【完結】ホットココアと笑顔と……異世界転移？

70話

　サワヤカ山ハイキングの日。
　
　よく晴れ渡り雲ひとつ無い良い天気になってくれた。
　笑美は早起きしてお弁当を作ったり、荷物の準備をしたりしていた。
　しばらくすると翠も起きて来くる。
　顔を洗って歯磨きをしてからリビングに顔を出した。

「朝ごはん食べてくださいね」

　笑美はお洒落な朝ごはんをワンプレートに乗せて出す。
　翠はまだ眠そうな顔をしていた。
　昨夜、がっつき過ぎてしまっただろうか。
　4日に一回のフェラの日だったのだ。
　笑美はお腹いっぱい飲めて幸せであったが、翠を寝不足にしてしまったのなら申し訳ない。
　今日はホットココアでは無く、目覚ましに珈琲を入れてあげた。



　ハワードとジュノが迎えに来る頃になると、翠は目も確り覚めたらしい。

　何度も荷物の確認をしていた。

「テッシュ、ハンカチ、薬草……　小鳥ちゃんはお留守番ですよ」

　翠に懐いている小鳥が側を行ったり来たりしながら翠の胸ポケットに入ろうとしたりして、翠に出されている。
　何だか微笑ましい光景である。
　翠の持ち物はテッシュとハンカチと念の為の薬草だけである。
　もう十分確認しているので、安心して欲しい。　
　万が一忘れても問題は無い様な物だ。

「栗拾いやキノコを取っても良いのでしょうか？　袋は要りませんか？」
「拾ったり取ったりしても良いですし、袋は私が持ってますよ」
「俺も持ちたいです！」
「そうですねぇ……」

　折角のハイキングであるし、リュックぐらい持たせて上げたほうが雰囲気も出るだろうか。
　笑美は小さいサイズのリュックを翠に持たせた。
　サイズは小さいが象が3頭は入るサイズである。
　重く成らず、沢山入る良いリュックだ。


「おーい、そろそろ出るぞー」

　約束した時間になり、玄関でハワードが呼んでいる。

「はーい、今行きます」

　笑美は返事をし、翠の手を取ると玄関に向かうのだった。