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6章 不老者とクラス召喚
第107話 異世界?
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今日が演習終了日。
残りの4日で2度襲撃に会い、見事に全員負傷してしまった。
治療はしているので、今ではかすり傷程度になっている。
俺は、むくれてる4人を前にして何て言うか迷ってる。
「慰めた方がいい?」
「良い訳ないでしょ!」
「やっと1週間経ったのに、終わりの言葉がそれですか?」
怒らせてしまった。
でもなぁ。
ちょっと覆面にアドバイスを貰おう。
「なんて言えば良かったと思う?」
「ボロクソに言ってやれ」
珍しく覆面3号が喋ってくれた。
「1度怪我してから明らかに警戒は強まったが、それだけだ。音を立てて歩く。隠れられる場所があっても隠れない。食い物の臭いを撒き散らす。全部敵を寄せ付ける行為だ。今言ったのって、逃げ隠れするための最低限なのよ」
更に沈んでしまった。
「訓練したら出来るようになるんですか?」
カオルも良いこと言うじゃないか。
「出来る」
4人とも目に力があるな。
これで明日も訓練出来る。
「よし。じゃあ帰ろうか」
森から戻る途中で覆面達とは別れた。
これで、4人は俺の仮弟子みたいになっちゃったな。
スキルは体力付けてから練習させるとして、言葉は継続しないといけない。
木札増やして単語だけでも言えるようにしよう。
「ノールさんはどこでその技術を身につけたんですか?」
「どこでって言われると、最初は山守りの時かな。瞑想してたら気配をわかるようになって、熊とか避けてたら出来るようになった」
「参考にならないわ」
こっちの森は異常に危険だから仕方ないよね。
家に到着すると4人は泥のように寝入ってしまった。
念の為、賦活で癒しておく。
「ふふふふ。お肉ちゃんを熟成させて、チャーシューを。ニンニクも植えておこう。魚醤もあるから、野菜と小麦の確保だ」
町へ繰り出して、買ってこよう。
肉待ちだけど、わくわくが止まらない。
「「「「おはようございます」」」」
みんな早めに起きてきた。
「ご飯の前に走ってこようか」
この日から早朝ランニングが追加された。
午前に気の修練と体術、午後に言語と動植物の勉強。
仮弟子達も忙しいが、俺もずっと張り付き状態。
金が無くなりそうになると、全員で森の薬草採取をする。
ここ1週間はこんな生活だ。
気の修練のおかげか、言葉も話せるようになってきて、少しは自信がついたようだ。
「ハナセテマスカ?」
「話せてますよ」
「ワタシもイッテル?」
「カオルも言ってるよ」
みんなカタコトだけど話せている。
少し体力もついたし、そろそろ行っても良いかな。
「この建物って、最初にノールさんが入って行ったところですよね?」
「海野さんの言う通り。ここは探索…じゃなくて冒険者ギルドだよ」
俺がそう言うと、ワイワイ騒ぎ出した。
「冒険者ギルドだって!」
「ちょっとワクワクする」
「まさか登録!?」
登録だけど、あまり騒ぐと目を付けられるぞ。
静かにしててくれよ。
中に入ると、案の定視線が集まる。
とりあえず、おっさんのカウンターに行くか。
「ぞろぞろ女ばっかり連れてきやがって。何の用だ」
「後ろの全員登録です」
「何が出来る?」
「みんな。採ってきたの見せて」
各々が森で採取した野草を渡していく。
「なんだこりゃ。新人レベルか」
「そんなもんです。少しずつ教えていきます」
「10級だな。4人分持ってきてくれ」
背後の空いてる受付に頼むと、一人ずつ名前を確認していく。
紙に記入しつつ、言葉を投げてくる。
「お前ら召喚勇者か?」
「ノールさん今勇者って」
「海野さん、ちょっと黙ってて。追い出されたので勇者じゃないですよ」
なんか良く無い雰囲気だなぁ。
「…先日やってきた兵士がお前達を探してた。一度城に顔出せとさ。ほら、ギルド証だ」
「困った人達です。出ていけと行ったり、来いと言ったり」
「なぁ。お前本当に召喚されたのか? 証を見た時、西端にある獣王国の印があったぞ」
「え? 獣王国は西にあるんですか?」
異世界だと思ってたんだけど、違うのか?
