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「水族館へ行く前に、何処かでお昼にします?」
気づけばもう13時近い。
お腹も空く。
「そうですね。お腹すきましたよね」
グーっと、ちょうど夏奈のお腹が鳴って夏奈は赤面してしまう。
「何が食べたい気分ですか?」
可愛いなぁと、思いつつ。
幸人は聞こえなかった事にして、夏奈の意見聞く。
「うーん、お肉?」
「これから水族館に行くのに?」
「だからですよ。お魚見に行くのにお魚べるのちょっと抵抗無いですか?」
「それもそうかぁ」
言われて見れば、これから魚を見ようと言うのに魚を食べるのは気まずいかも知れない。
「あ、ここはどうですか? お野菜食べ放題で90分1500円ですって。リーズナブル!」
「え? お肉は!?」
さっきのお肉は何処に行ってしまったんだ。
そして野菜は何処からか来たんだ。
「調べてたら野菜の気分になっちゃいました。美味しそうだったから。幸人さんはお肉が良いですか?」
「僕もお肉より野菜が良いと思ってました」
急に意見が変わってビックリしたが、やっぱりお昼は野菜だなぁと、頷く幸人。
しかし、食べ放題で1500円ってどうなっているのだろうか。
採算は取れるのか?
経営状態が気になるなぁ。
そんな下世話な事を考えながらがら、幸人はナビをセットして車を走らせる。
と、いうか、直ぐに見えた。
直ぐ側だった。
「夏奈さん、これは、どういう形態ですか?」
「バイキング形式ですよ。好きな物を取ってテーブルで食べます」
「な、なるほど」
婚活パーティーの時のアレみたいなヤツが。
立食パーティ等、よく参加する時の形式もこういったものだが、幸人は立食パーティの最中に食事をしない。
上手く同時に出来ないのだ。
どうせ食べても味も解らなくなってしまうので、もう食べない事にしていた。
「幸人さん、それだけれ!? 食べたい物が無かったんですか? それとも何かアレルギーが?」
「すみません、取るタイミングが……」
ぞろぞろと並んでいるものだから、人の流れに乗ってしまうと、幸人は何も取れなくなってしまう。
あれ、美味しそうだなぁと、思っても、取る前に進んでしまうので、どうしようも無い。
辛うじて取れたのは、小鉢に入ったサラダだけだった。
幸人の後ろに並んでいた夏奈は、沢山取れている。
サラダにカレー、スープ、その他いろいろ乗るだけ乗せていた。
「じゃあ、私がまた取ってくるので、幸人さんはコレを持って席を取っておいて下さい。何かコレはどうしても気になるみたいな物が有ったら取ってきますけど?」
「いや、よく見えなかった」
慣れない場所で何が有るかとか、ちゃんと見てられなかった。
幸人は夏奈に迷惑をかけて申し訳なくなる。
登るのはやたら遅いし、すぐ疲れるし、バイキング形式で上手く取れないなんて、めちゃくちゃダサいおっさんだなぁと思われている事だろう。
夏奈はさっさとまた列に並んでいる。
幸人は落ち込みつつも空いている席を探すのだった。
ここは空いているんだろうか?
空いている席とはどういう場所がそうなのだろう。
長テーブルにまばらに人が座っているのだが、何処から何処までがそこ人の場所なのかが解らない。
「幸人さん? 席、ここ空いてますよ」
窓際の席に連れ行ってくれる夏奈。
夏奈さん、早い!
言われた事、全然出来なかった。
此処は空いているのか。
どうやって座れば良いんだ?
前に回れば良いのか?
それとも隣に座れば良いのだろか?
「隣、どうぞ」
どう座れば良いのか解らない様子の幸人に、夏奈は隣に座るように促した。
「すみません、すごくダサいオッサンですよね僕……」
ショポーンとなってしまう幸人だ。
もう駄目だ。
自分ではまだ若い気でいたが、一回りも違えばやっぱりオッサンだ。
「え? 幸人さんがですか? 何処が?」
こんな格好良くて可愛い人がダサいオッサンならウチのお父さんはどうなってしまうんだろうか。
終ってる爺さんだろうか。
夏奈は耳を疑う。
「登るのもやっとだし、上手く取れなくて、席だって良く分からなず……」
「幸人さんはこういう場所慣れてないんですよね? 仕方ないですよ。私こそ、なんだか落ち着かない場所に連れて来てしまって申し訳ないです」
「いえ、慣れない場所ですが、新鮮で楽しいです。でも夏奈さんに迷惑ではないかと……」
幸人としても慣れない場所は不安で避けたいが、夏奈と一緒だと不思議と楽しいと思える。
なので、それは良いのだが、夏奈に負担になっていないか不安だった。
観光案内に選ばれた筈なのに、全然観光案内出来ていない。
これなら一人で回った方が楽しかったと、夏奈さんは思っているだろう。
それが申し訳ない幸人だ。
「私も幸人さんが一緒で楽しいですし、幸人さんも楽しいなら、私は嬉しいです」
夏奈は幸人に満面の笑みを浮かべて見せる。
桜が咲いたような笑顔だ。
ああ、夏奈さんは本当に天使みたいな人だと思う幸人だ。
心が朗らかになる。
幸人と夏奈は野菜の食べ放題を思う存分楽しむのだった。
途中、空いたタイミングで幸人はバイキングに再挑戦してみる。
今度は3種類持ってくる事が出来た。
何度も行ったり来たりして、幸人もバイキングに少しは慣れた様子だ。
最後はデザートまで楽しんで店を出る二人。
幸人も満足出来たみたいで、夏奈も満足だ。
気づけばもう13時近い。
お腹も空く。
「そうですね。お腹すきましたよね」
グーっと、ちょうど夏奈のお腹が鳴って夏奈は赤面してしまう。
「何が食べたい気分ですか?」
可愛いなぁと、思いつつ。
幸人は聞こえなかった事にして、夏奈の意見聞く。
「うーん、お肉?」
「これから水族館に行くのに?」
「だからですよ。お魚見に行くのにお魚べるのちょっと抵抗無いですか?」
「それもそうかぁ」
言われて見れば、これから魚を見ようと言うのに魚を食べるのは気まずいかも知れない。
「あ、ここはどうですか? お野菜食べ放題で90分1500円ですって。リーズナブル!」
「え? お肉は!?」
さっきのお肉は何処に行ってしまったんだ。
そして野菜は何処からか来たんだ。
「調べてたら野菜の気分になっちゃいました。美味しそうだったから。幸人さんはお肉が良いですか?」
「僕もお肉より野菜が良いと思ってました」
急に意見が変わってビックリしたが、やっぱりお昼は野菜だなぁと、頷く幸人。
しかし、食べ放題で1500円ってどうなっているのだろうか。
採算は取れるのか?
