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3章 国内小旅行。
第51話 古代人の遺跡3
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子蜘蛛達は、昨日俺が話している間に出て行った。
朝になりホールに光が降り注ぐ。
昨日は夜でわかりづらかったが、所々光を取り入れる小さめの穴がついている。
「ノールぅ。起きたかぁ」
「おぉ。バートさんも起きれましたね」
「あぁ。ありがとなぁ。それとベスから昨日ちょっと話したって聞いたぞぉ」
「畑のところまででしたっけ」
「その続きも話すがぁ、その前にぃ。前のパーティーだなぁ。ちょっと見てくれぃ」
まだ起きて無いようなんだ。
大怪我の人は薄目を開けてるが、弱って話す気力が無い。
ただ他の2人は起きても良いはずだがな。
「失礼します」
触診すると、心臓は動いているし、呼吸もある。
とすると、麻酔系の毒か?
ピュアルートの汁を少量ずつ飲ませるが起きない。
何かのショック療法が必要かなぁ……。
いやぁ。
見えてるんだよ?
見えてるんだけど、残り少ないんだよなぁ。
んー……。
仕方ないか。
俺はアレをすり潰して汁を出す。
「うおぇ! なんだよこの臭い!」
「くっさ! 朝から何てもん出してるわけ!」
「ちょっと近づかないでくれぃ。」
「くっさ! くっさ! くさくさー!」
「さすがに傷つくんですけど、ハマると病みつきになるんだよ?」
あ。虎人さんの目が大きくなった。
「病みつきって、危ない薬なんじゃねーか?」
「大丈夫です! とにかくこの2人には気付けが必要なので。」
汁を起きない2人の口に流す。
20秒くらいかな。
「おえっほ。ぐっへ!」
「ぶっほぉ! おぅえ!」
およそ女性が出さない音が聞こえる。
「おはよう。そして回復おめでとう!」
両腕を広げて言ってあげる。
「口の中が痛い! 地獄!?」
「鼻水と涙が止まらないぃぃぃ!」
「病人に鞭打ってるレベルの悪行ね」
「あれはぁ。たまらんなぁ!」
「獣人じゃなくてあれなら、俺らは気絶だろ。」
「生き地獄」
くわっ!と目力だけ伝える虎人さん。
俺は人助けしたはずなんだが……。
結局昼ごろまで臭いが強くて誰も近寄らなかった。
「ほんで、あんた達は捕まっちゃったわけか」
「そうなんです。6級初の仕事でゲンが……うぅ」
泣き出してしまった。
泣いてる子は恋人だったようだ。
「それでズールの容体はどうですか?」
ともう1人の女性が話しかけてくる。
ズールというのがこの虎人さんだ。
「ここだとはっきりとは言えないが、日常生活が送れるくらいにはなると思う。探索者だと……王都で聞いてもらわないとわからないな」
俺もまだ薬師見習いだしな。
「彼は運良く生き残ったレベルなのよ」
ベスさんが話に入ってきた。
見つけた様子を詳しく伝える。
ベスさんが見つけた時もかなりひどかった。
腕は傷口に酸をかけたのか、血は出てないが溶けかけ。
他の部位も傷だらけだった。
繭を開けてすぐに破傷風止めの塗り薬を塗ったくり、俺の元に来てからも塗り薬漬けとポーションの繰り返し状態だ。
彼女達には言ってないが、ファングが使ったポーション含めると、大金貨が必要になる。
払う気があるなら金貨数十枚に落としても良いし、無理なら貰わずとも良いとファングのメンバーは思ってる。
生き残って良かったねと自分たちも思ってるからだ。
ズールさんの塗り薬は彼女達に任せてしまえば、俺の薬師業も一旦終わりだ。
「そろそろぉ、壁画の説明だぁ」
バートさんの故郷は南の山向こうにあって、本人は聖教国を通ってやってきたらしい。
来る時、面倒ごとは多かったらしいけどね。
それで山向こうの獣王国というらしいが、そこでは作務衣に似たものがそこそこ見られている。
壁画の神様から譲られた服を真似て作ったらしい。
ただ、国の中では色々の言い伝えもある。
