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61話
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恐らくハワードと言う彼は勇者だった。それで魔王様を倒し来たのだ。
そしてこの魔王様は本当に魔族最強であるが、人間が大好きな寂しがやである。
おもてなししたに違いない。
ここまでいくつもの死線を越えて来たであろう勇者には吊り橋効果的な事がおきたに違いない。
それに魔王様はこの美しさだ。
先ず見た者は彼に恋したと勘違いするのは仕方ないだろう。
もう本当に魔性なのだこの美しい魔王は。
それは夢魔の血のせいも有るかもしれないが。
兎に角、無意識に人を誑かす。
ハワードさんは殆ど蜘蛛の巣にかかった蝶の様なもので、しかも蜘蛛的に食べる気もないのでそのままにされた可哀想な蝶々である。
その点、部屋の端で疎外感に不安そうな表情をしている翠さんとやらは食べられそけど。
兎に角、誤解なのだ。
「誤解なものですか! こんな軽薄な男がジュリーを愛してる等、私は認めません! どうせ直ぐにジュリーを捨てるに決まってます!」
笑美は顔を真っ赤にして怒鳴る。
「俺は本当にジュノが大事で、愛してあるんだ。捨てたりするもんか! ずっと俺の側に縛りつける」
ハワードも自分の愛を否定され、腹がたった。
ジュノもだ。
誰も俺の気持ちを信じてくれない!
「はぁ? ジュリーが好きだと言いながら乱暴に抱いたのでしょう! こんなになってるんですよ。本当に愛していたら初めてからこんなバコバコする訳ないでしょ! 自分が気持ちよくなればそれで良いんだ。ジュリーの事なんて何も考えて無いくせに! このスケコマシ!」
「それは……」
笑美の言葉に苦虫を噛み潰したような顔になるハワード。
言い返せない。
そうだ、ジュノが大事だと言いながら、一方的な思いを押し付けて、ジュノの返事等聞かずに抱いたのだ。
俺はジュノを大事で愛おしいと思いなが、本能に負けて抱き潰してしまった。
ジュノを苦しめてしまった。
「魔王様は黙ってて下さい」
ノエルは笑美を押し退ける。
「ハワードさんはジュリーを愛している。そうですね? 大丈夫です。自信を持ってください。半分は確かにジュリーのフェロモンに充てられた所も有る様ですが、ちゃんと本心でジュリーを愛しています」
ハワードを見つめ、そう言うと微笑む。
「はい、私はジュノを愛してます」
ハワードもノエルには素直に返事が出来た。
初めて信じて貰え、認めて貰えた事にホッとしたのかも知れない。
「解ります。貴方の強い気持ち。心に嘘も無ければ迷いも無い。貴方はジュリーを一途に愛しています」
そう、ノエルはハワードの言葉を信じていた。
気持ちも真っすぐで、疑いようは無いと確信している。
「……ジュノはどうしたら目を覚ましてくれますか? 私が愛してしまったのがいけなかったのですか? ジュノを魔王に返せば良いのでしょうか?」
優しく話しかけられ、ハワードは堰を切ったようにポロボロ涙を流した。
自分のが気持ちを伝えなければ良かったのだろうか。
夜伽等命じて無理矢理欲しがったりしなければ、ずっと側に居てくれたのだろうか。
こんな風にならなかったのか。
俺は、ジュノが俺の側で笑ってくれているならそれで良かったのに、何故こんな事をしてしまったんだ。
そう後悔していた。
「ジュリーが目覚める為に何でもしてくれますか?」
「勿論です、何でもします」
「そうですか……」
ハワードはノエルを縋るように見つめた。
本当に何でもする。
ジュノが目覚めてくれるならば、俺の側に居てくれなくても我慢する!
