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66話
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ホットココアを入れて翠に渡す笑美。
なんだか複雑そうな表情をしている。
感情を読んでも複雑な感情をしていた。
なんだか気まずい……
「そういえば自己紹介がまだでした。魔物全般のヒール担当のノエルです。貴方は?」
ノエルは笑美に入れて貰ったホットココアを飲みながら、翠に話しかける。
「俺は本条翠です…… えっと、人間全般から見てゴミです」
「ゴミじゃないです! チリに埋もれてた宝石です!」
自分をゴミたと称する翠に力一杯否定する笑美だ。
「魔王様と翠さんの出会いとか教えて下さいよ」
ノエルはグイグイ聞いて行く。
ノエルは魔物の中でも稀に見る恋バナ大好きエルフだ。
恋バナが3度の飯より大好きである。
さぁ、早く恋バナ聞かせろ! だ。
「えっと、笑美さん…… 俺が勝手に付けた魔王様の名前なんですけど……」
「まぁ、エミと名前を付けたんですね。可愛いですね!」
本名はオリバーだった気がするが。
まぁ、エミの方が呼びやすいし良いね。
「その笑美さんが俺の世界の路地裏で喫茶店しまして、そこの常連だったんです。そこにハワードが笑美さんを連れ戻しに来たんですけど、巻き込まれる形でこっちの世界に来てしまって、それで笑美さんが俺の面倒見てくれています。俺は笑美さんの入れるホットココアが好きで、笑美さんは俺の出す精液が好きなのでWin-Winです」
「なるほど、魔王様は翠さんの出すホットミルクが大好物と」
フフっと思わず下ネタを言ってしまうノエルだ。
「何度も言いますが、私は翠さんの精液が好きで側に置いている訳では無いんですからね」
なんだか、それでは自分が翠を餌として側に置いているみたいで嫌な笑美。
即座に訂正する。
「確かに精液も美味しですけど、笑顔も好きですし、側に居てくれると心が休まりますし、翠さんを好ましく思うので側に居てくれると本当に嬉しいです。こんなに私を楽しませてくれるのは翠さんだけですよ」
そう言って、翠に微笑む笑美。
「……ジュノさんの代わりではなくてですか?」
ちょっとムスッとしている翠。
「え? ジュリー、とは全然違います! 確かにジュリーは可愛いですし、私を楽しませてくれて、孤独を埋めてくれましたけど。でも、そう言うのじゃなくて……」
可愛いの意味合だって、ジュリーは弟的なもので、そう言う可愛さである。
楽しませてくれるのだって、孤独を埋めてくれるこだって家族的な意味合いで……
でも、そうか、翠さん家族が居ないんだ。
どうやって説明して良いのか解らなくなってしまう笑美。
「人間で、お腹を満たせてくれる違いが有りますね」
「いえ、ですから翠さんの精液が欲しい訳では無くて……」
翠は凄く不機嫌そうだ。
話しの流れがおかしい。不穏すぎる。
何でこんな事になっているんだ?
笑美はチラリとノエルを見て助けを求めた。
しかし、ノエルは笑顔で自分で頑張れと、言う表情をしていた。
さっきは饒舌にハワードに助け舟を出してあげてましたよね?
何故私は放置なんですかノエル!?
