。
「なぁ、ジュノも服を脱いで一緒に入らないか?」
「私は一人で入れます」
「俺だって一人で入れる。入れてくれないんだろうが!」
まるで俺が一人じゃお風呂に入れない子供みたいな言われようにムッとなるハワード。
あのキノコの作用はどうなっているんだ?
遅効性にしても遅効性すぎるだろう。
それに遅効性の意味が無い。
こう言う効能は即効性が大事だ。
「ジュノ、まだ俺の事好きにならないのか?」
「支離滅裂過ぎませんか。さぁ、お風呂に入りますよ」
ジュノはいつもの様に濡れても良い肌着になり、ハワードの手を引いてお風呂に向かうのだった。
きめ細やかな泡を立て、ハワードの体を念入りに洗うジュノ。
ジュノの手は気持ちいい。
「俺もジュノを洗いたい」
「駄目です」
「最近ちょっと生意気になった」
前は洗わせてくれたのに。
「何で俺の事好きにならないんだ?」
キノコの作用はどうなったんだ?
一番初めに見たのは俺の筈だよな?
じゃあ俺に惚れろよ。
「陛下ーー! 陛下ーー!」
近衛兵が一人駆け寄ってきた。
「何事だ!?」
慌てた様子の近衛兵に只事では無いと感じるハワード。
まさか敵襲か!?
「ルーランが吐きました! あのキノコの作用は惚れ薬だそうです」
「なに!?」
惚れ薬だと!?
ジュノは全く変化は無いが、今、ものすごく惚れっぽくなっていると言う事か!?
さっき、取り付く島もない様な態度を取られたばかりだが!?
「目覚めて一番初めに見た者に恋をしてしまう作用があるらしく、あのキノコは獲物を自分に惚れさせて繁殖するそうで……」
「ジュノが目覚めて一番初めに見たのは……」
俺だと思うんだが??
「他に何か作用は有りますか?」
ジュノは冷静に近衛兵に尋ねる。
「いえ、ルーランはジュノが自分に惚れたら良いと思ったと……」
「そうですか。特に問題も無い様ですし、厳重注意の元で解放してあげても良いのでは?」
ジュノは気にするでも無く、もうルーランを許す気らしい。
「待て待て、何を勝手な事を、ヤツに何の制裁も無く解放するのか? 王の執事に手を出したんだぞ!? 軽くても島流しにでもしてやらんと気が済まん」
「まぁ、未遂じゃないですか私が良く言って聞かせます」
「お前を会わせてなんてやれるか!」
ハハッと呑気に笑うジュノ。
これは魔王が心配するのも仕方ない。
本当に危機感の欠片も無い奴だ!
「ルーランはどうしたら良いですか?」
ジュノとハワードに別の事を言われ困る近衛兵。
「取り敢えず飯でも食わせて寝かせろ。尋問はもう良い。牢からは出すなよ」
ハワードはそう近衛兵に命じ、お風呂に向かうのだった。
どちらにしろ管理されている敷地内に危険な魔物を侵入させ、人を襲わせたのだ、それなりの処罰は必要である。
やっぱり島流しだな。
まだ風呂に入る積りは無かったのだが、流でお風呂に来てしまった。
まぁ、後から入るのも今入るのも変わらないから良いのだが。
「なぁ、ジュノも服を脱いで一緒に入らないか?」
「私は一人で入れます」
「俺だって一人で入れる。入れてくれないんだろうが!」
まるで俺が一人じゃお風呂に入れない子供みたいな言われようにムッとなるハワード。
あのキノコの作用はどうなっているんだ?
遅効性にしても遅効性すぎるだろう。
それに遅効性の意味が無い。
こう言う効能は即効性が大事だ。
「ジュノ、まだ俺の事好きにならないのか?」
「支離滅裂過ぎませんか。さぁ、お風呂に入りますよ」
ジュノはいつもの様に濡れても良い肌着になり、ハワードの手を引いてお風呂に向かうのだった。
きめ細やかな泡を立て、ハワードの体を念入りに洗うジュノ。
ジュノの手は気持ちいい。
「俺もジュノを洗いたい」
「駄目です」
「最近ちょっと生意気になった」
前は洗わせてくれたのに。
「何で俺の事好きにならないんだ?」
キノコの作用はどうなったんだ?
一番初めに見たのは俺の筈だよな?
じゃあ俺に惚れろよ。
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