経営状態が気になるなぁ。
そんな下世話な事を考えながらがら、幸人はナビをセットして車を走らせる。
と、いうか、直ぐに見えた。
直ぐ側だった。
「夏奈さん、これは、どういう形態ですか?」
「バイキング形式ですよ。好きな物を取ってテーブルで食べます」
「な、なるほど」
婚活パーティーの時のアレみたいなヤツが。
立食パーティ等、よく参加する時の形式もこういったものだが、幸人は立食パーティの最中に食事をしない。
上手く同時に出来ないのだ。
どうせ食べても味も解らなくなってしまうので、もう食べない事にしていた。
「幸人さん、それだけれ!? 食べたい物が無かったんですか? それとも何かアレルギーが?」
「すみません、取るタイミングが……」
ぞろぞろと並んでいるものだから、人の流れに乗ってしまうと、幸人は何も取れなくなってしまう。
あれ、美味しそうだなぁと、思っても、取る前に進んでしまうので、どうしようも無い。
辛うじて取れたのは、小鉢に入ったサラダだけだった。
幸人の後ろに並んでいた夏奈は、沢山取れている。
サラダにカレー、スープ、その他いろいろ乗るだけ乗せていた。
「じゃあ、私がまた取ってくるので、幸人さんはコレを持って席を取っておいて下さい。何かコレはどうしても気になるみたいな物が有ったら取ってきますけど?」
「いや、よく見えなかった」
慣れない場所で何が有るかとか、ちゃんと見てられなかった。
幸人は夏奈に迷惑をかけて申し訳なくなる。
登るのはやたら遅いし、すぐ疲れるし、バイキング形式で上手く取れないなんて、めちゃくちゃダサいおっさんだなぁと思われている事だろう。
夏奈はさっさとまた列に並んでいる。
幸人は落ち込みつつも空いている席を探すのだった。
ここは空いているんだろうか?
空いている席とはどういう場所がそうなのだろう。
長テーブルにまばらに人が座っているのだが、何処から何処までがそこ人の場所なのかが解らない。
「幸人さん? 席、ここ空いてますよ」
窓際の席に連れ行ってくれる夏奈。
夏奈さん、早い!
言われた事、全然出来なかった。
此処は空いているのか。
どうやって座れば良いんだ?
前に回れば良いのか?
それとも隣に座れば良いのだろか?
「隣、どうぞ」
どう座れば良いのか解らない様子の幸人に、夏奈は隣に座るように促した。
「すみません、すごくダサいオッサンですよね僕……」
ショポーンとなってしまう幸人だ。
もう駄目だ。
自分ではまだ若い気でいたが、一回りも違えばやっぱりオッサンだ。
「え? 幸人さんがですか? 何処が?」
こんな格好良くて可愛い人がダサいオッサンならウチのお父さんはどうなってしまうんだろうか。
終ってる爺さんだろうか。
夏奈は耳を疑う。
「登るのもやっとだし、上手く取れなくて、席だって良く分からなず……」
「幸人さんはこういう場所慣れてないんですよね? 仕方ないですよ。私こそ、なんだか落ち着かない場所に連れて来てしまって申し訳ないです」
「いえ、慣れない場所ですが、新鮮で楽しいです。でも夏奈さんに迷惑ではないかと……」
幸人としても慣れない場所は不安で避けたいが、夏奈と一緒だと不思議と楽しいと思える。
なので、それは良いのだが、夏奈に負担になっていないか不安だった。
観光案内に選ばれた筈なのに、全然観光案内出来ていない。
これなら一人で回った方が楽しかったと、夏奈さんは思っているだろう。
それが申し訳ない幸人だ。
「私も幸人さんが一緒で楽しいですし、幸人さんも楽しいなら、私は嬉しいです」
夏奈は幸人に満面の笑みを浮かべて見せる。
桜が咲いたような笑顔だ。
ああ、夏奈さんは本当に天使みたいな人だと思う幸人だ。
心が朗らかになる。
幸人と夏奈は野菜の食べ放題を思う存分楽しむのだった。
途中、空いたタイミングで幸人はバイキングに再挑戦してみる。
今度は3種類持ってくる事が出来た。
何度も行ったり来たりして、幸人もバイキングに少しは慣れた様子だ。
最後はデザートまで楽しんで店を出る二人。
幸人も満足出来たみたいで、夏奈も満足だ。
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