『ある日、神様が獣族のもとにあらわれ、貧しい日々を乗り越える作物を与えた。簡易の衣類を獣族に譲り、新たな文化を築かせた。その後も困難の時には道を照らして教えた。そして、その神は常に本を携《たずさ》えていた。』というのが一般的だ。
『ある獣族が森をふらついていると、生き神様を見つける。ぜんぜん動かないから服を剥いでもらおうとするが、腕を通せず服も破けずしまい。そこで仲間を呼んで村で服の糸を解いてもらったところ。服の中に種と本を見つける。そこで必要な種と服だけ貰って、残りは元の場所に捨てた。』という邪道な話もあるらしい。
この話の中で、神様の持ってた本が気になった。
「そんな話があったわけだぁ。ノールを連れてくれば面白いかと思ってなぁ」
「なるほどー。確かに来て良かったですよ。その本が気になりますよね。どこにあるんだろう」
言うと、バートがニヤリと笑う。
「この話をすると大体そう帰ってくるんだぁ。アレを見てみろぉ」
天井の一部を指す。
「細かいがぁ、あそこにその本の一節が書いてるらしぃ。みんな読めてないんだけどなぁ?」
俺も見てみる。
『のジロリアンに○るための○行○○難を○めた。○△△あの次郎人は、毒を△量ずつ食事に混ぜていると□っ△○い○ンゴ』
虫食いだったり汚かったりで読みづらいな。
でも知ってる単語は多いぞ。
「一部読めるよ」
「な、なぁ! 本当かぁ! 教えてくれぇ。」
かなり真剣に聞かれたので答える。
「そんな読み方なのかぁ。やっぱり同じ故郷なんじゃないかぁ? どこから来たんだぁ?」
「よく聞かれるんだけど、覚えてないんです。このくらいの日記帳を持ってたんだけど無くしちゃってさ。そこに書いてたから見ればわかると思うんですよ」
ついでに見つけたら教えてくれるよう頼んだ。
「結構苦労してるんだなぁ。この文字なんだが、調べてる学者に教えて良いかぁ?」
「別に良いですよ。他にもあれば見ますけど?」
話しつつ気になっている言葉がある。
ジロリアンと次郎人。
勘になるが、これが俺のルーツと思っている。
結局、これ以外はグルマン語の古い形に精霊文字を間に入れたりと遊んでいる文が多い。
「こっちも落書きかなぁ。これ書いたやつ相当なイタズラ好きだな。獣族とエルフ族かな? ドワーフ族かもしれないけど」
「それは学者も言ってたなぁ。今見てもらったのはそんなのだぁ。次が最後で。そこも学者が読めなかったやつだぁ」
見せてもらう。
なになに。
これは精霊語と……ヒンディー語っぽいなぁ。
「ここから読んで……、うわ。こっから逆読みかよ。これ書こうとした奴読ませる気ねぇな。うん。うん」
なるほど。
めっちゃ時間かかったが、何とか意味はつかんだ。
「わかったかぁ?」
「えっと。おそらくコレを書いたのはエルフ族の誰かかな」
「ふむぅ」
「内容が『面白い魔人の男に会った。アンデッドだが昼に平然と生活している。人も襲わない為、友になった。言葉を教えてもらい今書いている。世界が繋がった日。』最後のが名前かな? 精霊語で『強き者』って書いてある。疲れたー!」
バートは静かに書き留めていた。
「あとでまとめた内容見てくれるかぁ? 合ってるか確認したいんだぁ」
「あとでね。今は無理。もう夜じゃん」
「どうせ今日も止まりだぁ。ズールが動かせんぞぉ」
「あの感じだと明日には運べると思うんだよね。それも様子見ないとだけど」
「早く戻してやりたいんだがなぁ」
話しながら焚き火へ戻る。
「だいぶ時間がかかってたわね」
「ふふん。俺のぉ先祖が少し見えたぁ。エルフとも繋がりがあったようだぁ」
自慢げに答える。
「ウソでしょ!? ずっと読めなかったのに」
ベスも驚いている。
「俺の感はばっちりだなぁ。代わりにノールの日記帳探すことになったがなぁ」
「俺にはそっちの方が大変そうな気がしている」
渋面のゲイルが言葉を返す。
俺が持ってたただの日記帳だぞ?
誰かのただの日記帳探す方が大変か……。
ひと段落したので、少し離れてズールの様子をみる。
2人の女性が交互に看病していたようで、先に眠ってしまっている。
「ちょっとは動きます?」
「うこしはあへう」
少し話せるかな?