「ちょっと待ってろ。」
おっさんが奥に引っ込んだと思えば、すぐに戻ってきた。
「これを見ろ。」
地図がある。
真ん中にデカイ大陸があって、左に中位の大陸。
「このデカイのが俺たちの居る大陸だ。その中心部から下に行った場所がこのマイナール国。海を2つ超えて、さらに先へ行った端っこが獣王国だ。」
マジか。
ちゃんと霊峰まで書かれている。
「じゃあここは?」
「エスタ聖教国だな。」
「こっちは!」
「ノーザンド帝国だ。」
まさか同じ世界だったのか。
俺のワクワク異世界気分を取り返して欲しいものだ。
一気に冷めちゃったな。
「ノールさん。ジュウオウコクってのは何ですか?」
4人とも知りたそうにしている。
「時間かかりそうだし、帰ってから話そうか。」
「あ、うん。」
「おやっさん。一度帰ります。」
「おう。次来る時は、お前も薬草持ってこい。」
「はいよ。」
帰り際に絡もうとしてきた冒険者は、おやっさんに捕まって怒られていた。
その時何度もこっちを見ていたから、勇者とかでも吹き込んだんだろう。
その称号もあまり覚えてほしく無いんだけどね。
家に帰って一息つくと、先程のやりとりを知りたそうに見てくる。
「さて、どこから話したものか。とりあえず、前に話した国についてだけど」
召喚される前に居た所が獣王国で、他の国の配置と名前が完全に一致していたと伝える。
「それならノールさんだけ、同じ世界で場所だけ変わったと。」
「それだけなら良かったんだが、獣王国で見つけたものが問題なんだ。」
地下で見つけた遺跡のこと、地球が他の世界と融合してしまったこと。
ゆっくりと話していき、異世界転移では無く、時間転移の可能性を伝える。
「じゃあ、未来だって言うの?」
「ちょっと信じられません」
そうなるよな。
明らかに変わりすぎている。
魔法やスキルがある世界。
「未来に来たなら過去に行けないの?」
「そうよね。行けそうな気がするわ」
カオルの言葉にトモエが乗っかるけれど、厳しいな。
「王女様の言っていた神様というのはどうでしょうか? 魔法があるならいらっしゃるのでは?」
神様はもっと厳しい。
「絶対とは言えないけど、過去には行けないし、神様は力を使わない」
「なぜ!?」
「1秒間に宇宙全体でどれだけのエネルギーが使われているか。何秒それを繰り返せば元の時間に戻れるのか。それを考えると過去に戻るのは難しいな」
「神様は!?」
「神様については、力が強すぎるってことだな。弱い神様だとしても、存在するだけで世界が壊れていく。だから、神様になった者は昇天するんだ」
それでもトモエは納得出来ないようだ。
「なんでノールさんに神様のことがわかるんですか?」
「神様のことはわかってはない」
「じゃあ、絶対じゃないですよね!?」
「絶対ではない。けれど、俺の神に昇天までした師匠が言っていたことだ。それは信じてる」
4人の呆けた顔が見える。
「神にしょうてん?」
「え?」
「どういうことですか?」
ちょっと説明が必要だな。
「ちょっと話は逸《そ》れるが、今4人に教えている気は何だと思う?」
「体の眠ってた力を」
「ちょっと違うな。常に湧き出し続ける生命力を使えるようにしたものだ。漏れ出ないようにすると、頑丈になったり、回復力を高めたり出来る。呪術として使う者も居た。それを使う者達は日本でも居たと言われてたよね?」
少し考えるとアオイ君が答えてくれる。
「陰陽師」
「そう。俺の師匠は大陸の人だったから、仙人と呼ばれていた。結構有名な人だよ」
「仙人って、確かに気を使うと言うわね」
「だったらノールさんも仙人なんですか?」
当然気になるよね。
「俺は出来が悪かったから、仙人にはなれないらしい。だから半仙人だね」
「よくわからないわ。何が違うの?」
「簡単に言うと死ぬか死なないかだね。俺は死ぬ方」
しばらく黙ってたカオルが声を出した。
「ノールさんに教えてもらってる私達も、仙人になれる可能性があるってこと!?」
「え? 仙人になれるの?」
そう考えたかだけど残念だったね。
「手短に言うと仙人にはなれない。理由は俺が気を教えちゃってるから」
「そんな」
「教わってなければ可能性が」
「トモエ。自力で気を覚える時間は無かったんだよ。仙人にはなれないけど、気を使えるようになると、長生きにはなるよ」