「ジュノが起きた」
「ご心配をおかけしました……」
重い空気を割くように、リビングに入って来たのはハワードとジュノである。
笑美には丁度良いタイミングであった。
「ジュリー!」
直ぐにジュノの元へ駆け寄り抱きしめてしまったが、ハッと翠を見てしまう笑美。
視線が怖くて直ぐに離れる。
「良かった、専門外ですし、本当は半信半疑だったんですが」
フフフと笑って見せるノエル。
「ノエル先生!? お久しぶりです」
わぁ! と、顔を明るくするジュノ。
ジュノにとってノエルは博識で色々教えてくれる上に病気や怪我まで治してくれる先生だった。
「ジュリーおはよう。元気になって良かったですね」
ノエルは手を握ってジュノの様子を伺う。
まだ少し不安そうであるが、体調的にはすこぶる良さそうだ。
顔色も良いし、もう大丈夫だろう。
「えっと、ホットココアでも飲みますか?」
笑美は取り敢えず全員ぶんのホットココアを入れるのだった。
なんだか複雑そうな表情をしている。
感情を読んでも複雑な感情をしていた。
なんだか気まずい……
「そういえば自己紹介がまだでした。魔物全般のヒール担当のノエルです。貴方は?」
ノエルは笑美に入れて貰ったホットココアを飲みながら、翠に話しかける。
「俺は本条翠です…… えっと、人間全般から見てゴミです」
「ゴミじゃないです! チリに埋もれてた宝石です!」
自分をゴミたと称する翠に力一杯否定する笑美だ。
「魔王様と翠さんの出会いとか教えて下さいよ」
ノエルはグイグイ聞いて行く。
ノエルは魔物の中でも稀に見る恋バナ大好きエルフだ。
恋バナが3度の飯より大好きである。
さぁ、早く恋バナ聞かせろ! だ。
「えっと、笑美さん…… 俺が勝手に付けた魔王様の名前なんですけど……」
「まぁ、エミと名前を付けたんですね。可愛いですね!」
本名はオリバーだった気がするが。
まぁ、エミの方が呼びやすいし良いね。
「その笑美さんが俺の世界の路地裏で喫茶店しまして、そこの常連だったんです。そこにハワードが笑美さんを連れ戻しに来たんですけど、巻き込まれる形でこっちの世界に来てしまって、それで笑美さんが俺の面倒見てくれています。俺は笑美さんの入れるホットココアが好きで、笑美さんは俺の出す精液が好きなのでWin-Winです」
「なるほど、魔王様は翠さんの出すホットミルクが大好物と」
フフっと思わず下ネタを言ってしまうノエルだ。
「何度も言いますが、私は翠さんの精液が好きで側に置いている訳では無いんですからね」
なんだか、それでは自分が翠を餌として側に置いているみたいで嫌な笑美。
即座に訂正する。
「確かに精液も美味しですけど、笑顔も好きですし、側に居てくれると心が休まりますし、翠さんを好ましく思うので側に居てくれると本当に嬉しいです。こんなに私を楽しませてくれるのは翠さんだけですよ」
そう言って、翠に微笑む笑美。
「……ジュノさんの代わりではなくてですか?」
ちょっとムスッとしている翠。
「え? ジュリー、とは全然違います! 確かにジュリーは可愛いですし、私を楽しませてくれて、孤独を埋めてくれましたけど。でも、そう言うのじゃなくて……」
可愛いの意味合だって、ジュリーは弟的なもので、そう言う可愛さである。
楽しませてくれるのだって、孤独を埋めてくれるこだって家族的な意味合いで……
でも、そうか、翠さん家族が居ないんだ。
どうやって説明して良いのか解らなくなってしまう笑美。
「人間で、お腹を満たせてくれる違いが有りますね」
「いえ、ですから翠さんの精液が欲しい訳では無くて……」
翠は凄く不機嫌そうだ。
話しの流れがおかしい。不穏すぎる。
何でこんな事になっているんだ?
笑美はチラリとノエルを見て助けを求めた。
しかし、ノエルは笑顔で自分で頑張れと、言う表情をしていた。
さっきは饒舌にハワードに助け舟を出してあげてましたよね?
何故私は放置なんですかノエル!?
「ジュノが起きた」
「ご心配をおかけしました……」
重い空気を割くように、リビングに入って来たのはハワードとジュノである。
笑美には丁度良いタイミングであった。
「ジュリー!」
直ぐにジュノの元へ駆け寄り抱きしめてしまったが、ハッと翠を見てしまう笑美。
視線が怖くて直ぐに離れる。
「良かった、専門外ですし、本当は半信半疑だったんですが」
フフフと笑って見せるノエル。
「ノエル先生!? お久しぶりです」
わぁ! と、顔を明るくするジュノ。
ジュノにとってノエルは博識で色々教えてくれる上に病気や怪我まで治してくれる先生だった。
「ジュリーおはよう。元気になって良かったですね」
ノエルは手を握ってジュノの様子を伺う。
まだ少し不安そうであるが、体調的にはすこぶる良さそうだ。
顔色も良いし、もう大丈夫だろう。
「えっと、ホットココアでも飲みますか?」
笑美は取り敢えず全員ぶんのホットココアを入れるのだった。
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