悪役令嬢だったので、役どころを全うしようと思います

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3話

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 ジェレーノはアンリーヌが気になって気になって仕方が無いのだが、王子として厳しく育てられた為、母に甘えるのだって怒られる事だった。
 なかなか上手く好意を伝えられないのだ。
 そもそもアンリーヌの方は此方をどうとも思っていなさそうなのが、更にジェレーノの自信を失わせる。
 下手に好意を伝えて面倒がられるよりは、このままの関係で居たほうが良いのではないかと思わせるのだ。
 親同士が決めた政略結婚では有るが、アンリーヌとは婚約しているのだし、これで良いかななんて思ってしまっていた。
 ジェレーノは他の事なら完璧なまでにこなせ、時期王としても安心だと期待されているが、恋愛に関してはウブだ。
 やり方がからっきしである。

 それにしてもこの女はいつまで僕に話しかける気だろう。

「私はキャメリア、公子のお名前は?」
「…… ジェレーノ」
「ジェレーノ様ですか、私達、もうお友達ですよね?」
「…… え?」

 おもむろに手を握られ、ジェレーノは引いてしまう。
 そもそも王子である自分の挨拶も待たずにベラベラ喋りだされた時点で教養のか欠片もない女だなぁと、げんなりしていたのだが、ここまでくるといっそ清々しい気もする。
 僕が王子だと気づいていないのかな。

「私、転校生なので学園の事はよくわかりません。ジェレーノ様、教えて下さいね」
「学園の事なら僕より僕の婚約者であるアンリーヌに聞いた方が良いよ。彼女、生徒会長だし……」
「アンリーヌ様ですか?」
「生徒会室に行けば居ると思うよ」

 申し訳ないが面倒なのでアンリーヌに押し付けてしまう形になってしまった。
 でもアンリーヌならしっかりしているので、彼女にマナーも品位も教えてあげそうである。
 アンリーヌに任せておけば間違いないよね。
 ジェレーノはそんな事を考えながら、とりあえず生徒会室の場所だけ教えておいた。
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