「本当!?」
食いつき良いな。
「さっきも言ったけど、戻れないのは絶対じゃないからね。魔王が倒されたら戻してくれるかもしれない。期待しすぎず、ここでも生きられるようにする。いいね?」
「「「はい」」」
「え? はい」
説明したから、こっちは良いとして、あとは城か。
めんどくせー。
残りの4日で2度襲撃に会い、見事に全員負傷してしまった。
治療はしているので、今ではかすり傷程度になっている。
俺は、むくれてる4人を前にして何て言うか迷ってる。
「慰めた方がいい?」
「良い訳ないでしょ!」
「やっと1週間経ったのに、終わりの言葉がそれですか?」
怒らせてしまった。
でもなぁ。
ちょっと覆面にアドバイスを貰おう。
「なんて言えば良かったと思う?」
「ボロクソに言ってやれ」
珍しく覆面3号が喋ってくれた。
「1度怪我してから明らかに警戒は強まったが、それだけだ。音を立てて歩く。隠れられる場所があっても隠れない。食い物の臭いを撒き散らす。全部敵を寄せ付ける行為だ。今言ったのって、逃げ隠れするための最低限なのよ」
更に沈んでしまった。
「訓練したら出来るようになるんですか?」
カオルも良いこと言うじゃないか。
「出来る」
4人とも目に力があるな。
これで明日も訓練出来る。
「よし。じゃあ帰ろうか」
森から戻る途中で覆面達とは別れた。
これで、4人は俺の仮弟子みたいになっちゃったな。
スキルは体力付けてから練習させるとして、言葉は継続しないといけない。
木札増やして単語だけでも言えるようにしよう。
「ノールさんはどこでその技術を身につけたんですか?」
「どこでって言われると、最初は山守りの時かな。瞑想してたら気配をわかるようになって、熊とか避けてたら出来るようになった」
「参考にならないわ」
こっちの森は異常に危険だから仕方ないよね。
家に到着すると4人は泥のように寝入ってしまった。
念の為、賦活で癒しておく。
「ふふふふ。お肉ちゃんを熟成させて、チャーシューを。ニンニクも植えておこう。魚醤もあるから、野菜と小麦の確保だ」
町へ繰り出して、買ってこよう。
肉待ちだけど、わくわくが止まらない。
「「「「おはようございます」」」」
みんな早めに起きてきた。
「ご飯の前に走ってこようか」
この日から早朝ランニングが追加された。
午前に気の修練と体術、午後に言語と動植物の勉強。
仮弟子達も忙しいが、俺もずっと張り付き状態。
金が無くなりそうになると、全員で森の薬草採取をする。
ここ1週間はこんな生活だ。
気の修練のおかげか、言葉も話せるようになってきて、少しは自信がついたようだ。
「ハナセテマスカ?」
「話せてますよ」
「ワタシもイッテル?」
「カオルも言ってるよ」
みんなカタコトだけど話せている。
少し体力もついたし、そろそろ行っても良いかな。
「この建物って、最初にノールさんが入って行ったところですよね?」
「海野さんの言う通り。ここは探索…じゃなくて冒険者ギルドだよ」
俺がそう言うと、ワイワイ騒ぎ出した。
「冒険者ギルドだって!」
「ちょっとワクワクする」
「まさか登録!?」
登録だけど、あまり騒ぐと目を付けられるぞ。
静かにしててくれよ。
中に入ると、案の定視線が集まる。
とりあえず、おっさんのカウンターに行くか。
「ぞろぞろ女ばっかり連れてきやがって。何の用だ」
「後ろの全員登録です」
「何が出来る?」
「みんな。採ってきたの見せて」
各々が森で採取した野草を渡していく。
「なんだこりゃ。新人レベルか」
「そんなもんです。少しずつ教えていきます」
「10級だな。4人分持ってきてくれ」
背後の空いてる受付に頼むと、一人ずつ名前を確認していく。
紙に記入しつつ、言葉を投げてくる。
「お前ら召喚勇者か?」
「ノールさん今勇者って」
「海野さん、ちょっと黙ってて。追い出されたので勇者じゃないですよ」
なんか良く無い雰囲気だなぁ。
「…先日やってきた兵士がお前達を探してた。一度城に顔出せとさ。ほら、ギルド証だ」
「困った人達です。出ていけと行ったり、来いと言ったり」
「なぁ。お前本当に召喚されたのか? 証を見た時、西端にある獣王国の印があったぞ」
「え? 獣王国は西にあるんですか?」
異世界だと思ってたんだけど、違うのか?
