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生徒会室にキャメリアを連れ込んだアンリーヌ。
今日は活動がある日では無く、他の役員は居なかった。
キャメリアは空いた時間は基本的には生徒会室に居て、生徒の相談に乗ったりしているので、誰かしら来る可能性は有ったが、『会談中』の札をかけておけば、ある程度の人払いは出来る。
「アンリーヌ様、えっと、私、ごめんなさい」
キャメリアは恐怖でプルプル震え、涙目だ。
何だかよく解らないが怒っているので謝らなきゃと思ってそうである。
可哀想だけど……
私は悪役令嬢。
「キャメリアさんはどう言うつもりで王子と親しくなさってるんですか?」
アンリーヌは高圧的に問いかける。
先ずは彼女の気持ちを確かめなければ。
「申し訳有りません、私、王子と一緒に過ごす時間が楽しくて….」
「王子は私の婚約者ですのよ? 貴方知ってて?」
「知っております。決してやましい気持ち等無くて、ただ王子と話せる事が嬉しくて、ごめんなさいアンリーヌ様」
泣きながら、正座をして頭を下げるキャメリア。
嗚呼、やっぱり可哀想だわ。
でも、ここは厳しく行かないと。
私、悪役令嬢なんだもの!
悪役令嬢は多分、ヒロインと攻略対象を盛り上げるスパイス役。
大事な役どころなんだから。
「謝らなくて良いわ。ただ少し礼儀がなってないんじゃなくて? 私がマナーを教えて差し上げますわ。先ず、婚約者の居る男性に無闇に近づかない事よ。見方によってはふしだらな女と思われても仕方ない事だわ」
「私、知らなくて……」
「知らなかったわ言い訳には成らないのよ。良い? 先ず、王子に近づくには目が合うまで待つの。王子が此方を見たら頭を下げる。王子から何か挨拶をされたら会話しても良い合図になるわ。頻度も三日に一度程度にとどめなさい」
「わ、解りました」
「解ったのなら良いわ。もう昼休みも終わるわね。時間を取らせたわ。戻って良くてよ」
出来るだけ高圧的で傲慢ぽく言ってみたが、悪役令嬢ぽかったかしら?
アンリーヌは生徒会室からキャメリアを出すと、見送る。
怖がらせてしまって申し訳ないが、かと言って『私は悪役令嬢なので貴女を虐めるわね』なんて伝えても意味が解らないだろうし、悪役が私は悪役ですなんて伝える程滑稽なものもない。
上手く出来ているか解らないが、悪役令嬢を演じつつ、キャメリアさんにはマナーを身に着けて頂く他無いわ。
今日は活動がある日では無く、他の役員は居なかった。
キャメリアは空いた時間は基本的には生徒会室に居て、生徒の相談に乗ったりしているので、誰かしら来る可能性は有ったが、『会談中』の札をかけておけば、ある程度の人払いは出来る。
「アンリーヌ様、えっと、私、ごめんなさい」
キャメリアは恐怖でプルプル震え、涙目だ。
何だかよく解らないが怒っているので謝らなきゃと思ってそうである。
可哀想だけど……
私は悪役令嬢。
「キャメリアさんはどう言うつもりで王子と親しくなさってるんですか?」
アンリーヌは高圧的に問いかける。
先ずは彼女の気持ちを確かめなければ。
「申し訳有りません、私、王子と一緒に過ごす時間が楽しくて….」
「王子は私の婚約者ですのよ? 貴方知ってて?」
「知っております。決してやましい気持ち等無くて、ただ王子と話せる事が嬉しくて、ごめんなさいアンリーヌ様」
泣きながら、正座をして頭を下げるキャメリア。
嗚呼、やっぱり可哀想だわ。
でも、ここは厳しく行かないと。
私、悪役令嬢なんだもの!
悪役令嬢は多分、ヒロインと攻略対象を盛り上げるスパイス役。
大事な役どころなんだから。
「謝らなくて良いわ。ただ少し礼儀がなってないんじゃなくて? 私がマナーを教えて差し上げますわ。先ず、婚約者の居る男性に無闇に近づかない事よ。見方によってはふしだらな女と思われても仕方ない事だわ」
「私、知らなくて……」
「知らなかったわ言い訳には成らないのよ。良い? 先ず、王子に近づくには目が合うまで待つの。王子が此方を見たら頭を下げる。王子から何か挨拶をされたら会話しても良い合図になるわ。頻度も三日に一度程度にとどめなさい」
「わ、解りました」
「解ったのなら良いわ。もう昼休みも終わるわね。時間を取らせたわ。戻って良くてよ」
出来るだけ高圧的で傲慢ぽく言ってみたが、悪役令嬢ぽかったかしら?
アンリーヌは生徒会室からキャメリアを出すと、見送る。
怖がらせてしまって申し訳ないが、かと言って『私は悪役令嬢なので貴女を虐めるわね』なんて伝えても意味が解らないだろうし、悪役が私は悪役ですなんて伝える程滑稽なものもない。
上手く出来ているか解らないが、悪役令嬢を演じつつ、キャメリアさんにはマナーを身に着けて頂く他無いわ。
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