「明日もう少し動かせたら、移動できそうですね。これは特別ですよ」
ちょっと水で薄めたハチミツをゆっくり飲ませてやる。
「うあい」
笑った。
「回復すればもっと美味いのが待ってます。じゃあ早めに寝て体力つけてください」
去り際に賦活するのを忘れない。
朝になりホールに光が降り注ぐ。
昨日は夜でわかりづらかったが、所々光を取り入れる小さめの穴がついている。
「ノールぅ。起きたかぁ」
「おぉ。バートさんも起きれましたね」
「あぁ。ありがとなぁ。それとベスから昨日ちょっと話したって聞いたぞぉ」
「畑のところまででしたっけ」
「その続きも話すがぁ、その前にぃ。前のパーティーだなぁ。ちょっと見てくれぃ」
まだ起きて無いようなんだ。
大怪我の人は薄目を開けてるが、弱って話す気力が無い。
ただ他の2人は起きても良いはずだがな。
「失礼します」
触診すると、心臓は動いているし、呼吸もある。
とすると、麻酔系の毒か?
ピュアルートの汁を少量ずつ飲ませるが起きない。
何かのショック療法が必要かなぁ……。
いやぁ。
見えてるんだよ?
見えてるんだけど、残り少ないんだよなぁ。
んー……。
仕方ないか。
俺はアレをすり潰して汁を出す。
「うおぇ! なんだよこの臭い!」
「くっさ! 朝から何てもん出してるわけ!」
「ちょっと近づかないでくれぃ。」
「くっさ! くっさ! くさくさー!」
「さすがに傷つくんですけど、ハマると病みつきになるんだよ?」
あ。虎人さんの目が大きくなった。
「病みつきって、危ない薬なんじゃねーか?」
「大丈夫です! とにかくこの2人には気付けが必要なので。」
汁を起きない2人の口に流す。
20秒くらいかな。
「おえっほ。ぐっへ!」
「ぶっほぉ! おぅえ!」
およそ女性が出さない音が聞こえる。
「おはよう。そして回復おめでとう!」
両腕を広げて言ってあげる。
「口の中が痛い! 地獄!?」
「鼻水と涙が止まらないぃぃぃ!」
「病人に鞭打ってるレベルの悪行ね」
「あれはぁ。たまらんなぁ!」
「獣人じゃなくてあれなら、俺らは気絶だろ。」
「生き地獄」
くわっ!と目力だけ伝える虎人さん。
俺は人助けしたはずなんだが……。
結局昼ごろまで臭いが強くて誰も近寄らなかった。
「ほんで、あんた達は捕まっちゃったわけか」
「そうなんです。6級初の仕事でゲンが……うぅ」
泣き出してしまった。
泣いてる子は恋人だったようだ。
「それでズールの容体はどうですか?」
ともう1人の女性が話しかけてくる。
ズールというのがこの虎人さんだ。
「ここだとはっきりとは言えないが、日常生活が送れるくらいにはなると思う。探索者だと……王都で聞いてもらわないとわからないな」
俺もまだ薬師見習いだしな。
「彼は運良く生き残ったレベルなのよ」
ベスさんが話に入ってきた。
見つけた様子を詳しく伝える。
ベスさんが見つけた時もかなりひどかった。
腕は傷口に酸をかけたのか、血は出てないが溶けかけ。
他の部位も傷だらけだった。
繭を開けてすぐに破傷風止めの塗り薬を塗ったくり、俺の元に来てからも塗り薬漬けとポーションの繰り返し状態だ。
彼女達には言ってないが、ファングが使ったポーション含めると、大金貨が必要になる。
払う気があるなら金貨数十枚に落としても良いし、無理なら貰わずとも良いとファングのメンバーは思ってる。
生き残って良かったねと自分たちも思ってるからだ。
ズールさんの塗り薬は彼女達に任せてしまえば、俺の薬師業も一旦終わりだ。
「そろそろぉ、壁画の説明だぁ」
バートさんの故郷は南の山向こうにあって、本人は聖教国を通ってやってきたらしい。
来る時、面倒ごとは多かったらしいけどね。
それで山向こうの獣王国というらしいが、そこでは作務衣に似たものがそこそこ見られている。
壁画の神様から譲られた服を真似て作ったらしい。
ただ、国の中では色々の言い伝えもある。
『ある日、神様が獣族のもとにあらわれ、貧しい日々を乗り越える作物を与えた。簡易の衣類を獣族に譲り、新たな文化を築かせた。その後も困難の時には道を照らして教えた。そして、その神は常に本を携《たずさ》えていた。』というのが一般的だ。