「ちょっと待ってろ。」
おっさんが奥に引っ込んだと思えば、すぐに戻ってきた。
「これを見ろ。」
地図がある。
真ん中にデカイ大陸があって、左に中位の大陸。
「このデカイのが俺たちの居る大陸だ。その中心部から下に行った場所がこのマイナール国。海を2つ超えて、さらに先へ行った端っこが獣王国だ。」
マジか。
ちゃんと霊峰まで書かれている。
「じゃあここは?」
「エスタ聖教国だな。」
「こっちは!」
「ノーザンド帝国だ。」
まさか同じ世界だったのか。
俺のワクワク異世界気分を取り返して欲しいものだ。
一気に冷めちゃったな。
「ノールさん。ジュウオウコクってのは何ですか?」
4人とも知りたそうにしている。
「時間かかりそうだし、帰ってから話そうか。」
「あ、うん。」
「おやっさん。一度帰ります。」
「おう。次来る時は、お前も薬草持ってこい。」
「はいよ。」
帰り際に絡もうとしてきた冒険者は、おやっさんに捕まって怒られていた。
その時何度もこっちを見ていたから、勇者とかでも吹き込んだんだろう。
その称号もあまり覚えてほしく無いんだけどね。
家に帰って一息つくと、先程のやりとりを知りたそうに見てくる。
「さて、どこから話したものか。とりあえず、前に話した国についてだけど」
召喚される前に居た所が獣王国で、他の国の配置と名前が完全に一致していたと伝える。
「それならノールさんだけ、同じ世界で場所だけ変わったと。」
「それだけなら良かったんだが、獣王国で見つけたものが問題なんだ。」
地下で見つけた遺跡のこと、地球が他の世界と融合してしまったこと。
ゆっくりと話していき、異世界転移では無く、時間転移の可能性を伝える。
「じゃあ、未来だって言うの?」
「ちょっと信じられません」
そうなるよな。
明らかに変わりすぎている。
魔法やスキルがある世界。
「未来に来たなら過去に行けないの?」
「そうよね。行けそうな気がするわ」
カオルの言葉にトモエが乗っかるけれど、厳しいな。
「王女様の言っていた神様というのはどうでしょうか? 魔法があるならいらっしゃるのでは?」
神様はもっと厳しい。
「絶対とは言えないけど、過去には行けないし、神様は力を使わない」
「なぜ!?」
「1秒間に宇宙全体でどれだけのエネルギーが使われているか。何秒それを繰り返せば元の時間に戻れるのか。それを考えると過去に戻るのは難しいな」
「神様は!?」
「神様については、力が強すぎるってことだな。弱い神様だとしても、存在するだけで世界が壊れていく。だから、神様になった者は昇天するんだ」
それでもトモエは納得出来ないようだ。
「なんでノールさんに神様のことがわかるんですか?」
「神様のことはわかってはない」
「じゃあ、絶対じゃないですよね!?」
「絶対ではない。けれど、俺の神に昇天までした師匠が言っていたことだ。それは信じてる」
4人の呆けた顔が見える。
「神にしょうてん?」
「え?」
「どういうことですか?」
ちょっと説明が必要だな。
「ちょっと話は逸《そ》れるが、今4人に教えている気は何だと思う?」
「体の眠ってた力を」
「ちょっと違うな。常に湧き出し続ける生命力を使えるようにしたものだ。漏れ出ないようにすると、頑丈になったり、回復力を高めたり出来る。呪術として使う者も居た。それを使う者達は日本でも居たと言われてたよね?」
少し考えるとアオイ君が答えてくれる。
「陰陽師」
「そう。俺の師匠は大陸の人だったから、仙人と呼ばれていた。結構有名な人だよ」
「仙人って、確かに気を使うと言うわね」
「だったらノールさんも仙人なんですか?」
当然気になるよね。
「俺は出来が悪かったから、仙人にはなれないらしい。だから半仙人だね」
「よくわからないわ。何が違うの?」
「簡単に言うと死ぬか死なないかだね。俺は死ぬ方」
しばらく黙ってたカオルが声を出した。
「ノールさんに教えてもらってる私達も、仙人になれる可能性があるってこと!?」
「え? 仙人になれるの?」
そう考えたかだけど残念だったね。
「手短に言うと仙人にはなれない。理由は俺が気を教えちゃってるから」
「そんな」
「教わってなければ可能性が」
「トモエ。自力で気を覚える時間は無かったんだよ。仙人にはなれないけど、気を使えるようになると、長生きにはなるよ」
「本当!?」
食いつき良いな。
「さっきも言ったけど、戻れないのは絶対じゃないからね。魔王が倒されたら戻してくれるかもしれない。期待しすぎず、ここでも生きられるようにする。いいね?」
「「「はい」」」
「え? はい」
説明したから、こっちは良いとして、あとは城か。
めんどくせー。
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