本当は側に置いておきたい無理矢理にも監禁してでも。
だれど寝ているジュノを側に置いても虚しいだけ。
それならいっそ……
「では、ジュリーをいかに愛しているかを耳元で語って、口づけしてください」
「……え?」
笑顔で言うノエルに聞き間違いかと思うハワード。
「ジュリーは不安なんですよ。目覚めた時に貴方に何と言われるか。気持ち悪がられるかも知れない思っているのでしょう。貴方に拒絶されると思っている。怖くて目覚められないでいます。なので安心させてあげてください」
ノエルはそう言ってハワードの肩を叩くと、不満げに今にも何かを叫び散らしそうな笑美と戸口でオロオロしている翠の腕を掴んで部屋の外にでるのだった。
そういうのは二人っきりにさせてあげるものだ。
そしてこの魔王様は本当に魔族最強であるが、人間が大好きな寂しがやである。
おもてなししたに違いない。
ここまでいくつもの死線を越えて来たであろう勇者には吊り橋効果的な事がおきたに違いない。
それに魔王様はこの美しさだ。
先ず見た者は彼に恋したと勘違いするのは仕方ないだろう。
もう本当に魔性なのだこの美しい魔王は。
それは夢魔の血のせいも有るかもしれないが。
兎に角、無意識に人を誑かす。
ハワードさんは殆ど蜘蛛の巣にかかった蝶の様なもので、しかも蜘蛛的に食べる気もないのでそのままにされた可哀想な蝶々である。
その点、部屋の端で疎外感に不安そうな表情をしている翠さんとやらは食べられそけど。
兎に角、誤解なのだ。
「誤解なものですか! こんな軽薄な男がジュリーを愛してる等、私は認めません! どうせ直ぐにジュリーを捨てるに決まってます!」
笑美は顔を真っ赤にして怒鳴る。
「俺は本当にジュノが大事で、愛してあるんだ。捨てたりするもんか! ずっと俺の側に縛りつける」
ハワードも自分の愛を否定され、腹がたった。
ジュノもだ。
誰も俺の気持ちを信じてくれない!
「はぁ? ジュリーが好きだと言いながら乱暴に抱いたのでしょう! こんなになってるんですよ。本当に愛していたら初めてからこんなバコバコする訳ないでしょ! 自分が気持ちよくなればそれで良いんだ。ジュリーの事なんて何も考えて無いくせに! このスケコマシ!」
「それは……」
笑美の言葉に苦虫を噛み潰したような顔になるハワード。
言い返せない。
そうだ、ジュノが大事だと言いながら、一方的な思いを押し付けて、ジュノの返事等聞かずに抱いたのだ。
俺はジュノを大事で愛おしいと思いなが、本能に負けて抱き潰してしまった。
ジュノを苦しめてしまった。
「魔王様は黙ってて下さい」
ノエルは笑美を押し退ける。
「ハワードさんはジュリーを愛している。そうですね? 大丈夫です。自信を持ってください。半分は確かにジュリーのフェロモンに充てられた所も有る様ですが、ちゃんと本心でジュリーを愛しています」
ハワードを見つめ、そう言うと微笑む。
「はい、私はジュノを愛してます」
ハワードもノエルには素直に返事が出来た。
初めて信じて貰え、認めて貰えた事にホッとしたのかも知れない。
「解ります。貴方の強い気持ち。心に嘘も無ければ迷いも無い。貴方はジュリーを一途に愛しています」
そう、ノエルはハワードの言葉を信じていた。
気持ちも真っすぐで、疑いようは無いと確信している。
「……ジュノはどうしたら目を覚ましてくれますか? 私が愛してしまったのがいけなかったのですか? ジュノを魔王に返せば良いのでしょうか?」
優しく話しかけられ、ハワードは堰を切ったようにポロボロ涙を流した。
自分のが気持ちを伝えなければ良かったのだろうか。
夜伽等命じて無理矢理欲しがったりしなければ、ずっと側に居てくれたのだろうか。
こんな風にならなかったのか。
俺は、ジュノが俺の側で笑ってくれているならそれで良かったのに、何故こんな事をしてしまったんだ。
そう後悔していた。
「ジュリーが目覚める為に何でもしてくれますか?」
「勿論です、何でもします」
「そうですか……」
ハワードはノエルを縋るように見つめた。
本当に何でもする。
ジュノが目覚めてくれるならば、俺の側に居てくれなくても我慢する!
本当は側に置いておきたい無理矢理にも監禁してでも。
だれど寝ているジュノを側に置いても虚しいだけ。
それならいっそ……
「では、ジュリーをいかに愛しているかを耳元で語って、口づけしてください」
「……え?」
笑顔で言うノエルに聞き間違いかと思うハワード。
「ジュリーは不安なんですよ。目覚めた時に貴方に何と言われるか。気持ち悪がられるかも知れない思っているのでしょう。貴方に拒絶されると思っている。怖くて目覚められないでいます。なので安心させてあげてください」
ノエルはそう言ってハワードの肩を叩くと、不満げに今にも何かを叫び散らしそうな笑美と戸口でオロオロしている翠の腕を掴んで部屋の外にでるのだった。
そういうのは二人っきりにさせてあげるものだ。
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