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2章 不老者、浮浪者になりました。
第23話 探索者生活3
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どうも、居候系不老者ことアッシム・ノール(仮名)です。
俺は今飛んでいる。どうしてこうなったかと言うと、時を遡ること6日前。
長命会から帰り、謎の種を植えたところから始まる。
「にいちゃん! ギルドの人がきてるよ!」
と子供に教えてもらった。
使いはそっけなく、出かける準備をして、すぐにギルド館まで来るようにと言って帰ってしまった。
何のことやらといつもの装備をして、ギルド館に着くと、セルジオさんに呼ばれた。
「待ってました。急いでいたので助かりました」
その落ち着いたイケボで言われても急げないよ。
「何かありましたか?」
「緊急の依頼です。本来ならば、階級として指名はできないのですが、特例の指名です」
「討伐いっぱいとかは困るんですけど……」
「それはやらなくて大丈夫です。ノールさんに頼みたいのは、目的地での調査と採取です。本来ならば中級パーティーに頼むところですが、出払っていないのです。月光花という夜にのみ咲く花ですが、あなたならば無理なく採れる。私の目は確信しています」
討伐が無いなら良いか。OKと返事する。
「必要な物は用意しています。目的地までの護衛に、私が担当した中級パーティーを付けます。出来れば10日遅くとも14日で戻って欲しい。その理由も彼らに話してもらうので、よろしくお願いします」
セルジオさんが俺の後ろに手を向ける。
「俺らがそのパーティーだ。紹介も全部移動でする。行くぞ!」
荷物のように馬車に詰め込まれ、いざ出発。
ようやく馬車が安定してきたので話しかける。
「そろそろ説明を……」
「おう、悪かったな。俺たちはシルバーアタックっていうパーティーだ。俺がリーダーのミゲル。隣がアーシャ。御者をしてるのがゲール。あと一人、馬に乗って警戒しているヤツがいてケントだ。探索者で言うと俺たち全員6級だな。傭兵ギルドにも登録してんだ」
「9級探索者のノールです。主に生態調査と採取が得意です。よろしくお願いします」
詳しい話を聞くと、例の下水でゾンビとスケルトンが発見された。戒厳令が敷かれているが、全ギルドと街の動ける兵士を使って対応している。教会も協力しているが、予想以上に数が多く、浄化ポーションをかき集めている最中だとか。
今回は急いでその材料をとって来いと言うことらしい。他の採取出来る中級パーティーも、方々に行かされている。
ゾンビもスケルトンも見たことないな。平原の弱小魔物すら倒してない俺には関係ないんだけどね。そんなわけで今向かっているのが、何度か月光花を見つけた海辺の森に向かっているわけだ。到着まで4日の予定。
「ここがその森ですか。早く到着して良かったです」
「ノールの持ってる野菜はすごいな。力が湧いてくるぜ」
「馬も食べて、いつも以上に動けれましたよね」
「そうでしょう! そうでしょう! ニンニクに秘められた成分は元気にしてくれるんです! ミゲルさんとケントさんにはいくつか渡しておきましょう」
「ちょっと! 臭いが出ないようにしまっておいてよね! ゲールも言ってやんなよ」
「俺も臭いが苦手だなー」
くっ。改良型から戻したのを量産したが、失敗したか。成分の薄い物から慣れさせなければ……。
この森は木々が濃くて、地面に光が当たりにくくなっている。目的の花は、開く前は月光草と言って、月の光が強い時に開花する珍しいやつだ。
ちょっと葉っぱに隙間がある場所を探すと。一つ目発見。
「向こうにあるのが、それっぽいです」
「見つけるのはやっ!」
「これだ」
ただし、蕾も無く花はしばらく無いだろう。
街を出発して4日目に、もうすぐ咲きそうなのを5本程見つけた。
「あとは夜に確認するだけです。マッピングして誰でも見れるようにしておきましょう」
全員で確認した後は、昼に休んで夜に確認する作業となった。その日は結局どれも咲かずに翌日を迎える。
「ここは山菜も多いし、海の幸もあって良いですね。ここに住もうかな」
「街近辺より魔物も強いし、やっかいなのがいるんだぜ」
「大トンボは柔らかいけど素早いし、フォレストスパイダーはの糸は粘着力が強いんだ。海だとスピアフィッシュとかキラースクイッドもいるし」
スピアフィッシュはダツに似ているが、もっと槍の形に近い。
キラースクイッドはでっかいコウイカみたいな絵を地面に描いてくれた。
「浜辺で海に入らなければ大丈夫じゃないですか? 魚食べたいですし」
という一言で、昼の空いた時間に少しだけ釣りすることになる。
リールは作れてないので、手釣り用に小さめの木枠と、釣りとしては短めだが鬼蜘蛛の糸。それに忍ばせていた針と小石を付けて投げる!餌はフジツボの中身。
10分置きに場所をずらしてを5回ほど繰り返すと、やっと当たりが来た。それなりに手応えはある。数分の攻防で釣り上げると不恰好な魚が釣れた。マゴチの背を高くしたような、前から見ると正三角形。50cmほどの大きさ。
「それ、トライフィッシュだろ? 焼くとうまいよ!」
晩飯決まり。
その日も花は咲かずに持ち越し。
翌日も釣りをして過ごすが、ちょっと思いついたことがある。ニンニク釣りだ。臭いもあり集魚効果抜群なはず。行け!ニンニクちゃん。
めちゃくちゃ引いてる。トライフィッシュも再び、中型の青魚も何匹か釣れた。
「ニンニクすげー。俺も今度やってみるか」
ミゲルの食いつきもばっちり。さて次もと思っていたら、半透明な多数の物体が海の上を飛んでいる。それを指すと。
「あれは浮きクラゲだな。魔物だけど、小さな魔物を餌にしてるんだ。攻撃しなければ害は無いし、倒すと水になるから無駄だな」
ならそのままと続けていると、今までに無い引きが来る。
「きたきたー、大物釣れたー! フィーッシュ!」
浮きクラゲが釣れました。いや、浮きクラゲに釣られました。
俺は今飛んでいる。どうしてこうなったかと言うと、時を遡ること6日前。
長命会から帰り、謎の種を植えたところから始まる。
「にいちゃん! ギルドの人がきてるよ!」
と子供に教えてもらった。
使いはそっけなく、出かける準備をして、すぐにギルド館まで来るようにと言って帰ってしまった。
何のことやらといつもの装備をして、ギルド館に着くと、セルジオさんに呼ばれた。
「待ってました。急いでいたので助かりました」
その落ち着いたイケボで言われても急げないよ。
「何かありましたか?」
「緊急の依頼です。本来ならば、階級として指名はできないのですが、特例の指名です」
「討伐いっぱいとかは困るんですけど……」
「それはやらなくて大丈夫です。ノールさんに頼みたいのは、目的地での調査と採取です。本来ならば中級パーティーに頼むところですが、出払っていないのです。月光花という夜にのみ咲く花ですが、あなたならば無理なく採れる。私の目は確信しています」
討伐が無いなら良いか。OKと返事する。
「必要な物は用意しています。目的地までの護衛に、私が担当した中級パーティーを付けます。出来れば10日遅くとも14日で戻って欲しい。その理由も彼らに話してもらうので、よろしくお願いします」
セルジオさんが俺の後ろに手を向ける。
「俺らがそのパーティーだ。紹介も全部移動でする。行くぞ!」
荷物のように馬車に詰め込まれ、いざ出発。
ようやく馬車が安定してきたので話しかける。
「そろそろ説明を……」
「おう、悪かったな。俺たちはシルバーアタックっていうパーティーだ。俺がリーダーのミゲル。隣がアーシャ。御者をしてるのがゲール。あと一人、馬に乗って警戒しているヤツがいてケントだ。探索者で言うと俺たち全員6級だな。傭兵ギルドにも登録してんだ」
「9級探索者のノールです。主に生態調査と採取が得意です。よろしくお願いします」
詳しい話を聞くと、例の下水でゾンビとスケルトンが発見された。戒厳令が敷かれているが、全ギルドと街の動ける兵士を使って対応している。教会も協力しているが、予想以上に数が多く、浄化ポーションをかき集めている最中だとか。
今回は急いでその材料をとって来いと言うことらしい。他の採取出来る中級パーティーも、方々に行かされている。
ゾンビもスケルトンも見たことないな。平原の弱小魔物すら倒してない俺には関係ないんだけどね。そんなわけで今向かっているのが、何度か月光花を見つけた海辺の森に向かっているわけだ。到着まで4日の予定。
「ここがその森ですか。早く到着して良かったです」
「ノールの持ってる野菜はすごいな。力が湧いてくるぜ」
「馬も食べて、いつも以上に動けれましたよね」
「そうでしょう! そうでしょう! ニンニクに秘められた成分は元気にしてくれるんです! ミゲルさんとケントさんにはいくつか渡しておきましょう」
「ちょっと! 臭いが出ないようにしまっておいてよね! ゲールも言ってやんなよ」
「俺も臭いが苦手だなー」
くっ。改良型から戻したのを量産したが、失敗したか。成分の薄い物から慣れさせなければ……。
この森は木々が濃くて、地面に光が当たりにくくなっている。目的の花は、開く前は月光草と言って、月の光が強い時に開花する珍しいやつだ。
ちょっと葉っぱに隙間がある場所を探すと。一つ目発見。
「向こうにあるのが、それっぽいです」
「見つけるのはやっ!」
「これだ」
ただし、蕾も無く花はしばらく無いだろう。
街を出発して4日目に、もうすぐ咲きそうなのを5本程見つけた。
「あとは夜に確認するだけです。マッピングして誰でも見れるようにしておきましょう」
全員で確認した後は、昼に休んで夜に確認する作業となった。その日は結局どれも咲かずに翌日を迎える。
「ここは山菜も多いし、海の幸もあって良いですね。ここに住もうかな」
「街近辺より魔物も強いし、やっかいなのがいるんだぜ」
「大トンボは柔らかいけど素早いし、フォレストスパイダーはの糸は粘着力が強いんだ。海だとスピアフィッシュとかキラースクイッドもいるし」
スピアフィッシュはダツに似ているが、もっと槍の形に近い。
キラースクイッドはでっかいコウイカみたいな絵を地面に描いてくれた。
「浜辺で海に入らなければ大丈夫じゃないですか? 魚食べたいですし」
という一言で、昼の空いた時間に少しだけ釣りすることになる。
リールは作れてないので、手釣り用に小さめの木枠と、釣りとしては短めだが鬼蜘蛛の糸。それに忍ばせていた針と小石を付けて投げる!餌はフジツボの中身。
10分置きに場所をずらしてを5回ほど繰り返すと、やっと当たりが来た。それなりに手応えはある。数分の攻防で釣り上げると不恰好な魚が釣れた。マゴチの背を高くしたような、前から見ると正三角形。50cmほどの大きさ。
「それ、トライフィッシュだろ? 焼くとうまいよ!」
晩飯決まり。
その日も花は咲かずに持ち越し。
翌日も釣りをして過ごすが、ちょっと思いついたことがある。ニンニク釣りだ。臭いもあり集魚効果抜群なはず。行け!ニンニクちゃん。
めちゃくちゃ引いてる。トライフィッシュも再び、中型の青魚も何匹か釣れた。
「ニンニクすげー。俺も今度やってみるか」
ミゲルの食いつきもばっちり。さて次もと思っていたら、半透明な多数の物体が海の上を飛んでいる。それを指すと。
「あれは浮きクラゲだな。魔物だけど、小さな魔物を餌にしてるんだ。攻撃しなければ害は無いし、倒すと水になるから無駄だな」
ならそのままと続けていると、今までに無い引きが来る。
「きたきたー、大物釣れたー! フィーッシュ!」
浮きクラゲが釣れました。いや、浮きクラゲに釣られました。
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