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64話
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ハワードとジュノを部屋に残したノエルは笑美と翠を連れてリビングまで来た。
笑美は納得してない表情で珍しくピリピリしている。
魔王様はジュリーの事になると本当に周りが見えなくなってしまうのだから
ノエルは思わず溜息を吐く。
ノエルは、ジュノが城に居た頃、笑美の相談に色々と乗ったりしていた。
笑美はジュノが少し熱を出しただけで血相を変えて飛んできたりしたものだ。
ジュノは吸血鬼なのだからちょっと熱を出したぐらいは2、3時間もすればケロリとするのだが、ノエルが何度言っても飛んで来てしまうのだ。
ジュノは笑美の唯一の親友である吸血鬼の子供だった。
ジュノの父親は吸血鬼の血が濃く、うっかり吸血すると失血するまで飲んでしまったり、少しの日光も駄目だった。
直ぐに火傷してしまう程だ。
あまりにも日光が駄目になってしまったと共に、自分はいつか人を殺してしまうのでは無いかと恐れたジュノの父親は自ら魔王城の地下に籠もる事にしたのだ。
今も魔王城の地下で凶悪な魔物達と共に居る。
ジュノの父親は生まれたばかりの幼子を魔王様に預けた。
ジュノは日光も平気であるし、人の血を失血するまで飲んでしまうような事も無さそうで有った為、自分では育てられないと思ったのだ。
ジュノの母親は人間であった為に、ジュノを育てる事は出来無い。
そこで信賴できる親友である笑美に預けたのだ。
親友から預かったジュノを笑美は目に入れても痛くない程に可愛がっていて、自分の命よりジュノが大事だと思う程、それはそれは箱入りに育てた。
だがジュノは吸血鬼、人の血を栄養にする悪魔である。
百歳にもなれば、魔王城で暮らすより人間の街で人間から血を分けてもらって過ごす方が生きやすい筈であった。
その為に人間達と暮らせる様な知識やマナー、その他諸々を笑美は教えていたし、ジュノは物覚えも良く器用であった。
独り立ちさせても問題無い程であったが、なかなか笑美は手放せずにいた。
このまま側に置いてもジュノはお腹が空くだろうし、魔族の性質として親元にずっと居るなんて事は無く、このままだと家出同然で出ていってしまうとノエルが忠告した程だった。
笑美は自分の所有物である証であるピアスに追跡機能までつけて、泣く泣く送り出した。
勿論、笑美はジュノを独占したかった訳でも自分の所有物だと思っていた訳ではなく、一重にジュノの安全の為であった。
魔族ならそのピアスを見れば魔王様の眷属だと直ぐ判断出来る。
ジュノが魔族に襲われない為の言わば虫除けである。
眼鏡で容姿を地味な色にしたのもそれだ。
だが魔族の性質上、本当に本能的に親離れするので、当たり前なのだがジュノは追跡機能が着いた魔王様のピアスを嫌がり川に捨てた。
まぁ、そうなるだろうなぁとノエルは思っていた。
そしたら笑美は泣きながらジュリーが心配でもう胸が張り裂けそうだ。助けてくださいなんて情けない事を言ってノエルにヒールを頼んで来た。
それは本当に専門外なのでどうにも出来ませんよとノエルが伝えたら、ならばもういっそジュリーの事は忘れる!
なんて言って、自分の記憶の中からジュノとの記憶をごっそり切り落としてしまったのだ。
本当に魔王様は激情家ですよね。
何でもかんでも振り切りすぎです。
笑美は納得してない表情で珍しくピリピリしている。
魔王様はジュリーの事になると本当に周りが見えなくなってしまうのだから
ノエルは思わず溜息を吐く。
ノエルは、ジュノが城に居た頃、笑美の相談に色々と乗ったりしていた。
笑美はジュノが少し熱を出しただけで血相を変えて飛んできたりしたものだ。
ジュノは吸血鬼なのだからちょっと熱を出したぐらいは2、3時間もすればケロリとするのだが、ノエルが何度言っても飛んで来てしまうのだ。
ジュノは笑美の唯一の親友である吸血鬼の子供だった。
ジュノの父親は吸血鬼の血が濃く、うっかり吸血すると失血するまで飲んでしまったり、少しの日光も駄目だった。
直ぐに火傷してしまう程だ。
あまりにも日光が駄目になってしまったと共に、自分はいつか人を殺してしまうのでは無いかと恐れたジュノの父親は自ら魔王城の地下に籠もる事にしたのだ。
今も魔王城の地下で凶悪な魔物達と共に居る。
ジュノの父親は生まれたばかりの幼子を魔王様に預けた。
ジュノは日光も平気であるし、人の血を失血するまで飲んでしまうような事も無さそうで有った為、自分では育てられないと思ったのだ。
ジュノの母親は人間であった為に、ジュノを育てる事は出来無い。
そこで信賴できる親友である笑美に預けたのだ。
親友から預かったジュノを笑美は目に入れても痛くない程に可愛がっていて、自分の命よりジュノが大事だと思う程、それはそれは箱入りに育てた。
だがジュノは吸血鬼、人の血を栄養にする悪魔である。
百歳にもなれば、魔王城で暮らすより人間の街で人間から血を分けてもらって過ごす方が生きやすい筈であった。
その為に人間達と暮らせる様な知識やマナー、その他諸々を笑美は教えていたし、ジュノは物覚えも良く器用であった。
独り立ちさせても問題無い程であったが、なかなか笑美は手放せずにいた。
このまま側に置いてもジュノはお腹が空くだろうし、魔族の性質として親元にずっと居るなんて事は無く、このままだと家出同然で出ていってしまうとノエルが忠告した程だった。
笑美は自分の所有物である証であるピアスに追跡機能までつけて、泣く泣く送り出した。
勿論、笑美はジュノを独占したかった訳でも自分の所有物だと思っていた訳ではなく、一重にジュノの安全の為であった。
魔族ならそのピアスを見れば魔王様の眷属だと直ぐ判断出来る。
ジュノが魔族に襲われない為の言わば虫除けである。
眼鏡で容姿を地味な色にしたのもそれだ。
だが魔族の性質上、本当に本能的に親離れするので、当たり前なのだがジュノは追跡機能が着いた魔王様のピアスを嫌がり川に捨てた。
まぁ、そうなるだろうなぁとノエルは思っていた。
そしたら笑美は泣きながらジュリーが心配でもう胸が張り裂けそうだ。助けてくださいなんて情けない事を言ってノエルにヒールを頼んで来た。
それは本当に専門外なのでどうにも出来ませんよとノエルが伝えたら、ならばもういっそジュリーの事は忘れる!
なんて言って、自分の記憶の中からジュノとの記憶をごっそり切り落としてしまったのだ。
本当に魔王様は激情家ですよね。
何でもかんでも振り切りすぎです。
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