【完結】ホットココアと笑顔と……異世界転移?

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69話

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 ジュノはフフフと微笑んで翠の成長を褒めた。
 何せ、人見知りをするのかお客さんにも無愛想だった翠である。
 だが最後の方は常連を覚えてお礼を言ったり、服装を褒めたり、何でも無い日常会話なんかをしたりしてお客さんにもマスコットキャラみたいな可愛がられかたをしていた。
 こっちの世界では翠の身長は低い方で、子供っぽく見えたのだろう。
 目付きは悪いが、小さい子に睨まれても怖くも無いので可愛い可愛い言われていた。

 翠さんが可愛いのは私だけが知ってれば良い事にだったんですけどね……

 笑美はちょっと面白く無かったりもした。

「こっちの世界でも紅葉が有るんですね。俺、ずっと都会に居て季節とか感じた事ないんです。キノコも出ますか? 紅葉を見たり栗拾いとか憧れます。サワヤカ山は遠いですか?」

 翠は紅葉に胸が高鳴る様だ。

「サワヤカ山なら危険も少ないハイキングに適した山ですし、すぐ側なので、今度サンドイッチでも持って散策に行きましょう」

 笑美はここぞとばかりに誘う。
 最近、翠とは少し距離が出来てしまった気がする。
 4日に一回のフェラはさせてくれるし、ココアを飲んで喜んでもくれるのだが、時々寂しそうな雰囲気も感じるし、自分を不審がっている。
 自分はジュノの代わりなのだと思っているのだろう。
 否定しても信じられない様であるし、話題でも無いのしつこく言っては余計に怪しませそうだ。
 ずっと変な壁が有る。
 早く誤解を解いて、もっと近づきたいのだけど……

「ハイキングなんて俺、初めてですジュノさんとハワードも一緒に行きまょう!」

 え!?
 二人で過ごしたくて誘ったと言うのに、笑美の考え等解らない翠はジュノとハワードを誘ってしまう。
 何せツルむのは悪い奴らばかりで友達も居なかった翠、ジュノとハワードは初めて出来た友達のようなものなのだ。
 友達を遊びに誘った様な感覚である。
 笑美はデートの積もりだったのに、残念である。

「そうですね、少し気晴らしに行きますか?」
「そうだな。鷹狩や接待でも無くハイキングに行くなんて俺も初めてかも知れない」
「私もハイキングなんて初めてですね」

 どうやらジュノとハワードもハイキングは初めてらしい。

「皆で初めてのハイキングですね」

 翠はすごく楽しそうのである。

 まぁ、二人っきりでは無くなってしまったが、翠が楽しそうなら良いかと、なる笑美であった。


 ジュノと笑美で良い日取りを決める。
 一週間先ぐらいまではある程度天気の予報が可能な笑美。
 エルフのノエルに確かめた方が確実だが……

 サワヤカ山は標高も低いし、天気がそうそう変わる事も無いだろう。
 多分大丈夫だ。
 天気よ良さそうな日に、ハイキングの日を決めるのだった。
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