【完結】ホットココアと笑顔と……異世界転移?

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74話 ※下ネタ

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 笑美から翠を取ってしまう様な形になってしまい、申し訳ないジュノであるが、仕方ないのだ。
 
 だって、陛下が……


 ハワードとジュノは笑美と翠から少し離れた所でキノコを取っていた。
 それもこれもハワードが向こうの方が沢山有りそうだとか何とか言ってジュノの手を引いたからである。
 あまり二人から離れるのは得策では無いとも思ったが、確かに翠にとっては危険な箇所も有る道だが、自分たちは最悪迷った所で城か魔王城にワープしたら良いだけなので、特別に危険が有るという訳でも無い。
 翠には魔王様が付いているし、少しぐらい離れても良いかなぁとジュノも思ったのだ。
 それにハワードとこうやって外で二人っきりになる事も珍しく、何だか楽しくも有った。

 暫く二人でキノコ取りを楽しんでいたが、ハワードに抱きしめられた。
 突然どうしたのかと驚くジュノ。
 何か危険でも有ったかと身構える。

「ジュノ、俺たちって恋人同士だよな?」 
「いえ、ただの主とその従者です。あ、今は無礼講ですか? でしたら友人になるんでしょうか?」

 急に何を言い出すのかと、ジュノは焦る。
 また自分が誘惑してしまったのだろうか?
 今日も眼鏡をかけているのに……
 最近、ハワードは事ある事に『自分達は恋人同士だろ?』『愛してるよ』『可愛い俺のジュノ』等と甘い声で囁いて来るのだが、ジュノにはたまったものでは無い。
 いい加減に目を覚まして頂きたい。

「恋人が二人っきりなんだぞ。キスぐらいしても良いんじゃないか?」
「キスは駄目です……」
「キスは駄目と言う事は別な事は良いんだな?」
「ちよっと、お尻を揉まなきで下さい!」

 ジュノは口の中が弱すぎてキスするだけで直ぐに達してしまう。
 だから嫌なのだが、尻を揉まれるのも困る。

「直ぐ側に魔王様と翠さんが居るんですよ!」

 そもそも二人っきりじゃない。
 森の中なので見えにくいが、ほんの50メートルも離れていない所に笑美と翠が居るのである。
 翠がはしゃいで「このキノコは食べられますか?」とか、言っているのがちょっと聞こえる。
 翠は何も考えていないのだろうが、このキノコは食べられますか? なんて、下手したら下ネタに聞こえるな、なんて思ってしまうジュノだ。

「大丈夫だろう。向こうも盛り上がってるんじゃないか? さっきから、このキノコは食べられますか? とか、取っても良いですか? 美味しそうとか言ってるぞ。絶対フェラチオさせてんだろ」
「絶対違います!! あれは素でキノコ取りを楽しんでるんです!」

 どうやら下ネタに聞こえたのは自分だけでは無かったようであるが、絶対に違う。
 そもそもフェラチオするなら魔王様の方だろう。
 セックスも知らない人にフェラチオするのもどうかしてるが、させてるのだったらジュノは笑美は心底軽蔑する。

「ジュノも俺のキノコ食べて?」
「こんな所で何を言ってるんですか、本当に止めて下さい!」

 飛んでもなく頭が湧いているらしいハワード。
 変に迫ってくる。

「じゃあ俺がジュノのキノコ食べても良い?」
「駄目です。もう、戻りましょう」

 どうやらキノコの催淫作用に当てられてしまったらしい。
 そろそろ飛ばす時間帯だったか。 
 失念していた。
 早く戻って、魔王様と翠さんも連れて場所を移らなくては。
 魔王様は大丈夫だろうが、翠さんは耐性が無い。

 ハッとしたジュノはハワードを振り切って翠と笑美の側まで引き返したのだった。

 
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