『ある獣族が森をふらついていると、生き神様を見つける。ぜんぜん動かないから服を剥いでもらおうとするが、腕を通せず服も破けずしまい。そこで仲間を呼んで村で服の糸を解いてもらったところ。服の中に種と本を見つける。そこで必要な種と服だけ貰って、残りは元の場所に捨てた。』という邪道な話もあるらしい。
この話の中で、神様の持ってた本が気になった。
「そんな話があったわけだぁ。ノールを連れてくれば面白いかと思ってなぁ」
「なるほどー。確かに来て良かったですよ。その本が気になりますよね。どこにあるんだろう」
言うと、バートがニヤリと笑う。
「この話をすると大体そう帰ってくるんだぁ。アレを見てみろぉ」
天井の一部を指す。
「細かいがぁ、あそこにその本の一節が書いてるらしぃ。みんな読めてないんだけどなぁ?」
俺も見てみる。
『のジロリアンに○るための○行○○難を○めた。○△△あの次郎人は、毒を△量ずつ食事に混ぜていると□っ△○い○ンゴ』
虫食いだったり汚かったりで読みづらいな。
でも知ってる単語は多いぞ。
「一部読めるよ」
「な、なぁ! 本当かぁ! 教えてくれぇ。」
かなり真剣に聞かれたので答える。
「そんな読み方なのかぁ。やっぱり同じ故郷なんじゃないかぁ? どこから来たんだぁ?」
「よく聞かれるんだけど、覚えてないんです。このくらいの日記帳を持ってたんだけど無くしちゃってさ。そこに書いてたから見ればわかると思うんですよ」
ついでに見つけたら教えてくれるよう頼んだ。
「結構苦労してるんだなぁ。この文字なんだが、調べてる学者に教えて良いかぁ?」
「別に良いですよ。他にもあれば見ますけど?」
話しつつ気になっている言葉がある。
ジロリアンと次郎人。
勘になるが、これが俺のルーツと思っている。
結局、これ以外はグルマン語の古い形に精霊文字を間に入れたりと遊んでいる文が多い。
「こっちも落書きかなぁ。これ書いたやつ相当なイタズラ好きだな。獣族とエルフ族かな? ドワーフ族かもしれないけど」
「それは学者も言ってたなぁ。今見てもらったのはそんなのだぁ。次が最後で。そこも学者が読めなかったやつだぁ」
見せてもらう。
なになに。
これは精霊語と……ヒンディー語っぽいなぁ。
「ここから読んで……、うわ。こっから逆読みかよ。これ書こうとした奴読ませる気ねぇな。うん。うん」
なるほど。
めっちゃ時間かかったが、何とか意味はつかんだ。
「わかったかぁ?」
「えっと。おそらくコレを書いたのはエルフ族の誰かかな」
「ふむぅ」
「内容が『面白い魔人の男に会った。アンデッドだが昼に平然と生活している。人も襲わない為、友になった。言葉を教えてもらい今書いている。世界が繋がった日。』最後のが名前かな? 精霊語で『強き者』って書いてある。疲れたー!」
バートは静かに書き留めていた。
「あとでまとめた内容見てくれるかぁ? 合ってるか確認したいんだぁ」
「あとでね。今は無理。もう夜じゃん」
「どうせ今日も止まりだぁ。ズールが動かせんぞぉ」
「あの感じだと明日には運べると思うんだよね。それも様子見ないとだけど」
「早く戻してやりたいんだがなぁ」
話しながら焚き火へ戻る。
「だいぶ時間がかかってたわね」
「ふふん。俺のぉ先祖が少し見えたぁ。エルフとも繋がりがあったようだぁ」
自慢げに答える。
「ウソでしょ!? ずっと読めなかったのに」
ベスも驚いている。
「俺の感はばっちりだなぁ。代わりにノールの日記帳探すことになったがなぁ」
「俺にはそっちの方が大変そうな気がしている」
渋面のゲイルが言葉を返す。
俺が持ってたただの日記帳だぞ?
誰かのただの日記帳探す方が大変か……。
ひと段落したので、少し離れてズールの様子をみる。
2人の女性が交互に看病していたようで、先に眠ってしまっている。
「ちょっとは動きます?」
「うこしはあへう」
少し話せるかな?
「明日もう少し動かせたら、移動できそうですね。これは特別ですよ」
ちょっと水で薄めたハチミツをゆっくり飲ませてやる。
「うあい」
笑った。
「回復すればもっと美味いのが待ってます。じゃあ早めに寝て体力つけてください」
去り際に賦活するのを忘れない。
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