2 / 27
2
しおりを挟む
目を開けると直ぐに白衣姿が目に入った。
どうやらここは病院らしい。
「気が付きましたか。貴方、吸血鬼族の血筋ですね」
「はい?」
吸血鬼族?
「まさかご存知でない? 御両親には何と言われてますか?」
「両親は僕が幼い時に事故で……」
「吸血鬼族は珍しいので、解らなくなる事は無いと思うのですが……」
「???」
困惑した様子の白衣の先生。
僕も困惑してしまう。
吸血鬼族って何だ?
空想の化け物の話し?
ハロウィンだから?
俺の頭の中は混乱でグルグルしていた。
「お名前は?」
「山田薫(やまだかおり)です」
「山田薫さんですね。今は誰と住んでいるんですか?」
「今は一人です。祖母が居たのですが5年前に亡くなってしまって、それからは天涯孤独です」
「解りました。吸血鬼会にはこちらから連絡しておきます」
「吸血鬼会?」
話についていけない。
やっぱり吸血鬼って言っているよな?
キュウケツキって別のキュウケツキが有るのか?
僕が知らないだけで。
キュウケツキカイ?
「山田さんは吸血鬼族の血がながれている為、普通の食事だけでは得られない栄養素が有るんです。それを補わないと餓死してしまいます」
「僕、餓死しそうになってたんですか!?」
「そうです。普通なら貴方もう死んでますよ」
「そうなんですか!?」
「吸血鬼の血が薄いのでしょう。良かったですね」
「はぁ……」
良くはない。
と、いうか、意味も解らない。
だからキュウケツキって何なんだ。
もしかして僕、血を飲まなきゃいけないって事!?
やっぱり吸血鬼じゃないか!
「コレを毎日飲んでください」
「コレは?」
「模造血錠です」
「模造血錠?」
よく見る丸い玉薬である。
血が出てこなくて良かった。
「本当は人の血を飲むのが良いのですが、ちょくちょく飲める物でもないので誤魔化しですね」
「なるほど」
やっぱり血なんだぁ……
「気休めです」
「そんなはっきりと」
例え気休めだとしても言わないで欲しいよ先生。
「とにかく、吸血鬼族の事は吸血鬼族に聞いてください。まぁ、吸血鬼族は高貴な一族で優秀な人物も多く、目見も良いので損する事は無いですよ。宝くじにでも当たったと思って下さい。人生勝ち組間違い無しです」
励ましてるつもりなのだろうか、笑顔で肩を叩く先生。
この先生は大丈夫なのだろうか。
デリカシーが無さすぎないか?
血を飲まなきゃ生きていけないなんて、どんなに優秀で目見も良くても負け組だろう。
吸血鬼って言ったら何かカッコいいけど、言い方かえれば蚊みたいなもんだ。
無理、嫌だ辛い。
人生ガチャ失敗してる。
「栄養失調なだけで、病気とかでは無いので直ぐに退院出来ますよ」
「はぁ、どうもお世話になっておりました」
病気の方が良かったな。
僕は先生から気休めの薬を受け取る。
もう帰って良いらしい。
「あの、僕と一緒に居た男性は?」
「さぁ、救急車に同乗はされてなかったので……」
「そうですか」
せめてお礼が言いたいが、名前も解らない。
毎朝同じ時刻に同じ道を歩いているし、いつか会えるだろうか。
どうやらここは病院らしい。
「気が付きましたか。貴方、吸血鬼族の血筋ですね」
「はい?」
吸血鬼族?
「まさかご存知でない? 御両親には何と言われてますか?」
「両親は僕が幼い時に事故で……」
「吸血鬼族は珍しいので、解らなくなる事は無いと思うのですが……」
「???」
困惑した様子の白衣の先生。
僕も困惑してしまう。
吸血鬼族って何だ?
空想の化け物の話し?
ハロウィンだから?
俺の頭の中は混乱でグルグルしていた。
「お名前は?」
「山田薫(やまだかおり)です」
「山田薫さんですね。今は誰と住んでいるんですか?」
「今は一人です。祖母が居たのですが5年前に亡くなってしまって、それからは天涯孤独です」
「解りました。吸血鬼会にはこちらから連絡しておきます」
「吸血鬼会?」
話についていけない。
やっぱり吸血鬼って言っているよな?
キュウケツキって別のキュウケツキが有るのか?
僕が知らないだけで。
キュウケツキカイ?
「山田さんは吸血鬼族の血がながれている為、普通の食事だけでは得られない栄養素が有るんです。それを補わないと餓死してしまいます」
「僕、餓死しそうになってたんですか!?」
「そうです。普通なら貴方もう死んでますよ」
「そうなんですか!?」
「吸血鬼の血が薄いのでしょう。良かったですね」
「はぁ……」
良くはない。
と、いうか、意味も解らない。
だからキュウケツキって何なんだ。
もしかして僕、血を飲まなきゃいけないって事!?
やっぱり吸血鬼じゃないか!
「コレを毎日飲んでください」
「コレは?」
「模造血錠です」
「模造血錠?」
よく見る丸い玉薬である。
血が出てこなくて良かった。
「本当は人の血を飲むのが良いのですが、ちょくちょく飲める物でもないので誤魔化しですね」
「なるほど」
やっぱり血なんだぁ……
「気休めです」
「そんなはっきりと」
例え気休めだとしても言わないで欲しいよ先生。
「とにかく、吸血鬼族の事は吸血鬼族に聞いてください。まぁ、吸血鬼族は高貴な一族で優秀な人物も多く、目見も良いので損する事は無いですよ。宝くじにでも当たったと思って下さい。人生勝ち組間違い無しです」
励ましてるつもりなのだろうか、笑顔で肩を叩く先生。
この先生は大丈夫なのだろうか。
デリカシーが無さすぎないか?
血を飲まなきゃ生きていけないなんて、どんなに優秀で目見も良くても負け組だろう。
吸血鬼って言ったら何かカッコいいけど、言い方かえれば蚊みたいなもんだ。
無理、嫌だ辛い。
人生ガチャ失敗してる。
「栄養失調なだけで、病気とかでは無いので直ぐに退院出来ますよ」
「はぁ、どうもお世話になっておりました」
病気の方が良かったな。
僕は先生から気休めの薬を受け取る。
もう帰って良いらしい。
「あの、僕と一緒に居た男性は?」
「さぁ、救急車に同乗はされてなかったので……」
「そうですか」
せめてお礼が言いたいが、名前も解らない。
毎朝同じ時刻に同じ道を歩いているし、いつか会えるだろうか。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
BL団地妻on vacation
夕凪
BL
BL団地妻第二弾。
団地妻の芦屋夫夫が団地を飛び出し、南の島でチョメチョメしてるお話です。
頭を空っぽにして薄目で読むぐらいがちょうどいいお話だと思います。
なんでも許せる人向けです。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
ひとりのはつじょうき
綿天モグ
BL
16歳の咲夜は初めての発情期を3ヶ月前に迎えたばかり。
学校から大好きな番の伸弥の住む家に帰って来ると、待っていたのは「出張に行く」とのメモ。
2回目の発情期がもうすぐ始まっちゃう!体が火照りだしたのに、一人でどうしろっていうの?!
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる